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国の補助金もアリ! シングルマザー用シェアハウス運営で、不動産投資の新事業&社会貢献にも!

賃貸経営/技あり・話題の賃貸物件 ニュース

2021/03/10 配信

不動産賃貸業は「家」を提供する事業だ。持ち家を持たない人、転勤してきた人、学生など、様々な人が住むための「家」を提供して社会貢献をしていると言えるだろう。

そんな中、母子家庭になった人たちにとっては、新しく「家を探す」のは難しい現状がある。貸す側としては、母子家庭を受け入れた場合のリスクなどを考え、二の足を踏んでしまうからだろう。しかし、困っている母子家庭に安心して「家」を提供できる方法はないだろうか?

シングルマザー向けシェアハウスの運営や母子家庭を支援しているNPO法人等から、空き家を活用した事例紹介のセミナーが開催された。その内容についてご紹介する。

シングルマザー向けシェアハウス等を紹介するサイト『マザーポート』

横浜市に住む全世帯の7%が母子家庭!
しかし、シングルマザーの住まい探しは難しい

不動産情報サービス事業のLIFULLが2月18日に、FRIENDLY DOORセミナー「シングルマザーの住まい探し・対応ノウハウを学ぶ」を開催した。

講師は、一級建築士事務所の代表でもあり、空き家を活用したシングルマザー向けシェアハウス(以下、母子ハウス)の運営や母子家庭支援を行っているNPO法人全国ひとり親居住支援機構の代表理事でもある秋山怜史さん。
もう一方は、自身もシングルマザーで不動産会社を経営し、母子ハウスを運営する株式会社めぐみ不動産コンサルティング代表取締役 竹田恵子さんだ。

平成27年国勢調査では「父子または母子家庭」は約84万世帯あり、そのうちの約9割である75万世帯が母子家庭だという。母子家庭は父子家庭に比べて年間所得が低い家庭が多く、生活が苦しいと感じている。

秋山怜史さんのレジュメより。
秋山怜史さんのレジュメより。

秋山怜史さんによると、例えば横浜市の場合、驚くことに全世帯のうち7%が母子家庭だという。

ところが母子家庭にとって、新しく住居を探すのが難しい。しかし、生活基盤である「住居」が見つからないと、保育園も決まらないし、仕事も見つけられない。

秋山怜史さんのレジュメより。
秋山怜史さんのレジュメより。

行政からの居住支援は生活保護の住宅扶助ぐらいしかなく、コロナ禍で、家庭支援給付金が少し使いやすくなったぐらいだという。

一級建築士の秋山さんは2012年に川崎でシングルマザー用のシェアハウスを設立、2015年に「マザーポート」という、母子シェアハウスを紹介するサイトを開設した。2019年にはNPO法人全国ひとり親居住支援機構を立ち上げ、仲間と活動している。

シングルマザーになった不動産会社経営者が、
自身の経験を生かしてシンママ用シェアハウスを設立

「めぐみ不動産コンサルティング」の竹田恵子さんも、離婚してシングルマザーになった。ワンオペ育児(片方の親だけが育児すること)で困った経験から、「シングルマザー達が住めるシェアハウスがあれば、お互いに協力しあい、足りない部分を補ってくれるのではないか?」と思い、シンママも入居できるシェアハウスを作ったそうだ。

シンママ達がシェアハウス(以下、母子ハウス)に住むと、子供達同士で遊ぶので母親も自分の時間が持てる、母親が忙しくて寂しく思う子供の気持ちを埋めることができる、お互いに同じ境遇なので母親同士で相談しやすい、などが利点だという。

では、母子シェアハウスを始めるに当たって、「大家が考える不安やリスク」にはどんなものがあるだろうか?

竹田恵子さんのレジュメより。
竹田恵子さんのレジュメより。

① 入居希望者は、家賃や初期費用が払えるのか?

竹田さんによると、離婚が成立していないと生活保護を受けることが難しい。そして、離婚前や離婚直後だと母親が働いていない場合が多い。
竹田さんが運営するシェアハウスの場合、初期費用は約10万円。緊急で自宅を出た母子の場合、手持ちのお金がなくて、入居後に初期費用を分割で払ってもらう事もあるそうだ。

② 入居希望者は、保証人を立てたり、保証会社に通るのか?

