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1棟貸して家賃26万円が50万円に大幅アップ。事例に学ぶ、ゴーストレストランという新しい貸し方

賃貸経営/ターゲット設定 ニュース

2021/09/06 配信

健美家が初めてゴーストレストラン、つまり、一般的には客席がなく、宅配専門で調理、販売だけする飲食店について取り上げたのは2020年3月のこと。東京オリンピックの1年延期が決まる直前で、コロナ禍が本格化し始めた時期である。

まだ、テレワークはさほど普及しておらず、その時点でデリバリー事業がこれほど急成長するとは想像していなかった人も多かったのではなかろうか。

デリバリー市場に参入多数

渋谷を歩いて見つけたゴーストレストラン。以前はメキシコ料理店だったはずだがと思っていたところ、その数日後の取材で取材にご協力いただいた会社が手掛けていたことが判明
渋谷を歩いて見つけたゴーストレストラン。以前はメキシコ料理店だったはずだがと思っていたところ、その数日後、取材にご協力いただいたGRC株式会社が手掛けた物件であることが判明

だが、それから約1年半。2020年3月時点では2016年に日本に上陸した「Uber Eats」、全国に6万店舗が加入する「出前館」、楽天ユーザーには便利な「楽天デリバリー」がメインでさほど選択肢はなかったが、2021年夏の時点ではフィンランド発の「Wolt」、中国発の「DiDi フード」のような海外資本から、日本企業が運営する「デリズ」(株式会社小僧寿し100%子会社)その他10社以上が参入。都心部のように参入する事業者が多い地域ではよりどりみどりと言った状況である。

ゴーストレストランニーズも急増

当然、ゴーストレストランニーズも増加している。普通に飲食店を出すためには不動産を借りるだけで500万円〜、20坪のスケルトン物件を改装、店をオープンできるようにするためには1000〜1500万円はかかるとされており、初期投資が大きい。しかも、それだけ投資しても成功するという保証はない。特に今のような時代にはこれだけの投資はリスキーである。

それに比べると客が来店しないゴーストレストランの場合、設備さえきちんとあれば内装にこだわる必要はなく、食器その他の用意もしなくて良い。最低限の費用でスタートできるのだ。

しかも、ゴーストレストランでは同じ場所で効率的に複数店を出したほうが儲かる仕組みになっており、そのあたりに刺激されてか、元々飲食をやっていた人以上にIT系の人たちが活躍。

少しずつ店舗も増え始めているという。最近ではゴーストレストランで成功した人がフランチャイズを始め、新たな場所を探す例も目に付くようになっているとも。

となると、不動産の活用法としてゴーストレストランがあり得るかに加え、どのくらいの収益が見込めるかが気になるところ。そこで、ここではそのあたりの事情をゴーストレストラン情報を扱うメディア、ゴーストレストランオンラインを運営するGRC株式会社(https://www.ghost-restaurant.info/)の経営陣3人に話を聞いた。

13坪で月に1200万円の売り上げ

まずは経営陣の一人、大山正氏と同社が運営するゴーストレストラン3軒の実績をご紹介しよう。それを見ていただければゴーストレストランの可能性が十分にお分かり頂けるはずだからである。

コンパクトなキッチンをフルに活用、様々な料理を生み出す
コンパクトなキッチンをフルに活用、様々な料理を生み出す

大山氏が最初に手掛けたのは元焼き鳥店を居抜きで借りてスタートした「ヒーローズキッチン恵比寿」。2020年11月のことである。

13坪の店内には2つのキッチンがあり、このひとつの場所で14業態が展開されており、売り上げは2021年6月の時点で1200万円に及ぶ。借りて運営している2人にとっては家賃、水道光熱費、Wi-Fiなどを折半できるのがメリットだという。

半年、1年の契約でも貸せる

期間限定でも貸せるのはメリットのひとつ
期間限定でも貸せるのはメリットのひとつ

2店舗目は渋谷駅前、再開発で誕生した渋谷ストリーム1階にある37坪の元レストラン跡を利用した「ゴーストレストラン渋谷」。元はメキシコレストランだったが、撤退後、ほとんど手を入れずにゴーストレストラン3店として再生することに。

山手線高架下に当たるため、ここを空き店舗のままにしておくと周辺に悪影響を及ぼすと懸念した東急からの相談だったという。

駅近という立地を考えれば次の店舗に貸すという選択もあったのではと思うかもしれないが、この場所にはいつになるかは分からないものの、道路拡幅の予定がある。37坪の店舗となると内装をやり直すだけで数千万円はかかるが、それでいつまで営業できるか分からないというのでは借り手は付かない。

だが、ゴーストレストランの場合、契約は半年、1年と短期。立地に客がつくわけではないから、短期で移転しても店は困らないのである。こちらの店舗は3キッチンで11業種が営業をしており、2月末からの営業で7月時点の売り上げは480万円。当初uberだけの扱いだったが、その後、FOOD NEKO、出前館の扱いが始まっており、それに応じて今後の売り上げ増が見込めるという。

700万円の投資を2年で回収

住宅、オフィス、店舗としては多少難あり立地でもデリバリー用なら問題ない
住宅、オフィス、店舗としては多少難あり立地でもデリバリー用なら問題ない

3例目は2021年6月にオープン、同社としての1号店となった「ゴーストレストラン御徒町」。昭和通りを挟んで繁華街と対する4階建ての小規模ビルで、従前は1階に飲食店1店、2〜4階を民泊として使われていた。ところがコロナ禍でどちらも営業がうまくいかなくなり、困ったビルオーナーからの依頼で同社が改修、新たな借り手を見つけるなどして再生することになった。

