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女性サイクリスト限定シェアハウス+αに倉庫を改装。複合施設PanomaParkの工夫を見てきた

賃貸経営/ターゲット設定 ニュース

2023/03/06 配信

この建物は元々は倉庫。改装して地域に開かれた場所とした
この建物は元々は倉庫。改装して地域に開かれた場所とした

東京都調布市、以前は家具店及び倉庫などとして使われていた建物が自転車好きの女性向けのシェアハウス、自転車好きが集まるラウンジ、地域に開かれた空間Panoma Parkに改装された。

改装したのはリノベーションなど内装業を手掛ける株式会社Panoma。細かい工夫なども含め、見学させていただいた。

立地の特徴から自転車好き女性を対象に

物件があるのは京王線調布駅から武蔵境通りを歩いて10数分。敷地内には4棟の建物があり、当時、店舗として使われていた中央の1棟はデイサービスとして使われており、改装されたのはその他の3棟。現在、シェアハウスに改装された一番北側の建物2階に入っていた施設が2021年春に退去、その後をどうするかとなった。

「元々が主に病気を持った子どもとその家族のための滞在施設で、共用のリビング、キッチン、水回りと個室という物件。であれば、間取りを変えずにシェアハウスにするのが無駄がないだろうと考えました。

ただ、単にシェアハウスにするだけではなく、ターゲットを絞ったものにと考えて社内で検討。サイクリングコースのある多摩川に近く、サイクリストには有名な尾根幹コース(調布市から町田市を結ぶ南多摩尾根幹線)の入口が2〜3キロ先にあること、近くにトライアスロンチームがあって近隣に自転車に乗る人がいることなどを考慮、最終的には自転車好きの女性をターゲットにすることにしました」と同社DM部グループリーダーの掛谷亮太氏。

また、どうせ改装するなら、他に倉庫として使われている建物なども併せて複合施設とすることで魅力的に場を作ろうという考えから、シェアハウス以外に3つのスペースが誕生した。

設備の利用状況をライトでお知らせ

カーペットなども含め、高品質な造りであることが一目で分かる
カーペットなども含め、高品質な造りであることが一目で分かる

まずはシェアハウスESTARISTから見て行こう。玄関を入ると長い廊下があり、その左右に個室が7室。一番奥がキッチンのある広いラウンジ。その右手に水回りという配置で、全体に広々とした作りが印象的。内装、インテリアは居住者となる女性を意識したものになっており、各室にそれぞれ異なるアクセントクロスが貼られている。

部屋ごとにアクセントとなる色、柄は異なる
部屋ごとにアクセントとなる色、柄は異なる

部屋の広さは8.4uから10.2u、約5畳から約6畳くらいである。賃料は3万8000円〜4万8000円。共益費・管理費は全室1万7000円。近くを走る中央道に面した部屋は音に配慮、2重窓になってもいる。室内にはベッド本体が用意されており、部屋によっては棚が設けられていたりもする。

これが各室の前に設置されている
これが各室の前に設置されている

面白いと思ったのは各室のドア脇に用意されたStay、Okayという2種類のランプがつくようになっている黒いボックス。これは室内からスイッチを入れることで在室している、話しかけてもいいよという意思表示ができるという仕組み。入居者間のコミュニケーションを促す仕組みである。

リビングにあるのはこちら。トイレやシャワーなどかちあわせたくない施設の利用状況が一目で分かる
リビングにあるのはこちら。トイレやシャワーなどかちあわせたくない施設の利用状況が一目で分かる

もうひとつ、このボックスはリビングにも用意されている。こちらは2か所ある浴室、トイレの利用状況を表すもの。トイレを利用する際、電気をつけると同時にリビングのボードにランプがついて使用中であることが分かるようになっているのである。

コロナ禍でシェアハウス内の混雑度を気にする人が増えたのだろう、大型物件では入居専用のアプリを開発。水回り、ワークスペースなどの利用状況が分かるようにしたところがある。

だが、中小規模ではそこまでの費用はかけられない。だが、この仕組みなら電気の配線だけで可能になる。これからシェアハウスを作るなら、こうした配慮も必要かもしれない。

かなり広めのリビング。雰囲気の異なるコーナーがあり、それぞれが好きな場所で寛げる
かなり広めのリビング。雰囲気の異なるコーナーがあり、それぞれが好きな場所で寛げる

廊下を抜けた先にあるのはキッチンのある45uほどのLDK。率直なところ、入居者7人に対してはもったいないほどの広さである。ソファスペース、テーブルスペース、カウンタースペースと様々な場所が用意されている。

