コロナの感染流行状況下にあって、一冊の本が出版されていたことに気づき、関心をひかれた。「和室学」という書籍だ。昨今の若い人の住意識の中で「和室」のニーズが希薄になっている、という認識があったので意外の感を持ったのだ。
一方で、海外から見た日本ブランドの象徴となりつつあるという動向も踏まえ、これからの住環境デザインの中で「和室」というものがどういう価値づけになるのか考えるなかで、かつての住環境からの学び方を考えたい。
書籍「和室学」に至る流れ
コロナの感染流行下において、オリンピックが一年延期となった2020年の後半に、一冊の書籍が出版された。「和室学」というシンプルなタイトルの書籍だ。
なりたちは日本建築学会におけるワーキンググループで議論されてきたそれまでの活動を総括したものとなっており、建築史、生活史、住宅史、産業史の観点から、11名の論が集められている。
筆者の設計の中でも、住宅系で「和室」が要望されるケースが約半分、近年のプランニングでも和室というより畳コーナー、畳ルームなどとされることが多く、「住宅には和室がなければ」というのは時代として過ぎつつあるのかなという認
...この記事は会員限定です。
会員登録(無料)すると続きをお読みいただけます。
健美家会員のメリット
- 会員限定物件や非公開物件情報が見れる
- 最新のコラムニュース情報がメールで受け取れる
執筆:
(しんぼり まなぶ)