まず、1階に関しては既存キッチンを撤去して新たなキッチンを設置。設備一式に加え、防水なども施した。また、一括でしか使えなかった2〜4階を各フロアで分けて使えるようにして、2階は1階店舗の倉庫としてセットで貸すことに。

結果、1階には2キッチンが入り、賃料は月額15万円。2階を倉庫としてセットで貸しており、こちらは3.5万円。そこに水道光熱費、管理費などが加わるので約20万円というところ。改修に700万円かかつているが、月額20万円×2キッチンであれば24カ月もかからずに改修費用は回収できる計算である。

月額26万円の賃料が約2倍にアップ

面白いと思うのは飲食店のみを扱うのではなく、空いていたらオフィスを入れるなど柔軟にテナントを見つけられること。一般の不動産会社だと住宅、オフィス、店舗はそれぞれ扱いが別なので、そうはいかない
面白いと思うのは飲食店のみを扱うのではなく、空いていたらオフィスを入れるなど柔軟にテナントを見つけられること。一般の不動産会社だと住宅、オフィス、店舗はそれぞれ扱いが別なので、そうはいかない

加えて3階はITベンチャーにオフィスとして賃貸。こちらの賃料は月額10万円。さらに現在は空いている4階を1組限定の貸し切りパーティースペースとして活用しようと考えている。もし、ここが稼働し始めれば、収益はもっと上がる。

同社の運営しているゴーストレストランは現時点では感染対策からイートインを休止してはいるものの、基本的には普通にイートインが可能で貸し切りパーティーその他も想定したハイブリッド型のゴーストレストランなのである。

「従前飲食店が出た後、店舗は月額16万円、2階以上は一括で10万円で募集されており、その時点では1棟貸しても26万円。ところが、改修して新しくゴーストレストラン2店、オフィスで貸した結果、月額賃料は1〜2階で月額40万円、3階で10万円、計50万円と倍近くに増えています。さらに4階があることを考えると、使い方を変えることで収益は激変したと言えますね」とGRCの淺井佳氏。ゴーストレストランは化けるのである。

立地に難があっても十分貸せる

では、どんな物件ならゴーストレストランとして貸せるのか。

「立地に難があっても問題なく貸せるのが特徴です」と浅井氏。「たとえば駅から遠い環七に面したビルで店舗誘致に苦労していた例がありました。駅からは人は来ないし、車が停められないのでマイカー利用者にも利用しにくい。でも、デリバリーするなら幹線道路沿いはどこにでも行きやすく便利。一般的な不動産目線では二等立地、三等立地でも十分いけるのがゴーストレストランです」。

といっても利用者、配達する人がいない場所では成り立たないので、今の段階では地方都市、郊外は難しい。都心から23区内で人口が集積、そのうちでもリモートワークをしている人も多いエリアがターゲットになってくるだろう。そのあたりは大手デリバリー事業者の配達可能範囲を見れば想定できるはずである。

また、期間が限定、将来建て直しの予定があるような物件でも短期で貸すので十分使えることは前述した通りである。

地下1階の価値が上がる?!

階数では地下1階から2階くらいまで。配達用の自転車を路駐させないよう、3階以上は運ばないとしている運営者がいるため、3階以上は不利になる可能性があるからだ。だが、それを除けばこれまで1階店舗の賃料だけが飛びぬけて高く、地下、2階は安くなるという傾向が変わってくるかもしれないと鈴木雅之氏。

「今後、換気の問題から地下1階店舗が敬遠されるようになる可能性がありますが、ゴーストレストランなら問題ありません。2階も同様。客が来ないのですから視認性は関係なくなる。とすると地下1階〜1階、2階に賃料が平準化、どのフロアでも同等の賃料が取れるようになる可能性があります」(鈴木氏)。

倉庫スペースも含め、7〜8坪が目安

広さではひとつのキッチンで7〜8坪は欲しいところ。キッチンだけなら2.5坪〜3坪あれば良いものの、デリバリービジネスではひとつのキッチンで複数業態を展開するため、多くの食材を抱える必要がある。大型の冷凍庫を始め、在庫を抱えることになるため、そのための倉庫スペースが必要になってくるのである。もちろん、同じフロアにある必要はなく、例としてみた御徒町のように1階にキッチン、2階に在庫という手もありうる。

賃料としては20万円がひとつの目安と大山氏。

「需要を見越して新たに投資、ゴーストキッチンを供給する事業者が出てきているのですが、そうした事業者のキッチンは賃料30〜40万円が中心。ところが、ゴーストレストランはコンスタントに稼げはするものの、実店舗と異なり、アルコールの販売が無いため、売り上げが大きく化けることはありません。

10%前後は確実に稼げますが、それ以上にはなりにくいという特徴があるため、参入する人たちにとっては固定費をどれだけ抑えるかが大きなポイント。これまでに成功している人たちも間借りから始めるなどスモールスタートをしています。その状況を考えると30〜40万円はやや高い。そこで弊社では借りやすい賃料20万円以下での物件を中心に考えています」。

これまでの事例は元々飲食店だったところを居抜きで利用しているが、それ以外もあり得ると浅井氏。「田町、麻布などのマンション1室を改修した事例もあります。ただ、客が来ないとはいえ、飲食業の許可は必要で用途地域的に開業できるかどうかは場所次第。ガス、電気の容量などもありますし、ここで開業できるかどうかはお問い合わせいただいたほうが確実です」。

ちなみに同社は不動産を中心にしてきた浅井氏、飲食業メインの大山氏、飲食業と金融に詳しい鈴木氏などこれまでの常識でいえば異業種の人たちが集まって設立したもの。不動産業者だけでは不動産の問題を解決できなくなった時代にふさわしいことだと思う。

取材協力/https://www.ghost-restaurant.info/

健美家編集部(協力:中川寛子)

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