ヴィンテージな外観
を活かしたリノベ
千代田区神保町は、都心の利便性がありながら、古書の街、学生街といった顔も持つ。そんな神保町から歩3分、水道橋駅からも歩6分という好アクセスで、白山通りから一歩、路地に入ったところにオープンした収益ビル再生プロジェクト「gran+神保町」の内覧会に参加した。
元は出版社が所有していた築40年のビルが、ヴィンテージ感を活かした改装で驚くほどお洒落な雰囲気に仕上がっている。

一棟貸しオフィスを想定したリノベーションだが、一見、窓から見える雰囲気はお洒落な雑貨ショップかなと思えるほど。元のオーナーは、古書の町らしく老舗の出版社で、ヴィンテージなタイル外装や窓枠は実はそのまま。ただ、入居想定のスタートアップやベンチャー企業には、それなりのクリエイティブな感性が要求される。


そのため、窓枠を洒落たショップのフロントのようにインディゴブルーに塗装、入り口からも見える3階に上がる階段はアート作品のような仕上げになっている。半地下の駐車場はそのまま、貴重な駐車場付き物件だ。
家具付きでセットアップ
即入居できるオフィスに
地上5階建て、間口は約5m、地積55.40u/16.75坪で鉄筋コンクリート造で昭和58年築。リノベーションを手がけた「株式会社LOOPLACE(ループレイス)」は、築年の古い建物や空間を収益物件に再生する企業で、「gran+神保町」が9棟目。
「gran+(グランプラス)」シリーズは、家具付きのセットアップオフィスで、クリエイティブな空間やインテリア性の高さが入居企業のブランディングにもなると、スタートアップやベンチャー企業から選ばれているという。LOOPLACEが物件を購入、リノベーションをしてリース付けした上で、売却するというのが基本の流れだという。


物件購入では、新耐震以降で検査済証のある物件を基準に、今までは地積が80u以上が中心。この「gran+神保町」については、LOOPLACE本社のある神保町であるという縁と、狭小地ビルリノベーションとショーケースにしたいという狙いもあり初めての取り組みだそう。
一棟貸しの賃料は150万円(2.5万円/坪)で、近隣事例の1.5倍という高め想定だ。入居想定は、20〜30名のベンチャー企業で、このオフィスビル自体がそうした企業のブランディングも担うというデザイン性の高さをポイントにしている。
グリーンまでも含む(メンテナンスは、造園会社の紹介で別料金)、オール家具付きで、入居してすぐに事業を始めらる昨今のシェアオフィスのような形式が想定だ。


階層ごとに2階はレセプション、3階(壁際に机が並ぶ業務的スペース)・4階(ミーティングもできる大きいデスク設置)はオフィス、5階はさらに自由度の高い見せ方でコミュニケーションスペースとしても使える。


2階と5階にはシンクのある水回りを設け、4階と5階のテラス席はウッドデッキでかなり遊び心がある。
エレベーターはないが上階に行くのが楽しくなるような隠れた意図も。トイレは各階に一つだがフロアごとに男女に分けて使うことを想定している。「gran+神保町」の延床面積約190.29uだが、200u以下であれば用途変更をしても建築確認が不要なので、一部を飲食業に使うことも可能性としてはあるのだ。
「gran+神保町」については、一棟貸しにリーシングのうえ売却を考えているということだが、LOOPLACEは工事・建設会社から不動産リノベーション事業に参入しており、今回のように築年が古い、狭小地などの物件リノベーションを請け負うことも可能だそう。
自社内に建築士はじめ建築工事、電気工事などの一級施工管理技士や宅地建物取引士もいて、コンサルタント、プラン、建築、インテリアコーディネート、リースまでを一貫してできるのを強みとしている。
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執筆:
(おのあむすでんみちこ)