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金融庁の一斉調査はレオパレス社破たんへのカウントダウンとなるか

不動産投資全般/社会問題・情勢 ニュース

2019/03/25 配信

施工不良問題で渦中のレオパレス物件への融資を行なった金融機関に対し金融庁は先月(2月16日)、一斉調査に乗り出した。

レオパレスの破たんから、レオパレス物件に対する地方銀行の債権の貸し倒れを懸念したことがその理由とされている。

具体的には、レオパレス物件を建築する際に融資している地方の金融機関に対し、どれくらいの規模の貸付残高があるか、その中で返済が滞りそうな額の推計値などを詳しく調査するものだと考えられる。

写真はイメージ
写真はイメージ

レオパレス物件の施工不良問題についてはすでに様々な報道があるためそちらに譲るとして、本稿ではレオパレス社の先行きと投資家への影響について検討する。

■放送されなくなった「恋するレオパレスのCM」が暗示する未来

毎年1月から3月といえば、不動産賃貸業界では年に一番の繁忙期である。大家さん以外の方はなかなか意識していないと思うが、毎年1月になると、大手賃貸業者のテレビCM合戦が繰り広げられる。

もちろん大手は年間を通してテレビCMを放送しているが、この時期は特に放送回数が多いのが実感として捉えられる。

レオパレス社も同様で、本来であればこの時期に最もテレビCMを流すはずである。

しかし、現時点でレオパレス社はテレビCMの放送を一切行わなくなっているのである。

一部報道によればCMに出演している女優「広瀬すず」事務所との違約金トラブルが発生しているとのことであるが、この時期にテレビCMを放送できないことは、今後のレオパレス社の賃貸収益に多大なる影響を与えるのは想像に難くないだろう。

■増える空室、乏しい資金、待ったなしのサブリース支払い

レオパレス社は物件の施工不良により、すでに入居者約1万4000人に対して、引っ越しを要請している。つまり、レオパレス物件の空室率が上昇することが予想されるのである。

さらに今現在、不備が発見された建物の新規入居募集は行うことができず、改修工事が完了するまで空室のままとなる予定だ。

全ての物件の改修工事を完了するには1年から2年以上もかかることが予想され、その間に賃貸収入がストップしてしまうことが懸念されている。

さらに、たとえ不備のない物件であったとしても、レオパレス物件全体のイメージダウンにより、新規入居が敬遠されるなど影響は大きいと思われる。

しかし、レオパレス物件はそのほとんどがサブリース契約である。すなわち、たとえ空室となっても、物件のオーナーに対しては決まったサブリース賃料を支払わなくてはならないということだ。

2018年6月のレオパレス21の有価証券報告書によれば、その支払うサブリース賃料は、年間で約2780億円、月々232億円である。

それに対し、もともとの賃貸事業の売上は約4294億円(2018年6月)だが、この大半が空室になるとすると、明らかにサブリース賃料の支払い原資が不足することとなるのである。

ちなみに、レオパレス社には現預金が約786億円(2018年6月)しかなく、仮にほとんどの物件で空室となった場合に、サブリース賃料を支払い続けると3か月ちょっとで、手持ちの現預金が底をつく計算となる。

つまり、客観的に見ても、「崖っぷち」なのである。

実際には一部入居者からの賃料売上は継続され、手持ちの現預金だけで資金繰りを行うわけではないため極論ではある。

しかし、イメージ低下による新規建設や新規入居は絶望的な状況であり、今後、レオパレス社の体力が残っている間に業績を改善することができるかは定かではなく、事態はかなり深刻である。

■レオパレス物件への融資は困難

すでにレオパレス物件に関しては多くの金融機関で、アパートへの融資をしていない。昨年の施工不良報道から都市銀行、地方銀行、信金信組などではレオパレス物件への融資を問答無用で却下するようになっている。

健美家ユーザーの中には、レオパレス物件が投げ売り状態になった時に、激安で買いたたきたいなどと、オーナーの苦悩は蜜の味と考える人もいるかもしれない。

もちろん、投資家としてチャンスをきちんと救い上げていくのは大切なことであり、買いたたくことに対する肯定も非難もしない。

ただ、レオパレス物件というだけで融資がつかない状態になっている以上、購入する際には全額現金で行うか、自分なりの融資ルートを見つけておく必要があるということだけは肝に銘じてもらいたい。

