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家賃22万、募集開始から一週間で入居決定。古家をダイナミックにリノベーション、大森ロッヂ「笑門の家」の面白さとは

賃貸経営/リノベ・修繕 ニュース

2022/05/09 配信

不動産投資 家賃 リノベーション 笑門の家 大森ロッジ
改装された住宅。元々はごく普通のブロック塀に囲まれた木造住宅だった

京急線大森町駅近くにある1961年に建設された2階建て木造住宅が改装された。ブロック塀に囲まれた、古めかしい住宅は一見ガラス張りの大きな温室のようになっており、住宅以外の用途でも使えるという。

改装で柔軟な使い方が可能な建物に

不動産の使い方が大きく変化しつつある。オフィスが住宅に転用されていたり、住宅で働くことになったり、ホテルをオフィスとして使う例があるなど建物の用途、使い方の境界がどんどん無くなってきているのだ。

だが、ソフト面だけでは変化しきれないところもある。窓のない、クローズドな印象の建物を多くの人に開いた場にしようとしても難しいと考えれば分かりやすいだろう。そんな場合にどうすれば良いかを考えたひとつの答えが今回の事例である。

場所は京急線大森町駅のすぐ近く。周囲は住宅街で今回改装された建物も建築されて以来、途中増築もありながら、ずっと住宅として使われてきた。その借地権の上に建てられた建物を土地とともに所有者が買い戻したところから計画はスタートした。

そのまま、住宅として使うのが一般的だろうが、建物の状態はあまり良くなかった。設計に当たった古谷デザイン建築設計事務所の古谷俊一氏によると元々は平屋だった家に2階を増築したため、構造が複雑で、かなり劣化もしていたとか。となると貸すためには補強その他ある程度の額を投資しなくてはいけない。

その一方でこの地域の賃貸市場を見ると問題がある。駅に近く、便利な場所ではあるが、どちらかといえば庶民的な地域で延べ床面積が100u近い賃貸住宅はあまり見かけない。マンションなら多少あるものの、一戸建てとなると皆無に近い。つまり、投資をしても住宅として貸すと考えるとかなり難しい状況と考えられるのである。

だが、駅からは2分と利便性は非常に高い。第一種住居地域でもあり、住居以外の使い方もできる。であれば住宅プラスαとして使えるようにしようというのが今回の改修である。

具体的には建物の周囲にあったブロック塀を撤去、住戸1階南側の平屋部分の壁を撤去、その部分とかつてバルコニーのあった2階部分までを温室サッシで囲み、2層吹き抜けの大きなサンルームのような空間にしたのである。

両側から使えるトイレなど多様な使い方を想定

駅から歩いてくるとまず目にするのがこの姿。何だろうと思うが手前の樹木のせいか、意外に室内は見えない
駅から歩いてくるとまず目にするのがこの姿。何だろうと思うが手前の樹木のせいか、意外に室内は見えない

言葉で説明するのは非常に難しいが、写真を見ていただければどういう改装が行われたかはお分かりいただけよう。普通に壁で仕切られていた部分がガラス張りになり、それがかつてのバルコニーまでを覆っているのである。これによって1階部分の半分ほどはオープンな、明るい空間になった。

中に入ると土間と小上がり的な空間があり、1階は奥にキッチン、収納、水回りなどがある。こちら側と奥との間にはドアがあり、空間が分けられている。写真中央部、ドアが開いているのはトイレ
中に入ると土間と小上がり的な空間があり、1階は奥にキッチン、収納、水回りなどがある。こちら側と奥との間にはドアがあり、空間が分けられている。写真中央部、ドアが開いているのはトイレ
両側から使えるトイレ。キッチン裏手のパントリーからと小上がりからとの二方向からアクセスできる
両側から使えるトイレ。キッチン裏手のパントリーからと小上がりからとの二方向からアクセスできる

「この部分を店舗として使うこともできますし、そのためにとキッチンの背後にはストック用品を収納できるパントリーを設けており、1階のリビング脇にあるトイレは住居側、吹き抜けのある側の両方から使えるようになっています。

