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箱根や熱海も!日本全体の4割が「消滅可能性自治体」。自宅や所有物件は大丈夫?専門家と読み解く

不動産投資全般/社会問題・情勢 ニュース

2024/05/22 配信

4月24日に『令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート』が発表され、2014年の調査から10年ぶりに「消滅可能性自治体」が公表された。今回の結果では全体の4割が「消滅可能性自治体」に該当し、新たに「ブラックホール自治体」なる言葉が飛び出している。

この結果をどう受け止めるべきか?

人口動態に関する諸問題の研究を行っているニッセイ基礎研究所の天野 馨南子氏に話を聞いた。

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故郷が「消滅」する可能性があるのか(写真はイメージ)

消滅可能性自治体は10年前の調査から152減少

「消滅可能性自治体」とは「20~39 歳の女性人口」(若年女性人口)が向こう30年間で50%以上のスピードで急減する自治体を指す。このペースで若年女性が減ると、70年後には人口が2割に100年後には1割に減り、消滅する可能性が高いと定義している。今回もこの考え方を踏襲している。

その結果、消滅可能性自治体に該当するは全1729自治体のうち744自治体と、全体の4割の自治体に及ぶ。箱根や熱海などの多くの観光客でにぎわっている地域も含まれていることに驚いた。

しかし前回調査と比較すると896自治体から152自治体減少している。また前回調査から、東京豊島区をはじめ、239自治体が消滅可能性自治体を脱却し、今回新たに99自治体が該当している。

今回の結果をどう受け止めればいいのか?

「今回の結果は『甘い』ですよ。実態はもっと深刻で、社会減が進んでいる地域ばかりです」

天野氏は厳しい口調でそう語る。調査結果を紐解いていきたい。前回調査を受け、各自治体で人口減少対策が行われてきたが、人口を近隣自治体間で取り合うような状況が見られている。こうした状況から今回新たに用いられたのが、人の移動を加味しない「封鎖人口」である。

封鎖人口をどう捉えたらいいのか?

「封鎖人口とは日本人・外国人などの人の出入りが一切ないことを前提としています。その地で生まれた人口がそのまま持ち上がりで年齢が上昇していく推計です。ただし日本では、特に地方において20代前半をメインに就職で若者がいなくなっているのが実情です。そのため封鎖人口を採り入れた分析については、私は懐疑的で非現実的であると考えています」

封鎖人口の計算について次のように指摘する。

「封鎖人口を計算する際に、まだ生まれていない人口の今後の出産動向に用いる出生率は、実は合計特殊出生率という『移動人口の影響を受けて算出された』出生率、というのもおかしな話です。女性が子供を産むのは20~30代前半までが多く、出生率の高低はこの年代の結婚・出産動向にかかっています。

田舎ほど出生率が高いケースが多いのですが、それは単に未婚女性が都市部に移動してしまい、地方に残された若い女性の既婚率が自動的に上がる影響が大きく、単に残された女性1人当たりで見れば生む子供の数が多く見えるだけです。出生率が高い田舎の少子化対策が奏功している結果とは計算構造上、言えません」

上記の理由から、今回の結果で目を向けるべきは、下の表の縦軸である社会減の評価軸であるという。

「今回評価できる点は社会減の影響を評価しているところです」

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縦軸の「移動仮定」と「封鎖人口」の割合によって、各自治体をA~D3までの9つに分類<出典元:『令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート』(日本創生会議)>

新たに9つの分類。「ブラックホール型自治体」とは?

今回の調査でもう1点、前回から変わっている点が上の表のように移動仮定(縦軸)と封鎖人口(横軸)の掛け合わせで、A、B1~2,C1~3、D1~3の9つに分類されたことだ。

Cが消滅可能性都市で、Aの「自立持続可能性自治体」は65自治体に留まる。Bは新たに「ブラックホール型自治体」と定義された25の自治体で、残るはその他の自治体(D)となる。

ブラックホール型自治体とは「移動仮定における若年女性人口の減少率が50%未満である一方、封鎖人口における減少率が50%以上の自治体」を指す。

人口の増加分を他地域からの人口流入に依存しており、出生率が非常に低く、「ブラックホール型自治体」と呼ぶことができると定義している。

千葉の浦安市や東京都の新宿区、品川区、渋谷区、中野区、豊島区、練馬区や京都市、大阪市など人気の街が多いようにみえるが、どう受け止めればいいのか?

