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郡山・ロカド香久山に学ぶ、今、郊外・地方に足りていない物件は?

不動産投資全般/社会問題 ニュース

2020/09/21 配信

コロナ禍で自宅で過ごす時間が増え、現在の住まい、住んでいる場所に不満を持つ人が増加、住替えニーズが高まっている。たとえば、リクルート住まいカンパニーが2020年5月22日に発表した「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査では引き続きテレワークを行う場合、テレワーカーの48%が間取り変更を希望し、24%が現在の家からの住み替えを希望しているという。

あるいは2020年6月21日の内閣府の「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によると、東京23区に住む20代のうち、地方移住に関心を持つ人は35.4%となっている。

実際、リゾート物件専門サイトや空き家掲示板等の閲覧数は増加しており、環境の良い場所に広い住まいを、できれば安価に手に入れたいというニーズが高まっていることが想定される。

地方に目を向ける人が増えているといった趣旨の記事も増えているのだが、ひとつ、これらの記事が見落としている点がある。首都圏郊外、地方の賃貸住宅事情である。

非常に簡単に言ってしまうと、都会に住んでいる人が郊外、地方に移り住もうと思っても適当な物件がない、あってもごくわずかなのである。

近郊、地方にはニーズに合う物件がない!

リゾート物件、空き家などを買っている人は出ており、実家の近くなど土地勘のある場所に住宅を購入、Uターン、Iターンという事例も聞く。

しかし、全く土地勘のない場所でいきなり住宅を買う、建設するのはリスクが高い。とりあえずは家を借りて様子を見ようと思うのが常道だろうが、そのための住宅がない地域が圧倒的に多いのである。

一都三県を中心に首都圏でも郊外では賃貸住宅といえば単身者向けが中心で、他には多少新婚カップル向けがあるという地域が大半。しかも、そうした物件はほぼハウスメーカーなどによる、非常に均質で面白味のない物件であることが一般的である。

さらにファミリー向けとなるとほぼない地域も多数ある。ファミリー向けでは分譲賃貸も候補になるが、地域によってはそもそも分譲マンション自体が存在しないこともある。

だが、そんな地域に都会に住んでいた人が満足するような質の賃貸住宅があったらどうだろう。地元の不動産会社の多くは地域の人を対象に物件を企画するため、都会の感覚の物件を否定しがち。いわく「この土地ではそんなニーズはない、そんな高い賃料では借りる人はいない」。

だが、それは一方的な見方。それまでそうした物件がなかったことはニーズがないこととはイコールではない。これまで各地でそれまで地域に無かった新築、リノベーションなどの住宅を多数見て来たが、そのうちには「ここでは無理」と言われながら、工事中に満室になった例も少なくないのである。

地域の価値を上げる物件を意識

中庭を囲んで3棟の建物が向かい合うロカド香久山。植栽も豊富
中庭を囲んで3棟の建物が向かい合うロカド香久山。植栽も豊富

実際、地方にそうした物件ができればきちんと埋まる。その好例が今回のコロナ禍の中、2020年4月に福島県郡山市に完成内覧会を行ったロカド香久山だ。同物件があるのは郡山駅から車で12分ほど。かつての奥州街道の宿場町「小原田」を見下ろす小高い丘の上にあり、東京の感覚でいえば山手線内くらいの距離感だろうか。

1階の1LDK住戸。天井の高さ、窓の大きさと開放的な住まいだ
1階の1LDK住戸。天井の高さ、窓の大きさと開放的な住まいだ

誕生したのは2階建て(一部平屋)の3棟が豊富な植栽が施された中庭を囲む、周辺ではあまり見かけないスタイルの14戸。間取りは42.75uの1LDK〜66.34uの2LDK。天井の高い、開放的な室内もおそらくはこの地では珍しい住戸だろう。

建てたのは江戸時代中期からこの地で農業を営み、祖父の時代から賃貸業に転じたという古川広毅氏率いるトラスホーム。代替わり後に初めて建てる物件ということもあり、時代の転換期にふさわしい、地域の価値を上げる物件をと考え、近年郊外の価値を上げる物件を多く手掛けるブルースタジオと組んだ。

