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変貌しつつある新井薬師前に誕生、古い建具その他を生かした改修であっという間に満室

賃貸経営/ターゲット設定 ニュース

2021/04/22 配信

現在駅の改修工事が行われている新井薬師前
現在駅の改修工事が行われている新井薬師前

西武新宿線新井薬師前駅では現在駅の改修工事が進められている。JR中央線中野駅にも徒歩圏という割には、現時点では賃料が安め、駅周辺もそれほど繁華とは思えない街だが、そこに古い木造、RC、2棟の賃貸住宅をまとめて新築、改修して、独特な雰囲気で人気を博した物件がある。

時間をかけて再生を検討

元々の物件は築60年以上の木造2階建て、全8室の風呂なしアパートと築50年のRC造、4階建てで全6室のマンションである。

再生の話が最初に出たのは7年半前。古い思い出のあるアパートを壊すにはしのびなく、なんとか再生して事業を続けられないかというのがオーナーからの相談だったが、それを受けた株式会社スピークの宮部浩幸氏は試算した結果、収支が合わないと答えた。

建物の痛みがひどく、また、費用をかけて再生してもアパートが取れる賃料では改修は難しいと断ったのである。

それから時間が経ち、再度、宮部氏に同じ物件の相談が、前回の相談者の息子から持ち込まれる。前回は木造アパートの再生だけの話だったが、今回は隣に建つRC造のマンション「パブリック・ハイツ」と合わせて2棟で再生を考えられないかというのである。

1棟だけなら難しい話でも2棟になったら多少は検討の余地が生まれるのではと考えた宮部氏だが、すぐにそれにも問題があることが判明する。

築古アパートを解体、新築、RCを再生

銀行が木造アパートを再生するのでは融資はできないというのである。融資無しでは計画全体が進められない。そこで考えたのが木造アパートは解体、新築して、パブリック・ハイツをリノベーションして再生というプラン。木造アパートの建具その他をパブリック・ハイツのリノベに使うことで古い建物の歴史、記憶を残そうというのである。

写真右手の黒い建物が新築のアパート。奥が既存に改修を施したRC造のマンション
写真右手の黒い建物が新築のアパート。奥が既存に改修を施したRC造のマンション

限られた費用を効率的に使うため、新築アパートはローコストでの建設を得意とするビルダーに依頼、各フロアに1戸の1LDKを配するものとした。

西武新宿線沿線は高田馬場のような学生街を通っていること、沿線全体賃料が手頃であることなどから学生向けのワンルームが多いが、これからワンルームを作っても差別化は難しいという考えからである。

新たにエントランスホールを設置

エントランスを外から見たところ。ブロックを積むというやり方が面白い。オートロックが付いたことで価値をひとつプラスした
エントランスを外から見たところ。ブロックを積むというやり方が面白い。オートロックが付いたことで価値をひとつプラスした

パブリックハイツの改修ではエントランス周辺、住戸内が主なところ。まず、エントランス周辺ではもともとがらんどうのピロティだったところにブロックを積んで壁を作り、オートロックを入れてエントランスホールを作った。このホールは隣接する新築アパートとも共有する。

駐輪場とその奥が1階住戸の庭。1階だけはここから出入りも可
駐輪場とその奥が1階住戸の庭。1階だけはここから出入りも可

また、建物正面には駐輪場を作り、1階住戸の壁を除去して新たな壁を回して1階を庭付き住戸にもしている。不利になりがちな1階だが、こうしたおまけがあればプラスになるはずだ。

エントランスホールをギャラリーに

エントランスを入ったところ。いきなり、他の物件とは違う雰囲気に
エントランスを入ったところ。いきなり、他の物件とは違う雰囲気に

エントランスホールはギャラリーにもなっている。取り壊されたアパート、現在はすべて賃貸になっているパブリック・ハイツに住んでいたオーナーの父、マンションを建てる前の一戸建てだった時代に居住していたオーナー祖父の歴史、記憶を残すためのギャラリーである。