また、住居として使いながら趣味のものをみんなに見てもらう、週末だけ開く、オープンな部分を仕事場にする、緑好きな人ならインドアガーデンとして使うなどといった使い方も可能。今、求められているのはそうした可変な空間ではないかと思っています」。

既存の壁を撤去、建物を補強した上で外側に温室を作ったといえば分かりやすいだろうか
既存の壁を撤去、建物を補強した上で外側に温室を作ったといえば分かりやすいだろうか。奥のキッチンとの間にはドア、段差がある

使った温室サッシはごく普通の汎用品。

「この地域は準防火地域で道路の中心線と隣地境界線から1階で3m、2階で5mまでの開口部は防火設備にする必要があり、このような軽快な温室サッシは使えません。そこで1階の開口部の範囲を調整して要件を満たしました」。

土間から上を見上げたところ。天井が高く、気持ちが良い
土間から上を見上げたところ。天井が高く、気持ちが良い

実際にお邪魔してみると1階はガラス張りで天井が高く、開放的。その分、暑さ、寒さはあるだろうが、それはフレームの上に葦簀を掛けるなど住まい方に合わせて工夫してくださいと古谷氏。壁面上部の窓が電動で開くようになっており、風は入るはずだ。

1階奥のキッチン部分。正面にある扉は水回り。キッチンの背後にはパントリーが設けられている
1階奥のキッチン部分。正面にある扉は水回り。キッチンの背後にはパントリーが設けられている
キッチン側から土間側を見たところ。壁に明かり取りの窓を設けてある。また、この空間にはもうひとつ玄関がある
キッチン側から土間側を見たところ。壁に明かり取りの窓を設けてある。また、この空間にはもうひとつ玄関がある

入ったところに7畳ほどの土間、小上がりのようにやはり7畳ほどの畳のリビングがあり、その奥は10畳のダイニングキッチンに脱衣所、風呂に収納など。土間とリビング、ダイニングキッチンの間には階段、トイレなどがあるため、空間はきれいに分けられている。

吹き抜けに面した部屋。窓の外のようだが、実は室内という不思議な空間
吹き抜けに面した部屋。窓の外のようだが、実は室内という不思議な空間
近寄ってみるとこんな感じ。屋根の脇に開閉できる装置があり、風を通すことができる
近寄ってみるとこんな感じ。屋根の脇に開閉できる装置があり、風を通すことができる

2階は階段を中心に左右に2室。11畳、10畳の洋室で、面白いのは吹き抜けに面した部屋。以前は窓の外にバルコニーがあった部屋で、現在は現しになった屋根の骨組みを見下ろす形になる。窓の外は外なのにサンルームの中という入れ子状態でもあるわけだ。

既存建物の建具、欄間などを活用、合板現しの室内

1階土間、小上がり部分。元々の建具類が多く使われている
1階土間、小上がり部分。元々の建具類が多く使われている
1階と2階で手間、費用の掛け方が異なっており、このあたりの塩梅が非常にうまい
1階と2階で手間、費用の掛け方が異なっており、このあたりの塩梅が非常にうまい

建物内はできるだけ既存建物、建具を生かすように改装されており、仏壇や欄間などが随所に残されている。収納部の扉を裏返して使っているところもあった。それ以外はシンプルに合板が現しになっている。このあたりは時代である。10年前なら「工事中?」と思う人もいただろうが、今なら、さほどの違和感はない。

この物件のあるエリアにはレトロな木造住宅を改装した賃貸住宅「大森ロッヂ」、緑に覆われ、2階が中空になったかのような不思議な外観の店舗付き長屋、住宅がある知る人ぞ知る一画なのだが、そこに新たに加わったこの建物が今後、このエリアにどのようなインパクトを与えることになるか。ちなみに2022年4月19日から募集が始まっており、賃料は22万円。詳細は大森ロッヂのホームぺージからも見られる。

と原稿を書いてすぐ、募集開始から一週間で入居が決まった。特徴のある、使い方がフレキシブルな物件は選ばれるということである。

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健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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