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【物価高直撃】大規模修繕の受注現場で起きていること【削られる安全対策・調査義務】

不動産投資全般/社会問題・情勢 ニュース

2024/05/15 配信

「大規模修繕にかかるコストを少しでも抑えるために、さまざまな手段で費用を抑える大家さんが増えています」

こう話すのは、大規模修繕工事を手掛ける株式会社マツミ(大阪府茨木市)の宮脇みき社長だ。同社の施工実績は55年間で3万件以上、賃貸住宅のみの場合でも1万件以上に上る。

大規模修繕にかかる費用は大家さんにとっては大きな負担だ。経費として計上できるものではあるが、やはり物価高の昨今、より財布の紐は固くなるのも理解できるだろう。

カットしていいコストと悪いコストがある。
カットしていいコストと悪いコストがある。

ただ特筆すべきは、コストカットのために実際に削る対象とされやすくなっているのが、下記の2つであるということだ。

【コスト削減のターゲットにされやすい費用】
◆2022年4月1日から義務化されたアスベスト調査報告費用
◆安全対策費用

コストを抑えるために軽視されがちになっているのは、言い換えれば入居者や周辺住民の安全への配慮だと言っても過言ではない。

同社は企業の方針として、オーナー一人一人の予算に合わせた大規模修繕の提案はするものの、法律で定められた義務や安全対策を削るといった方法はとっていない。

工事中はもちろん、工事後の入居者や周辺住民への配慮を怠らないことが、結果的にオーナーの信用を守ることにもつながると考えているためだ。

だが、そのようにオーナーのためを思って作成した見積もりは、受注率が下がってしまった。見積もりの段階で半数以上は受注できていた同社だが、4月以降の施工分に関しては受注が4割程度に減少しているという。

全ての改修工事で必要なアスベスト調査をしない

相見積もりを取ったオーナーが削る判断をすることがあるアスベスト調査費用は、1棟12戸規模のアパートであれば20-30万円程度だという。

アスベスト調査自体は100万円未満であっても必要だが、報告の義務は100万円以上の工事とされている。

そのため、100万円未満に見積もりを何枚かに分けて作成することで、アスベスト調査費用(報告費用)を浮かせているのだという。

「工事金額に関係なく調査は必要なので、正しく法令を遵守している会社であれば、見積もりの中にアスベスト調査費用を明記しているか、見積もりの中の諸経費の中に含まれているはずです。しかし、100万円未満なら報告義務がないのでアスベスト調査自体をしないという法の抜け道のような事態が起きています。」(宮脇社長)

アスベスト調査の報告対象となる工事は以下の通り。

【アスベスト調査の報告対象となる工事(抜粋)】
o床面積の合計80 ㎡以上建築物の解体工事
o請負代金の合計額税込100万円以上の改修工事
o請負代金の合計額税込100万円以上の工作物の解体・改修工事

例えば外壁塗装なら、1年ごとに外壁1面ずつ4回の工事に分けて、一回の受注金額が100万円未満になるように提案してきた工事業者の見積もりを選択する。

この方法自体は悪いことではなく、全面を行うより足場代や諸経費がかかってもオーナーの負担が減ったり、予算内で行えたりするので一見良いアイデアのように思える。だが、その方法を行う目的が「アスベストの報告義務から逃れるため」であるとするなら話は違ってくる。

万が一入居者や周辺住民に真意を知られた場合、
「アスベストが使われていることが判明するのを恐れているからではないのか」
「入居者の健康はどうでもいいと考えているのか」
と、オーナーが意図していないことを思われてしまうリスクもある。

安全対策費用を削る行為は職人と入居者、周辺住民の危険に

もう1つの削られやすい「安全対策費用」とは何か。

大規模修繕を行う際に、労働災害を防止したり安全を確保したりするためにかかる費用のことで、足場や手すりの設置などがそれに当たる。

安全で丈夫な足場の部品を減らすなどして簡素化させることで、強風などで倒れやすい貧弱な足場を設置するのだという。

安全対策を削ることで考えられるリスクは、
・職人の安全性が犠牲になる
・不安定な足場が崩れ入居者や周辺住民がケガをする恐れがある
・強風で倒れ周辺物件を傷付ける可能性がある

もし、安全対策費用を削ったことで事故が発生した場合、責任を負うのはオーナーだ。

仮に、事故が起きた場合の責任は工事会社が負うことを前提に契約をしていた場合でも、原因を追求されればオーナー側で望んだことで起きた事故であることは知られてしまう可能性もある。

信用を失う時は一瞬。
大規模修繕を行う際は、人の安全や信頼と、自分のお金のどちらが大事なのかを今一度考えてみることが重要だ。

取材・文:土田絵理(つちだえり)

土田絵理

■ 主な経歴

取材記者、クリエイター、アーティストなど様々な肩書きを持つ。
アメリカ・ニューヨークでの広告営業経験をきっかけにライター業を開始。投資家向け(IR)資料作成業務や不動産専門の新聞社でのデスク経験等を経てフリーの取材記者へ転身。不動産業界の取材数が多く、業界に太いパイプを持つ。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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