具体的にはオーナーの父が現地パプアニューギニアに行った時に買ったという画家ティモシー・アキスの絵を額装して飾り、照明を当てている。また、同じくエントランスホールのガラスに囲まれた中には俳人だった祖父と交流のあった文豪・谷崎潤一郎の原稿を額装したものが展示されており、ただならぬ雰囲気を醸し出している。絵画や文学に関心のある人なら由来を聞きたくなることだろう。

賃貸物件内で二次元コードというアイディア

ここで面白いのはその由来がその場で分かるようになっていること。作品の脇にオーナーが用意した二次元コードが用意されており、持っているスマホ等でそれを読み取ると解説があるwebページに飛べるようになっているのだ。

この仕組み、今回は絵画等の鑑賞に役立つ形のものになっているが、建物内の設備の操作などを二次元コードで表示する形にすれば内装の雰囲気を壊すことなく、複雑な情報をも伝えることができることになる。これからの賃貸住宅内では役に立つアイディアと思うが、どうだろう。

号室表記にもQRコード。部屋ごとに異なるイラストが使われている
号室表記にも二次元コード。部屋ごとに異なるイラストが使われている

エントランス内だけでなく、階段にも絵が飾られており、各住戸には住戸表示にジャーナリストだったオーナーの父が残した原稿に添付されていたイラストがあしらわれている。ここにも二次元コードが用意されている。

古い建具を使った印象的な室内

古い建具が使われた室内。独特な雰囲気がある
古い建具が使われた室内。独特な雰囲気がある

続いて2Kを広いワンルームに改装された室内だが、ここにもこの土地の記憶を感じる仕組みがある。

木造アパートの建具類を壁や欄間などを使っているのである。それによって鉄筋コンクリート造の建物に柔らかい、レトロな雰囲気が生まれており、古さが良い感じのモダンさに昇華されてもいる。他のよくある部屋とは一味も二味も変わっているのだ。

細かい使い勝手への配慮も魅力

トイレの手前に洗濯機置き場があり、その上に照明の乗った棒材。洗濯物干しに使える
トイレの手前に洗濯機置き場があり、その上に照明の乗った棒材。洗濯物干しに使える

加えて細かい部分に使い勝手への気配りがあるのも特徴。トイレの脇にある洗濯機置き場の照明は頭上に渡された棒材に設置されているのだが、この棒材は同時に洗濯モノを干す場ともなる。窓や桟の上の材は少し幅があり、小物などを置く棚として使えるようになっている。

右がデスクスペース。左は収納。元々あったわけではなく、新たに作られている
右がデスクスペース。左は収納。元々あったわけではなく、新たに作られている

収納+作業スペースとして作られたコーナーにはデスクが用意されているのだが、これは可動式。足元の壁にはコードを通すことを考えてそのための穴が作られてもいる。元々は6畳+4畳半にキッチンの2K、約30uを改装したワンルームで、それほど広くはないが、こうした使い勝手の工夫があれば同じ面積よりはずっと気持ちよく暮らせるはず。

実際、インテリアの独自性と使い勝手に反応したのか、9万4000円〜9万7000円という相場より1割ほど高い賃料ながら、募集から3週間ほどで全戸が埋まった。古い建具の利用は安い既製品を使うよりは高くつき、きちんとした新品を使うよりは安いというが、それでこれだけ他と違う場が作れれば元は取れそうである。

新井薬師の商店街から道を一本渡ると中野の飲食店街。利便性の高い場所なのである
新井薬師の商店街から道を一本渡ると中野の飲食店街。利便性の高い場所なのである

ちなみにこの物件、現在は駅から徒歩4分だが、駅の改修が終わると目の前に新しい出入口ができることになるとか。駅が物件に近づいてくるわけで滅多にないこと。こういう立地に物件を持ちたいものである。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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