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台風19号直後に財務省、財政制度等審議会開催。災害リスク軽視で国の支援減る?

不動産投資全般/災害・防災 ニュース

土地利用の変化が災害を増やす
市街化が進めば水の流出拡大

台風19号による豪雨災害が日本を襲った直後の10月17日、東京・霞が関で財政制度等審議会(財政審、財務大臣の諮問機関)の部会が開かれ、治水に関するインフラ整備のあり方が議論された。

台風19号は、各地に大きな爪痕を残した
台風19号は、各地に大きな爪痕を残した

ここで財務省が示したのは「災害リスクを軽んじた自治体の土地利用のあり方も浸水被害を拡大している」という厳しい指摘だ。

この考え方が広がれば、災害リスクへの対応を軽視していたとみなされる被災地域への支援に政府が消極的になりかねず、不動産投資家もどういった地域で資産を運用していけばいいのか、意識の変革が求められそうだ。

財政審では、学者などの有識者らが委員として、国の予算や決算などに関する重要事項を調査したり話し合ったりしている。現在おこなっている議論は、今年12月に行われる2020年度予算案の編成などにいかされる予定だ。

会長を務めるのは榊原定征氏(元東レ会長、元経団連会長)。財政審には、「財政制度」「国家公務員共済組合」「財政投融資」「たばこ事業等」「国有財産」の5つの分科会が置かれており、今回のインフラ整備に関するトピックは、財政制度分科会の歳出改革を検討する部会で議論された。

今回の部会で財務省が示した資料は、ダムや堤防などのインフラ整備が進み、ここ数十年、氾濫などによる浸水の面積が減ってきたが、近年は減少傾向がとまり、横ばいになっていると説明。理由について、豪雨の回数が増えているほか、「土地利用の変化が災害リスクを高めていることも軽視できない」とした。

具体的には、開発が進む前の土地は、雨水の多くが地中に浸透したり、水田にたまったりするので、下流地域への水の流出が抑えられていると指摘。

しかし、開発が進んだ後の土地は、地表がコンクリートやアスファルトで覆われたり、森林や水田がなくなったりして下流地域への水の流出が増えるとした。このため、市街化調整区域の市街化区域への編入などで市街化が進むと、浸水被害にあうリスクが高まるとした。

「居住誘導区域」に災害リスク
適切な避難で台風被害の抑制も

しかし、現状では「災害リスクを軽減するような土地利用の見直しが十分に行われているとは言い難い」。住宅や商業施設を集めてコンパクトなまちづくりを進める「立地適正化計画」を策定している269市町村を調べたところ、人口密度を保つ「居住誘導区域」に災害リスクのあるエリアが含まれている自治体は248市町村と、何と92%にも上った。

これを踏まえて財務省は、土地利用のあり方の変化で災害リスクが増しているにも関わらず、自治体などによる土地利用の規制や都市計画のあり方が十分でないと指摘。「(規制といった)ソフト面での対応の強化」をしていくことが必要とした。

財務省は災害を減らすため、土地利用のあり方を変えるよう求めている
財務省は災害を減らすため、土地利用のあり方を変えるよう求めている

10月17日の部会でも、委員からは、「台風19号の浸水被害があった地域のほとんどは、大雨の被害を想定したハザードマップで示されていた。適切に避難できていれば、被害がより抑えられた」といった意見が出たという。

インフラの整備だけでは不十分
不動産投資家も災害意識の変革を

財務省の指摘の根底にあるのは、治水対策にあたり、むやみに堤防などのインフラを整備するだけでなく、災害を避けるための土地利用のあり方について、自治体がしっかり自己責任≠果たすべきだという考え方だ。

台風による豪雨以外は、多くのインフラも破壊した
台風による豪雨以外は、多くのインフラも破壊した

政府内からは「財務省の考え方が広がれば、災害リスクのもともと高かったエリアが被災しても、支援が少なくなることも考えられる」との声が上がっている。

結果的に、その自治体で家やアパート、マンションを所有して人に貸したり、実際に住んだりする人への支援も少なくなりうる。

ある政府関係者は「今は自治体のホームページでハザードマップを簡単に確認することができる。確認を怠り、単に価格が安いといった理由だけで、災害リスクのある場所に物件を買ったりする行動は避けるべきだ」と警鐘を鳴らす。

今回の台風被害に絡んでも、内閣府が10月23日、告示を改正し、住宅の一部が損壊する被害を新たに「災害救助法」の対象とした。災害救助法が適用された自治体に関しては、損害割合が10%以上20%未満の住宅に対し、修理費用を最大30万円まで支援するというものだ。

財務省の考え方が広がれば、こうした支援も、災害リスクの高い地域の家屋には行われなくなるかもしれない。もちろん、有権者の反発を恐れる政権与党がそこまで踏み込むのは簡単ではないだろうが、不動産投資家も、災害に対する意識の改革が改めて求められそうだ。

執筆:小田切隆

【プロフィール】 経済ジャーナリスト。長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。ニュースサイト「マネー現代」(講談社)、経済誌「月刊経理ウーマン」(研修出版)「近代セールス」(近代セールス社)などで記事を執筆・連載。

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