これから不動産投資を始めようと思うが「何から考えれば良いかよくわからない」という方も多いのではないだろうか。
巷には、多数の不動産投資に関する本があり、それぞれ一戸建投資向け、区分マンション投資向け、一棟もの中古アパート投資向けなど、不動産投資といっても様々な種類の本が溢れている。
ある程度、自分の戦略を持っている投資家であれば自分に合った投資法は何かを理解しており、そのような本を参考に不動産を買い進めていくこともできるだろう。
しかし、経験の浅い投資初心者が、これらの本を読むだけで、初めから自分に合った投資法を探すのは難しいと考えられる。
そこで、今回から数回に分けて「これから不動産投資を始めようとする人のための経営戦略入門」というテーマで、そのような投資初心者が自分に合った投資法を見つけ、不動産投資を計画的に始めるために必要となる事項を解説していきたいと思う。
ここでは、具体的なイメージを持ってもらうために、これから不動産投資を始めようと考えている不動三太郎（ふどう・さんたろう）氏の質問に、経営コンサルタントの紺猿吉（こん・さるきち）氏が答えるという形式で説明していく。
三太郎：紺先生、本日はよろしくお願いします。
紺：三太郎さん、こちらこそよろしくお願いします。三太郎さんは、不動産投資を始めたいと思っていると聞きましたが。
三太郎：そうなんです。でも、失敗した時のことを考えると怖くて躊躇しています。また、何から始めて良いのかも良く分からなくて。中古戸建や中古区分マンション、一棟もの中古アパートなど色々あるので、何に投資すれば良いかとか、お金はどうするかとか。
紺：確かに初めの一歩を踏み出すのは勇気がいりますね。不動産投資は事業ですから、会社を起業して新しい事業をスタートさせることに似ています。少しでも失敗するリスクを軽くするために、企業経営で使う経営戦略の考え方を理解すれば、怖さも和らいで、初めの一歩を踏み出す勇気が出るかもしれませんね。
三太郎：経営戦略・・・。すごく難しそうです。
紺：確かに経営とか戦略という言葉が出ると難しく感じるかもしれませんが、そんな事はないですよ。ベテランの不動産投資家の方などは意識する事なく、自然に身につけていると思います。三太郎さんも、すぐにマスターできると思いますよ。
三太郎：・・・。本当ですか？
紺：本当です。経営戦略といっても、そんなに難しく考える必要は無くて、３つのステップを理解してもらえば良いのです。
三太郎：３つのステップって何ですか？
紺：ざっくり言うと、①何のために不動産投資をするのか、目標を明確にする（経営理念・ビジョンの策定）、②その目標を達成するための自分の強みなどを分析する（環境分析）、③分析して分かった自分の強みなどを使ってどのように目標を達成するかを考える（オペレーション戦略）の３つのステップです。
三太郎：なるほど。この３つのステップだけなら私にも理解できそうです。でも、そんな事を考えずに、とりあえず利回りが高い物件を買い進めていくというだけではダメなんでしょうか。
紺：もちろん、利回りが高い物件があれば買ってもらっても差し支えないと思います。でも、三太郎さんが不動産投資をする目標を初めに決めておかないと、後で困るんじゃないでしょうか。目標が定まっていないと、どんな物件を何件買ったら良いかも分かりませんし。
三太郎：なるほど。まずは、そこからという事ですね。
紺：そして、目標が定まったら、まずは自己分析と三太郎さんを取り巻く環境の分析です。この環境分析をする事で、設定した目標を達成するための戦略を立てることができます。
三太郎：そうですね。そこで、次のステップで、具体的な戦略を練るということですね。
紺：その通りです！
具体的な戦略を練るにあたっては、一般的な企業でいうと「人事戦略」、「マーケティング戦略」、「財務戦略」などがあります。
不動産投資では、その中でも「財務戦略」などはイメージがつきやすいのではないでしょうか。
三太郎：確かに財務戦略とかは、すごくイメージが湧きます。不動産投資をする際の、まさに肝になる戦略ですね。
紺：そうですね。不動産投資事業では、財務戦略は最重要の戦略になってくると思います。経営戦略の概要は、ざっとこんな感じなのですが、理解してもらえましたか？
三太郎：イメージはつきました。有難うございます。
紺：良かったです。では、次回以降で三太郎さんの場合、具体的にどのような経営戦略を立てれば良いかを見ていきましょう。
経営戦略というと難しいものと思われがちであるが、これを身につけることで皆さんのこれからの不動産投資に少なからずプラスとなるだろう。
この連載を最後まで読んで頂くことで、不動産投資をどのように進めていけば良いかイメージを持ってもらい、実際に投資を始める方が一人でも増えることを願ってやまない。
執筆：（あきもと よしのぶ）