■金融再編への最悪のシナリオ

このレオパレス物件の施工不良問題の行く末はどうなっていくのだろうか。

投資家として一つ最悪のシナリオがある。それは地方銀行の業績悪化による吸収合併だ。

レオパレス社破たんによる、サブリース賃料支払い停止、レオパレス物件オーナーの銀行返済停止による、レオパレス物件融資の不良債権化である。

一般的に言って、銀行とは利ザヤが極めて小さな業態である。
具体的には、売上げが100億円あっても純利益は一桁億円しかない銀行も存在するのである。

つまり、レオパレス物件への貸付残高が1棟当たり平均1億円だとすると、10件が不良債権化するだけで赤字に転落する銀行が出てくるのである。

地方の人口減少による生産年齢人口の低下、マイホームなどの消費の低下などは、融資をしている地方銀行の業績にも大きな影響を与えている。

日本にはおよそ100の地銀、第二地銀があり、信金等を合わせるとその数は300も存在する。業績の低迷する銀行も存在し、銀行業界は全体として再編に向かっているのである。

今回のレオパレス物件施工不良問題は単に物件の建築基準法違反だけの問題にとどまらず、レオパレス物件への融資の不良債権化による一部地方銀行の業績悪化に飛び火する可能性がある。

業績悪化は地方銀行を金融再編のシナリオに組み込む絶好の機会である。

仮に銀行自体の破たんは免れたとしても、体力のある銀行への吸収合併により、これまで投資家に融資をしてくれていた銀行が吸収されてしまう可能性は否定できないのである。

■レオパレス問題はサブリース終焉の序章なのだろうか

健美家ユーザーであれば「サブリース」は基本的に「イケてない」手法だとの共通認識を持っているだろう。

新築プレミアムがある、最も家賃が高い時期をサブリースとして搾取され、家賃が下落するころには、家賃改定を申し込まれるというのが基本的なサブリース契約の動きだからだ。

入居者がいないにも関わらず、未来永劫、新築時と同額のサブリース家賃が続くなど、常識的に考えれば、そもそもムリだとわかるであろう。

テレビで宣伝している業者だからといった、企業の財務基盤とは全く無関係な理由で、信用して建築してしまうことがレオパレス物件に限らず、サブリースの悲劇を生むのである。
もちろん、サブリース自体はうまく活用できれば、投資の幅が広がる手法ではある。

しかし、サブリースを活用するというのは、投資家でも、かなりベテランでないとできないものである。具体的には融資条件を勝ち取るために、短期サブリースを利用する以外には、投資家としてそのメリットを享受する活用法はないが、素人にはなかなか難しい手法である。

今回のレオパレス問題は「建築基準法違反」という、極めてわかりやすい「違反」が問題とされたば、本来の問題はそもそも「大家に高額な借金をさせ建築しサブリースで保証する」というこのビジネスモデルそのものである。

空室の埋まらない物件に対するサブリースを30年間ずっと保証できる企業がどこにあるのか、そのビジネスモデルは、本当に30年間継続できるビジネスモデルなのか。

初歩的で基本的なことを一人一人が自分の頭で考えて投資をするべき時代が到来したのだ。

かぼちゃの馬車も同様だが、投資家一人一人が理論武装し賢くなれば、そもそも破たんが予測されるようなビジネスモデルは広がらなかったはずである。

そういう意味で今回のレオパレス物件の施工不良問題で学んだ人たちによって、不動産投資はより健全化されるだろう。

後世、かぼちゃの馬車やTATERU、そしてレオパレスは日本におけるサブリース終焉の序章と認識され、我々、今を生きる投資家はその歴史の証人となる可能性がある。

【執筆者プロフィール】
記者:姫野秀喜
不動産投資コンサルタント 1億円大家さん 姫ちゃん(姫野 秀喜)1978年福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円を超える大企業の会計・経営コンサルティングに従事。激務の合間に不動産投資を実施し短期間で資産1億円を達成。高い問題解決能力で、一人一人に合致した戦略策定から実行までを一貫してサポートする無料コンサルを実施している。
週刊ダイヤモンド、週刊ビル経営などに記事掲載、近著に「売れない貸せない利益が出ない負動産スパイラル(清文社)」がある。

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