「元々は更地で、何が建つのだろうと周辺からは注目を集めていたようです。賃貸住宅とは説明していましたが、この地では賃貸というとハウスメーカーのイメージが強く、そうではないことから高齢者施設じゃないかと思っていた人もいたそうです。この辺りでは賃貸で10万円払うなら戸建を建てるという感覚がありますが、その賃料でも選んでいただける住宅、長く住んでくださるこの土地のファンを作ろうと考えました」。

外から来る人には相場は無縁

完成後の内覧会イベントで餅つきをする古川氏。近隣の人たちも多く集まり、これまでにない賃貸住宅を見学した。この経験がいずれ、こんな物件を作りたいと次に続く人を育てるのかもしれない
完成後の内覧会イベントで餅つきをする古川氏。近隣の人たちも多く集まり、これまでにない賃貸住宅を見学した。この経験がいずれ、こんな物件を作りたいと次に続く人を育てるのかもしれない

最初の1カ月は反応がなかったそうだが、近所のラーメン屋さんに来た人が建物を見かけて「ここに住みたい!」と申込みが入り、それを皮切りに徐々に埋まり始めた。しかも、面白いのは非常に多様な人が入居しているということ。単身者もいれば、新婚さんもおり、中には戸建に住んでいた人がセカンドハウス(!)にと借りる例も。年代も20代〜60代と幅広い。2020年8月現在ではコンパクトな1LDK1戸を除いて入居が決まっている

夜景も印象的。こうした風景もここに住みたいと思ってもらうための大事な要素
夜景も印象的。こうした風景もここに住みたいと思ってもらうための大事な要素

「天井の高い、坪いくらという考えには収まらない空間となっており、かつ専有部分以外の中庭などの価値もある。それをどう伝えるかが大事なのですが、今回はそのためのプロモーションがほぼできなかった。その状況を考えると、それでもここまで決まったのは良い成績と言ってもよいのではないかと思います」とブルースタジオの大島芳彦氏。

気になる賃料は2LDKで10〜11万円台。

「隣の中古アパートより2万円ほど高く、新築のハウスメーカーのアパートよりも少し高め。郡山の相場ではマックスとなる坪6000円ほどに設定しています」と古川氏。あまり高くしてもと、やや控えめな賃料設定になっているようだが、個人的にはこの空間ならさほど高くはないのではないかと思う。

よく「この地域の相場はいくらだから」という言い方を聞くが、他から来る人間にはそれは関係ない。家賃を下げたいから郊外、地方へという選択の場合は別として、都会で10万円のワンルームに住んでいた人なら、地方で3万円、相場並みの木造アパートを良しとすることはあまり想定できない。逆に相場の2倍、3倍であってもかつて住んでいた部屋に近いレベルの部屋を探すはず。その土地の人間の目と外から来る人間の目が見ているものが違うことを意識しないと、せっかく、都心から郊外、地方へ向いている目のニーズをキャッチできないことになる。

これは民間だけではなく、地方自治体も同様。本気で人を呼び込みたいと思っている自治体ではお試し居住ができるような施設を作っている。

「いきなり移住はハードルが高いため、トライアルステイを受け入れる住宅は大事。試しに住んでみて、そこから考えるようにしないと人は増やせません」と大島氏。近年は地方都市の中心市街地再生関連の仕事でトライアルステイのきっかけを掴みやすい賃貸住宅を提案するケースも増えたそうで、住宅ニーズをきちんと読み取れるかどうかはこれからの地方の自治体の盛衰を左右するポイントでもあるのである。

近郊、郊外にチャンスがやってきた

だが、現在、郊外、地方にそうした物件がないということはチャンスである。そこに選ばれる物件を作る余地があるからだ。競合がないということだからだ。

「20年前の東京も同じように賃貸といえば単身者向けか、ファミリータイプなら田の字型の和室中心の部屋しかありませんでした。でも、この間で大きく変わってきた。これまでになかった物件ができたことで新たなニーズが掘り起こされ、こんな部屋に住みたいというニーズを生み、それに応えて市場が変わってきたのです。郊外、地方でもこれまでになかった物件が生まれることで市場が変化、新たなニーズが生まれる可能性はあります」と大島氏。

郊外、地方に目が向いている今、そこに物件を建てることで新たな市場が開拓できる可能性があるというわけである。なかなかにエキサイティングな状況ではないだろうか。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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