築年の古い公団、MUJIと
住戸に加え共用部もリノベ

MUJI×UR Plan69の住戸。
JR根岸線「港南台駅」から徒歩で11〜15分、16住棟・約1500戸という規模の「港南かもめ団地」敷地内には緑豊かな広場や公園、保育園に幼稚園から中学校までがあり、駅までの途中には総合病院や商業施設も揃う。
最寄り駅から横浜には23分と足回りもよい。住みやすそうではあるが、築47年になり、高齢者世帯の割合も高く単身で住む人も多い。

同様に住民の高齢化問題を抱えている全国の公営団地は多く、独立行政法人都市再生機構(以下UR都市機構)は、2012年から無印良品を運営する蒲ヌ品計画の関連会社である鰍lUJIHOUSEと協業で団地のリノベーションを行ってきた。さらに2021年からはその内容を拡大し、団地外観、屋外広場、商店街区といった共用部分にも対象を広げた「MUJI×UR団地まるごとリノベーション」に取り組んでいる。
「港南かもめ団地」でも集会所をリノベーションを導入し、靴をはいたまま入れ、シェアキッチンなども設けるほか、かもめマルシェなどイベント開催で活性化を図る。


不満は収納量の少なさ
設備の古さ
今回の「MUJI×UR」公開住戸は全部で3つ。うち2住戸は、「MUJI×UR」団地住戸プランを作るにあたって、収納が少ないという声に対応して、収納(Storage)を充実させた「MUJI×UR Plan+S」。
2DKの和室の一部を洋室化し、間仕切りによって1LDKとして使用できる可変性を持つ。システムキッチンや洗面化粧台・トイレの交換、大型浴槽の設置など設備機器も新しくしている。
鴨居など既存のものを残したヴィンテージ感のあるインテリアと、MUJIとURが共同開発したという縁なしの麻畳や芯材にダンボールを使った襖など今時のデザインの部材がうまくマッチしている。




ワークスペースも設けられる
今時のプラン
もう1住戸は「MUJI×UR Plan69」は、ウィークインクローゼットにもワークスペースにもなるユーティリティスペースを設けて、さらに空間の使い方の可能性を広げた間取り。
寝室とは半透明の襖で仕切ることができ、光を通すことで明るさと半個室空間としての独立性も確保している。また、玄関入ってすぐの壁際に洗面台を設けており、外出から戻ればすぐ手洗いやうがいができるようになっている。



募集住戸のオープンルームには若い世代の訪問者も多く、開催イベントでのMUJIHOUSE担当者のリノベーションの説明には幅広い年齢層の人たちが聞き入っていた。「若い人を呼び込んで活性化を」という意図に、60代後半の居住者は「とてもいいことだと思う、ここに住んでよかった」という声も聞かれた。
住戸リノベーションでは、既存部材のヴィンテージ感とデザイン性のあるむき出しの配管などがマッチしているのは、白を基調としたシンプルなインテリアだから。
リモートワーク用スペースも考えた可変性のある間取りもうまい。港南台かもめ団地のすぐ近くには大型のMUJIの店舗もあるので、その他のインテリアアドバイスも受けやすい。50u以下の単身者やDINKS、子供が小さい家族向けの住宅としてのいろいろと参考になるポイントでもあった。
執筆:
(おのあむすでんみちこ)