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この発想は無かった!インバウンドをフックに、「貸すだけ」でない収益の上げ方、場の使い方

賃貸経営/シェア ニュース

新宿三丁目、ホテルも多いエリアにひときわ目立つ外観
新宿三丁目、ホテルも多いエリアにひときわ目立つ外観

この1〜2年で急増したコワーキングスペース。成功させるためには当然、他と違う場作りが必要になってくるはずだが、その点で非常に面白い物件を見学させていただいたのでご紹介したい。2017年10月に新宿三丁目駅至近にオープンしたINBOUND LEAGUEだ。

■話題の物件を手がけてきたUDSが企画

同物件を企画、運営しているのはホテルなどの宿泊施設やレストラン、カフェなどの飲食店、コワーキングスペースや公共施設など各種の建物を企画、設計、運営しているUDS。日本のみにならず、海外でもホテルやレストランなどを手がけており、しかも、いずれも特徴があって話題になる物件ばかりという会社である。

首都圏の宿泊施設でいえばデザイナーズホテルとして話題になったホテルCLASKAや、川崎のイメージを大きく変えたON THE MARKS、商業施設ではキッザニア東京、代々木VILLAGEを手がけた会社と言えば、多少お分かりいただけるだろうか。

同社では銀座、有楽町ですでにコワーキングスペースを手がけており、今回が3物件目。大きな特徴は物件名にもなっている通り、訪日外国客をテーマとしていることである。

「コワーキングスペース自体は誰にでも簡単にできるものでもあり、それだけで収益をと考えているわけではありません。一方、地方のまちづくりをやっていると人口減少への対策としては交流人口の増加という手があり、そこで有効なインバウンド施策がないかを問われるようになっています。自社の業務でホテルをやっている関係上からもインバウドのリアルなニーズ、ノウハウを得る必要もあると考えていました。

そこにたまたま、インバウンド系の事業者にネットワークのある会社・やまとごころの村山慶輔氏から講演も、その後の懇親会や宿泊、仕事も一度にできる場が欲しいという言葉があり、さらにグループ会社である小田急から物件の話が来るという偶然があり、実現したのがこの建物です」(UDS代表取締役社長・中川敬文氏)。

面白いと思ったのはオフィス、住宅などとして貸す物件でありながら、それが同時に自社のビジネスの情報源でもあるという位置づけだ。現場でインバウンドのニーズと触れ合い、それをビジネスにしている入居者からの情報や人間関係は金銭には換算しにくいものの、それも収益のひとつと考えられないだろうか。

入居者からみても同様である。賃料を払って場所を借りていることに加え、同じ関心のある人達との情報交換、人間関係は得難いプラス。もちろん、その果実を手に入れるためにはコミュニケーションが必要であり、ただ貸す、借りるの関係だけからは生まれない。

だが、貸すという行為を差別化する、より魅力的で広がりのあるものにするためには、場所を貸すだけという割り切りから一度脱却してみることも必要なのではないか。中川氏の話を聞いて思った。

■住宅、オフィス、貸しスペースという複合施設

元々は企業の本社で、上階には経営者の住居もあった8階建てビルである。それをインバウンドをテーマに、だが、フロアによっては住居あり、オフィスありという複合的な使い方で改装してある。具体的に見て行こう。

以前は宅配会社の配送場だった1階にはサービスカウンターがあり、コーディネーターが常駐。上階のオフィスの受付やビジネスマッチング、訪日外国人向けの情報を提供。また、ツーリストのためのツアーデスクで、数年前に香港で起業、爆発的に成長したアジア最大の旅行アクティビティ予約サイトKlook(クルック)のチケットカウンターがあるため、観光客の来訪も多い。

周辺に合計820室ものホテルがあるため、旅行者の利用も多いと踏んではいたそうだが、想像した以上にスーツケース預かりサービスのニーズが高いとUDS経営企画部の児島絵里子氏。レンタサイクルや日本各地のパンフレットが置かれたフロアにはモダンな和の軸などが掛けられており、楽しい雰囲気。現時点での利用者は少ないそうだが、イスラムの旅行者向けに礼拝室も作られている。