「ブラックホール自治体は、いいかえれば若い女性の流入が多いエリア。地方からくる未婚女性の数が多いために未婚割合が増加し、既婚率が下がって1人当たり女性指標にすぎない出生率が自動的に下げられています。

封鎖人口は、足元の移動してきた未婚女性の影響を受けた低い出生率を利用する一方で、女性が入って来ないことを今後前提とするので、かける母数と出生率の算定ルールの統一が全く取れていません。

エリアの将来推計人口は当然、低い結果になります。エリアの婚姻当たり出生数の推移を見ずに、この地域の人口がこの先減っていく可能性は語れません」

たとえば移民を受け入れているカナダでは出生率が1.3でも子供の人口が維持されている。

「カナダはブラックホール国なのでしょうか? 東京都とカナダはいわば同じ状況です」

ブラックホール自治体についてよりも、若い女性が去り行く地方の封鎖人口が逆に高く見積もられていることの方が心配と天野氏は眉をひそめた。

豊島区をはじめ、人口減対策に成功しているエリアからの学び

豊島区が今回の調査で消滅可能性自治体を脱却しているが、この10年の間に、区役所の入るタワーマンションの建設や、旧区役所があった駅至近の一等地東口エリアの区民ファーストな再開発などで、ファミリー世帯や新たな若者人口の流入に成功している。

ほかにもサンシャインシティの向かい側にアニメショップが連なる「乙女ロード」が活況で、マンガやアニメ関連の文化の発信拠点として成長を続けている。

サンシャインシティ隣のIKE・SUNPARKでは、ハロウィンにはコスプレイヤーが集まる場となりつつある。

「豊島区は若者文化をよくリサーチして、さまざまな魅力的な施策で成功しています。ハロウィンの際に池袋の取り組みを見に行きましたが、ものすごい数の若者が集まっていました。

出生数を上げるためには、結婚適齢期の男女が集まるまちを作り、彼らに結婚希望があればマッチングの弊害を取り除いていく、まさにこうした取り組みが必要です」

子育て世帯誘致で成功しているエリアは、ジェンダーレスな雇用が進む東京周辺エリアだと天野氏はつづける。

「ジェンダーレスな雇用なくして若者誘致なし、です。東京ほどリモートワーク率が高く、女性活躍推進法に基づく行動計画を推進しているエリアはほかにありません。地方はこうした東京の姿を見習うべきです」

人口減対策に成功している自治体のなかでも注意すべき点がある。

「兵庫県の明石市は子育て支援に力を入れ、注目されてきました。ただ実態をよく調べてみると、明石市の子育て世帯が増えていても県内の子育て世帯が減っており、県内での取り合いに勝利したという状況で、兵庫県全体でみてそれでいいのか、よく考えるべきです」

今回の調査結果を見て、自宅や実家、所有物件のあるエリアが「消滅可能性自治体」ではないかぜひチェックしていただきたい。同時にその周辺の自治体の状況も確認していただきたい。

▽取材協力:ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー(特に少子化対策・一極集中・女性活躍推進) 天野 馨南子氏 総務省令和7年国勢調査有識者委員 、自治体人口減アドバイザー等。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)

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天野 馨南子氏

健美家編集部(協力:高橋洋子(たかはしようこ))

高橋洋子

https://yo-coo.wixsite.com/home

■ 主な経歴

暮らしのジャーナリスト。ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、情報誌などの編集を経てライターに。価値0円と査定された空き家をリノベーションし、安くマイホームを購入した経験から、おトクなマネー情報の研究に目覚め、FP資格を取得。住宅、マネー関連の執筆活動を行う。

■ 主な著書

  • 『家を買う前に考えたい! リノベーション』(すばる舎)
  • 『100万円からの空き家投資術』(WAVE出版)
  • 『最新保険業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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