• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

空き家再生のヤモリ、家賃が高くて上京、進学を諦める学生を支援。空き家の可能性に挑戦

賃貸経営/技あり・話題の賃貸物件 ニュース

2024/05/27 配信

空き家はさまざまな可能性を秘めている。個人の資産、収益に繋がるのはもちろん、使い方によっては地域の財産になり、賑わいを生むことも。さらに社会課題解決に繋がることもある。

そうした可能性のひとつとして株式会社ヤモリがチャレンジしたのが家賃が高くて上京、進学を諦める学生を支援するためのシェアハウスである。

空き家を課題解決のためにシェアハウスに改装

2023年度時点での4年制大学への進学率は57.7%。文科省によると過去最高とのことだが、だからといって進学が楽になったわけではない。

親元を離れて下宿、進学しようとするとその分の家賃、生活費が必要になり、家庭によってはそれが大きな負担となる。それを補おうとアルバイトに励む学生もいるが、そうすると本来の学業に時間が割けないという本末転倒の結果にもなりかねない。

しかも、この負担は年々大きくなっている。私立大学のみならず、国立大学でも学費の値上げが取り沙汰されており、さらにコロナが明けて以降首都圏では家賃が上昇傾向にある。

光熱費を始め、さまざまなものが値上げされているのは多くの人が身近に感じていることであろう。その一方、企業に勤める人の賃上げ状況などはあまり芳しくない。

「家賃その他の生活費がハードルとなり、地方に住む学生のうちには進学、上京を諦める人がいること、進学してきてもちゃんとした食事がとれないほど生活に苦労していることなどを弊社でインターンをしている学生を通じて知りました。そうした問題の解消のために活動している学生団体があり、彼女たちに協力を要請されたのです。

弊社はそもそも事業として社会課題のひとつである空き家の再生に取り組んでおり、こうした社会課題があるなら、それに対してサポートすることも必要だろうと、ちょうどその直前、昨年12月末近くに自社で購入した空き家をシェアハウスにすることができないか、すぐに検討を始めました」と株式会社ヤモリの共同創業者・藤澤正太郎さん。

厳しいスケジュール、予算

残置物を撤去した後の状態のダイニングキッチン
残置物を撤去した後の状態のダイニングキッチン

その物件は東武東上線成増駅から歩いて15分。築50年以上の小規模戸建てで、最初に内見した時にはごみ屋敷となっており、床は傾き、一部は抜けているなど建物としてもかなり状況はひどかった。

ただ、トイレは洋式化されており、屋根、外装もリフォームされていた。古い一戸建てのトイレは現在のものよりコンパクトに作られていることが多く、交換するとなると間取りの変更を伴うことになるため、トイレひとつの交換が高くつく。

屋根や外装も同様に費用のかかる改修になるが、そこがなんとかクリアできそうという判断で購入していたものである。

シェアハウスにするつもりで購入したわけではなかったが、1階にDKプラス1室、2階に2室という間取りや駐車場無しという条件を考えるとファミリー向け戸建て賃貸としては難しいところもある。

であれば、シェアハウスとしての改修もありえると急ぎ、工事を進めることになった。学生を対象に考えた場合には新学期に間に合わせる必要があるためだ。

時間がないため、週末、祝日も返上、コストを抑えるため、学生たちもDIYに参加して工事を続け、新学期には入居できるスケジュールで3人が住めるシェアハウスが完成。現在は2人の学生が入居している。

スケジュールだけでなく、予算も厳しかった。学生団体の要望としては水道光熱費やWi-Fiなども込みで3万円台、できれば3万円以下で入居できるシェアハウスが要望だったのである。DIYには作業費を抑える意味もあったのだ。

従前の風呂。在来工法で作られており、非常に小さい上にタイルが割れているなどそのままでは使えなかった
従前の風呂。在来工法で作られており、非常に小さい上にタイルが割れているなどそのままでは使えなかった
スペースを考えてシャワーブースを設置した
スペースを考えてシャワーブースを設置した。反対側に脱衣所も用意

また、トイレは既存が使えたものの、在来工法の風呂は使える状態ではなかったため、撤去してシャワーブースと脱衣場に変えた。

ユニットバスを入れると高くつくためだ。ファミリー向けの場合、風呂が欲しいという要望が出ることもあるが、単身者であればシャワーブースでも問題のないケースが多い。

家賃3万円代×3人のシェアハウスに改修

改修後のダイニングキッチン。見違えるようである
改修後のダイニングキッチン。見違えるようである

そうした結果、家賃は3万円代、水道光熱費などを入れて家主であるヤモリに入る額は14万円ほどに。実際にはそこから学生団体への運営費、水道光熱費などを払うため、実質は10万円弱といったところだろうか。

居室部分。シンプルな空間となっている
居室部分。シンプルな空間となっている

シェアハウスではなく、一棟を普通に賃貸した場合でも賃料はほぼそのくらいと考えると、課題解決のために改修時点には大変な思いはしたとしても最終的に数字的にはさほど差のない結果となっている。

今どき、都内のシェアハウスであれば3万円台はあまり見ないはずだが、その賃料に設定しても、それが極端に収益を下げる結果にはなっていないわけである。

「それ以上に大事なことは自分たちも含めて、今の20代、30代は社会貢献に強く共感しているということ。私たちの今回の活動にも共感してくれている人が多くいます。

ヤモリは空き家を活用する投資家を増やすことで空き家の再生、ひいては空き家のある地域の再生を目指していますが、この思いに共感する人が集まり、それが事業を推進しています。単に自分の収益のためだけでなく、空き家を利用した個人の資産形成が地方の経済を支えるという社会性のある考え方が共感、積極的に活動に参加する人が増えているのです。

これからのビジネスでは会社のような階層的な仕組みではなく、収益だけを追う仕組みではなく、社会課題と共感がキーワードになってくる。そこがポイントです」。

長く経営をしている人であればここ10年、20年で貸す側、借りる側の力関係に変化があったことを知っている人も多いだろう。これからはそれ以上の地殻変動が生じるはず。そこで意識しておきたいのは変化がどのような形で現れるか。藤澤さんの言葉の中にはそのためのヒントが詰まっているのではなかろうか。

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

不動産投資ニュースのライターさんを募集します。詳しくはこちら


ニュースリリースについて

編集部宛てのニュースリリースは、以下のメールアドレスで受け付けています。
press@kenbiya.com
※ 送付いただいたニュースリリースに関しては、取材や掲載を保証するものではございません。あらかじめご了承ください。

最新の不動産投資ニュース

ページの
トップへ