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国の借金、いくらになっても大丈夫? 「MMT=現代貨幣理論」注目も、急インフレで投資家はケガの恐れ

不動産投資全般/社会問題・情勢 ニュース

2021/04/08 配信

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お金をどんどん作れば借金の返済は可能?
財政赤字はむしろ「善」、お金はコロナ対策に

現代貨幣理論(MMT=Modern Monetary Theory)という経済理論が改めて注目を浴びている。「『円』『ドル』のように、自分の国の通貨を持つ国はいくらでもお金を作って返済にあてられるので、国はいくら借金をして景気刺激のための政策を行っても大丈夫」という理論だ。

とくに足元では新型コロナウイルス禍からの景気回復が喫緊の課題で、MMTが魅力的な「特効薬」に見えるのだ。

だが、「急激なインフレを抑えられるのか」「バブルを招くのでは」という懸念は正統派の学者らの中でも根強い。不動産投資も、金利や不動産バブルといった事態に追い込まれる恐れもあり、MMT「採用」は慎重になったほうが良さそうだ。

改めてMMTの内容をみてみよう。

自分の国の通貨建てで国債を発行し借金できる国は、いくらでも自国通貨を作って返済できる。このため、いくらでも国債を発行して財源を調達し景気対策にあててもいい、とする。

コロナ対策の場合なら、ワクチンの普及や医療体制の確保、中小企業や労働者への支援など、さまざまな使い道が考えられるだろう。

支出が税収を上回り、足りない分を国債発行などの借金で穴埋めしている状態を示す「財政赤字」は通常「悪」とされるが、MMTでは許されることになる。

ただし、MMTを主張する人たちも、無制限で借金を増やすことを認めているわけではない。あくまで、全般的に物価が上昇する状態を指す「インフレ」を抑えることを前提としている。具体的には、増税や財政支出の削減などで対応することになるだろう。

初めは米民主党の急進派が支持して注目
日本は「実験場」?債務が1182兆円でも0.1%の低金利

MMTが最初に注目されるようになったのは2019年ごろだ。女性のステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授らが主唱者で、米民主党の急進派が支持して有名になった。

当時、民主党の次期大統領の有力候補と目され、若者の人気があったバーニー・サンダース上院議員や、史上最年少の女性下院議員となったアレクサンドリア・オカシオコルテス氏(当時29歳)が賛成したことが、注目に拍車をかけた。

今年1月に就任したジョー・バイデン米大統領も民主党だ。3月31日には、コロナ対策などとして8年間で2兆ドル(220兆円)をインフラ投資や気候変動対策などに充てる政策を発表した。財源確保にあたって、どこまでMMTの考え方が反映されるのか注目される。

バイデン米政権がMMTの考え方をどの程度反映するのか注目される
バイデン米政権がMMTの考え方をどの程度反映するのか注目される

一方、日本は「MMTの実験場」とも呼ばれている。安倍晋三・前政権下で始まった「異次元の金融緩和」と国債の巨額発行で財政赤字が拡大しながらも、金利は低く抑えられ、市場に混乱は起きていないからだ。

2020年度末での国と地方を合わせた長期債務残高は1182兆円で、対国内総生産(GDP)比207%と、先進国で最悪の水準。一方で、長期金利は0.1%程度という歴史的な低水準に張り付いている。

インフレも起きていない。国債をいくら発行して財政支出を増やし、財政赤字を膨らませても市場が混乱しない「証拠」ともいえるのだ。あとは日本政府のもくろみ通り、景気が力強く回復していけるかが注目される。

もっとも、日本政府はMMTに否定的で、「実験場」との見方を否定している。国会議員の中には、MMTを採用するよう政府に求める声もある。

急激なインフレは止められない懸念
不動産投資は資産価値の目減りや融資金利の上昇も

しかし、MMTに懸念はないのだろうか。

一番の懸念は、MMTが急激なインフレを引き起こさないかだ。政府がどんどんお金を調達して景気対策につぎこんだり、お金を作って借金を返したりすることで、市場に出回るお金が増え、急激なインフレになる恐れがある。

MMT論者はこのインフレを「抑える」とするのだが、抑えるためには、消費税を増税したりして買い物の意欲を冷やしたり、支出そのものを減らしたり、金利を上げて銀行から借金する動きをスローダウンさせたりといった対策が必要だ。

しかし、消費税増税をめぐる騒ぎでもわかるように、日本の場合、増税には反発が強い。さまざまな社会サービスへの支出が減ることにも反発があり、選挙に負けるのが怖い与党は、思い切った支出削減に踏み切れないだろう。

不動産の資産価値はインフレ下で目減りする恐れもある
不動産の資産価値はインフレ下で目減りする恐れもある

また、不動産の場合、価格や家賃の水準が、物価全般の急激な上昇に追い付かない可能性がある。たとえば、日用品の価格全体が1.5倍になっても、流動性の低い不動産の価格が突然1.5倍になる可能性は低く、その分、持っている資産の価値が目減りすることになる。家賃も、物価上昇のペースにあわせていきなり1.5倍へ上げるのは困難だろう。

また、インフレと景気の過熱を抑えるため日本銀行が金融政策の引き締めに走れば、金利が上昇し、不動産投資のために組んだローンの返済計画が狂いかねない。

たとえば、5000万円のローンを35年間、金利2へ3%上がったとすると返済額は月24万556円へと、約7万5000円も増える。

このほか、1980年代から90年代にかけてのように、余ったお金が流れ込んで土地の価格が急騰するバブルが生まれる可能性も否定できない。これはこれで、政府は過去の教訓からバブル退治にすぐ乗り出すだろうし、土地価格の乱高下があれば、痛手をこうむる投資家がたくさん出てくるはずだ。

懸念される副作用を考えれば、MMTは「極論」といえる。

だが、コロナによる経済の打撃が長引けば、想定外にどんな経済理論が支持され主流となるかわからない。不動産投資家としても、今後のMMTをめぐる動向に注目したい。

取材・文 小田切隆

【プロフィール】 経済ジャーナリスト。長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。ニュースサイト「マネー現代」(講談社)、経済誌「月刊経理ウーマン」(研修出版)「近代セールス」(近代セールス社)などで記事を執筆・連載。

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