1階同様に建物内のロゴも江戸文字をデザインして作られており、全体として和のテイストが漂う。といっても、いかにもの和ではないのが面白い。

2階のカンファレンスルーム。人数に応じて部屋を仕切って使えるようになっている
2階のカンファレンスルーム。人数に応じて部屋を仕切って使えるようになっている

2階はカンファレンスルーム。仕切りを取り外して使えば最大100人まで収容となっており、人数に応じて仕切って使える。撮影スタジオとしても使えるそうで、様々なイベント、ワークショップその他に貸し出されている。

コワーキングスペース。中央にはライブラリーコーナーも
コワーキングスペース。中央にはライブラリーコーナーも

3階はコワーキングスペース。ライブラリーを囲んでフリーデスクのあるビジネスラウンジと鍵のかかる空間に分けられており、後者は専用デスク、1〜2人で利用できるブースからなる。

このフロアは主にインバウンド関係で起業して2〜3年の若い企業の利用を想定している。インバウンドベンチャーとでも言えば良いだろうか、将来の日本のインバウンド業界を担うかもしれない人達である。

すでにある程度の成功を収めている会社が入居しているのが4〜6階フロア
すでにある程度の成功を収めている会社が入居しているのが4〜6階フロア

それに比べると、すでにある程度軌道に乗った会社が想定されているのが4〜6階のオフィス。2名〜最大30名の16室が作られており、こちらは現在満室となっている。

多国籍シェアハウスの共用部
多国籍シェアハウスの共用部

7階は多国籍シェアハウスで、6室用意されているが、こちらも満室。全体としてみると3階のコワーキングスペースで多少空きがある程度で、稼働率は非常に高い。様々な使い方ができるスペースが用意されている強みだろう。

レンタルもしている最上階。キッチン付きの和室のほか、ルーフバルコニーも利用できる
レンタルもしている最上階。キッチン付きの和室のほか、ルーフバルコニーも利用できる

最上階の8階には畳の敷かれた和室とテラスがあり、イベントや懇親会などに貸し出されている。和室で定員は最大20人、テラスで最大16人となっており、こうした貸しスペースはスペースマーケットなどを通じて貸し出されており、立地の良さなどからよく利用されているそうだ。

貸しスペースについては外に貸し出す以外にも入居者間での集まりやイベントその他でも使われており、今後は外国人向けのイベント開催なども考えているとか。実際の入居者は半分ほどはインバウンド向けの事業者だが、立地の良さから、それ以外の事業者も集まってきている。

賃貸住宅では同じ方向性の人が集まっているほうが管理、運営が楽と言われることが多いが、ビジネスではそうでもないようで、「同業者ばかりになると閉じられた世界になってしまう懸念もあり、関心、ビジネスの方向の違う人が混在しているほうが自然だと思っています」とのこと。

■爆買いの次に何が来るのか?

シェアハウスの入居者。施設を訪れる人達も多国籍で、これなら自然と情報が集まってくるだろうと思った
シェアハウスの入居者。施設を訪れる人達も多国籍で、これなら自然と情報が集まってくるだろうと思った

ところで、同社は2018年に浜町、銀座、新宿、宮古島と立て続けにホテルを開業する。当然、インバウンドのニーズを踏まえてのことだが、では、これからの需要や観光のあり方をどう考えているのだろうか。

「欧米系の人たちのニーズに関してはいろいろ手が打たれていますが、まだまだと思うのがアジアの人たち、特に中国人のニーズです。欧米の人たちは歴史、忍者、日本酒に興味を示しますが、中国人はそのいずれにも関心が薄い。中国人にとっての日本はたくさんある目的地のうちのひとつでしかなく、彼らに興味を持ってもらえるものが何か、真剣に考えていかないと、爆買い後はありません」。

スイスは人口800万人の小国だが、世界一の食品メーカーネスレなど名だたる企業を輩出してきた。それは隣国である人口8000万人のドイツをマーケティング、そこで売れる商品を考え続けてきたからだという。

「そこそこの人口のあった日本ではこれまで国内市場だけでもなんとかやっていけましたが、今後は外に目をやる必要があります。スイスの例に倣えば、隣にある大国、中国に売れるものを作るのが現実的ではないでしょうか」。

賃貸は基本国内をターゲットにしてやってきたし、今後もメインはそのままだろう。だが、これだけ社会が変わる時代である。民泊が登場した際、多くの人がインバウンドを意識したように、今後、場所や場合によっては違う人達に目を向ける必要、可能性もあるかもしれない。いつ、そんな場面に遭遇しても良いよう、目だけは世界も見ておきたいところだ。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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