進む銀行店舗の統廃合。一等地に残された跡地はどうなる?
かつて、駅前の一等地には必ずと言っていいほど、メガバンクや有力地方銀行、信用金庫、信用組合の支店が構えてあった。
ところが、今後は統廃合や小型店への移行が進められていて、有人店舗は姿を消しつつある。例えば、三菱UFJ銀行は今後6年間で全店舗の2割程度、みずほフィナンシャルグループは2024年度までに銀行・信託・証券の約500拠点のうち、計100店舗を削減する方針だ。三井住友フィナンシャルグループの場合、店舗の多くを小型に切り替えるという。
では、好立地に残された銀行跡地はどうなってしまうのだろうか。
他に活用する、売却するなどさまざまな手立てがあるだろうが、新たな取り組みを始めるのが三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)だ。なんと、三菱地所とともに駅前の再開発などを進めるための新会社を設立するという。
新会社はMUFGが6割、三菱地所が4割を出資する方向で調整していて、MUFGの子会社とする。先に述べた通り、MUFG傘下の三菱UFJ銀行は店舗の大幅削減を発表しているが、同行が保有する物件を中心に再編予定の全国100以上の店舗について、三菱地所の不動産開発の実績やノウハウを活用し、どういった物件や施設が、その地域にマッチしているか提言するといった方針だ。
銀行店舗が撤退しても街が衰退しないようにするのが狙い
銀行店舗は人が行きかう場所にあり、ある意味、地域の集客装置として機能してきた側面がある。
時代の変化によって店舗に対するニーズがなくなり、撤退を余儀なくされるのは仕方がないだろうが、跡地を利活用しないというのも、もったいない話。
銀行が不動産開発会社と協力して店舗の再編や跡地開発を進めるのはレアなケースだが、幅広いリソースを持つ三菱グループだからこそ、実現したといえる。銀行からすれば保有不動産の有効活用、不動産会社からしても新規案件につながるので、決して悪いことではない。いずれは、他グループにも波及する可能性がある。
また、再開発により魅力的な施設などが誕生すれば、街の衰退にも歯止めがかけられる。地域の活性化が周辺の不動産価値の向上に寄与するかもしれない。
不動産投資家にとっても、こういった動きは歓迎すべきトピックだ。銀行跡地の再開発を見越して土地を仕込んだり、さまざまな戦略を取ることができるだろう。
健美家編集部(協力:大正谷成晴)