さほど大きなものではないが、あるだけで利便性は大きくアップする
さほど大きなものではないが、あるだけで利便性は大きくアップする

ここで目を惹いたのが壁際に置かれた個人の収納ボックス。シェアハウスの場合、水回り、キッチンには私物を入れるための個人ボックスが置かれることが多いが、リビングもその場で使うものが多い場所のひとつ。小さな工夫だが、利用者には喜ばれるのではないかと思う。これも真似できるなら真似してみたいところだ。

窓のある洗面所。化粧は陽光の下がベストというが女性向きならこうした配慮も喜ばれるのでは
窓のある洗面所。化粧は陽光の下がベストというが女性向きならこうした配慮も喜ばれるのでは

リビングと反対側には水回りがある。洗面所、バスルーム・シャワールーム、トイレはそれぞれ2つずつ。窓のある洗面所が他にない魅力だろう。

入居者は複数のラウンジの利用が可能

シェアハウスと廊下で繋がっているのが自転車好きの人のための会員制のラウンジ&サイクルピットSTAIRS。1階が作業場、2階がラウンジとなっており、シェアハウスへの入口はここになる。

自転車好きのためのスペース。一人でこうしたものを揃えるのは大変だ
自転車好きのためのスペース。一人でこうしたものを揃えるのは大変だ

1階は自転車の手入れをしたり、仲間と集まったりするための場として想定されており、工具や雨の日にもトレーニングできるキッカーローラーが2台用意されてもいる。トレーニング後のためにシャワー室、更衣室に鍵付きロッカーも設置されており、

PanomaParkで集合、自転車で走った後、最後にここで自転車を洗い、シャワーを浴びて…というような流れということだろう。

ラウンジ。壁の白い部分はスクリーンになる仕組み
ラウンジ。壁の白い部分はスクリーンになる仕組み

その上階はラウンジになっており、広さは46u。大型プロジェクターが用意されており、自転車仲間で集まってレースを一緒に観戦するなどの利用が多いそうだ。もちろん、映画鑑賞、単に仲間と集まってワイワイという利用もある。

STAIRSは会員制で月額3300円(税込)となっているが、シェアハウス居住者は無料で利用可能。シェアハウス内の広いラウンジに加え、こちらも利用できるのである。さらにもうひとつ、後述するが地域に開かれたスペースもあるので、居住者は自室以外に3つの空間を使えることに。このあたりはもっと広くアピールしても良いのではないかと思う。

トランクルーム。最近、街中ではトランクルームが増えているようで、利用に抵抗がない人達が増えているそうだ
トランクルーム。最近、街中ではトランクルームが増えているようで、利用に抵抗がない人達が増えているそうだ

また、STAIRSの奥には隣の建物になるが、トランクルームNESTがある。基本的には自転車やメンテナンスに必要な道具などを置いておくことを想定したものだが、もちろん、それ以外の利用も可能。スペースは0.9uから4.5uまで。24時間利用でき、料金は6270円(税込)からとなっている。

地域に開かれた空間が人を呼ぶ

ここまでの建物は廊下を通じて繋がっているが、それ以外にもうひとつ、通り沿いにはウッドデッキのある平屋の建物Living-Garageがある。これは地域に開かれた誰でも利用できる施設で、キッチン、トイレ、エアコンに飲み物の自動販売機が用意されており、Wi-Fiも使える。

内部の様子。トイレ、キッチン、自販機があり、Wi-Fiも使える
内部の様子。トイレ、キッチン、自販機があり、Wi-Fiも使える

倉庫だった建物の雰囲気を活かして天井その他はそのまま、塗装しただけの内装が逆に今どきな感じ。一方、通り側のウッドデッキ部分は壁だったところを改装、全面開けられるようにしてある。これによって室内、ウッドデッキ部分を一体化して使えるようにしてあるのだ。

この空間を利用、地元の人達がバザー、ワークショップ、ママ友の集まりなど各種イベントを開催、自転車好きが集まるなどされているそうで、地域の賑わいにも資するスペースとなっている。また、買いものの行き帰りに一息という利用も多いそうで、カフェをやって欲しいという要望もあるそうだ。

シェアハウスの利用者にとっては3つ目の使える空間ということになり、朝6時半から20時まで無料で使えるのはうれしい話だろう。

もうひとつ、Living-Garageに隣接するデイサービスの建物沿いには地元の人なら利用できるドッグランも作られている。コンパクトな空間だが、意外にない空間でもあり、喜ばれているのではないだろうか。

単身者には一般的な住まいの選択肢のひとつとなったシェアハウスだが、新たに作るにはそれなりの工夫も必要。複合的な施設として作る、細かい工夫を盛り込むなど参考になる点も多い物件だった。

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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