親族が離婚に反対して保証人になってもらえないケースや、まだ働いていないために保証会社が通らない人もいるそうだ。
竹田さんのシェアハウスでは、入居前の本人との面談を大切にしており、信頼できる人だと確信したら保証人や保証会社がなくても入居契約を行う。
ただ、緊急連絡先としての親族の連絡先はもらうようにしている。

母子シェアハウスで起こるトラブルの事例は、以下だ。

第1位、音がうるさい。

戸建てをリフォームしたシェアハウスなので、どうしても音が響く。一家族で住んでいる場合は、お互いが出す音は許容範囲だが、それぞれが別世帯なのでどうしても音に対して敏感になるようだ。

第2位、キッチンなどの共用部分を片付けない。

第3位、共有のリビングルームに子供を長時間放置している。

解決方法は、シェアハウスのルールブックは作るけれども、細かく作りすぎないこと。そして、入所前の面談でシェアハウス運営側と関係性を作る。こちらの話を聞いてくれないタイプの人は入居させないそうだ。

入居者と運営者でLineグループを作り、そこで情報共有する。しかし、もし揉めてしまった場合は、当事者同士で話をしないようにする。

揉めることにならないように、新しい入居者の歓迎会や自己紹介カードを作って、お互いを知るための交流をしているそうだ。

「新たなセーフティーネット住宅」に申請すると
改修工事の補助金が出る

シェアハウスを作る際、「新たなセーフティーネット住宅」に申請して認められると、改修工事の補助金が出る。代わりに、10年間は「住宅確保要配慮者」専用の住宅として、住宅を確保するのが難しい人が入居を希望した場合は断ることができない。

竹田恵子さんのレジュメより。
竹田恵子さんのレジュメより。

しかし、住宅確保要配慮者の範囲を最初に限定することができるそうだ。例えば、母子シェアハウスなので、小さい子どもを持つシングルマザーだけ受け入れるという形だ。

とはいえ、シングルマザーであればどんな人であっても拒むことができない、というのも心理的なハードルが高いだろう。セミナーの参加者からも同様の質問があった。

すると、竹田さんも疑問に感じていたので、すでに国土交通省に問い合わせていたという。国交省からは、「シェアハウスの運営に支障が出るような場合は、全てを受けなくてもよい」と回答が戻ってきたという。
やはり、母子ハウス運営側と仲良くでき、意思疎通ができる入居者を選ぶ事が大事だということだ。

ところで、母子ハウスは大きく分けて、①戸建てをシェアハウスにしたタイプと、②共有部分が少ないアパートタイプがある。

一級建築士の秋山さんによると、シェアハウスへのリフォーム費用は、物件の状態により千差万別。旧耐震の戸建てだと耐震補強など必要になる。状態が良い場合は、内装の改装だけで済んだり、家具家電の調達費用ぐらいで済む。

目安として、竹田さんが家具家電を調達するのに50万円から80万円かかったと教えてくれた。

また、シェアハウスなので各世帯の居室の鍵は必須。小さい子供が一緒に住む場合が多いので、居室内で子供一人が閉じ込められないよう、鍵の位置に気をつけているそうだ。

単身者が多く住む一般的なシェアハウスだと、お風呂などの水回りは5人に1つぐらいで大丈夫だが、小さい子供のいるシングルマザーの世帯ではできれば3世帯にお風呂1つぐらいが望ましいと、秋山さん。

コロナ禍で、母子ハウスを探すシンママが増えたと感じる
母子ハウスを運営する仲間を求む!

母子ハウスを紹介するサイト「マザーポート」の認知度が上がったこともあるが、秋山さんは、コロナ禍で母子ハウスを探す人が増えたと感じている。

また、母子ハウスは主に小さい子供を持つシンママ達が入居する施設なので、子供が中学生になると卒業する事になる。しかし、複数の子供がいるシングルマザーの場合は、他の世帯とシェアする空間が少なく、長期間住むことができるアパートタイプの母子ハウスが求められているそうだ。

秋山さん達によると、母子ハウスはあらゆる地域で必要とされている。首都圏など仕事が多く見つかる地域は、母子ハウスの需要も高いが、待機児童が多くて保育園に入れず、結局入居できないというケースがあるそうだ。地方では、仕事は見つけづらいかもしれないが、保育園には入りやすいというケースがある。

秋山さんも竹田さんも、母子ハウスを運営する仲間を求めているので、ぜひ声をかけてほしいと熱く語っていた。運営側に回らなくても、空き家などの物件提供も待っているとのことだ。

健美家編集部(協力:野原ともみ)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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