
シェアハウス、アパートを経て、
“ボロ戸建て”メインにシフト
首都圏の不動産投資と言えば、都心のワンルームマンション、もしくは賃貸ニーズのあるエリアにおける一棟マンション・アパートが定番だ。ところが、今回紹介する千葉県在住の女性大家モトミさんは、本人曰く「ボロ戸建推し」の不動産投資家。現在は、シェアハウスとアパート2棟、さらには3つの築古戸建を運営している。

昨年末までは、県内の医療機関で常勤看護師として勤務していたが、今年に入り冬の間は海外で過ごすように。4月以降は日本に戻り物件の買い付けや管理をメインに生活し、必要があれば看護師のスポット勤務も考えている。そんなモトミさんが不動産投資に興味を持ったのは、いまから約4年前のことだ。
「看護師の収入だけでは将来に不安があったのがひとつ。若いころから南の島が好きでしたが、常勤の仕事があると、なかなか行けないのも悩みでした。そこで自分でコントロールできる収入の柱を増やそうと思ったのです」

当時から株式投資をしていたが、あくまでも余剰金で買って優待や配当を貰うくらい。それよりじっくり取り組めるものを探し見つかったのが、賃貸経営だった。「衣食住はこれからもなくならず、なかでも住で収益を得る不動産投資は長く続けられそうだと考えました」
最初に物件を買ったのは、2018年11月のこと。千葉県流山市にある築14年の戸建を改築して、大学生向けのシェアハウスとして運営した。次いで、大分県で築15年のアパートを2棟購入することに。どちらも入居者に困ることなく、うまく回っている。
なんとか物件を増やしたモトミさんだが、「このやり方のままでいいのか?」という疑問もあったそう。「そこで、もっと高収益になる手段はないかとリサーチしたところ、築古の家をDIY、自分で客付けもする大家さんの話をネットで見かけ、『これだ!』と。私自身もDIYは昔から好きで、私なりに物件に手を加えた“商品”を作りたいと思いました」という。
自分の目が届く範囲で手掛けたく、物件の仕入れから管理まで、ワンストップでトライしたい気持ちも芽生えた。
客付けはジモティーで十分
家賃の交渉がしやすい!
まずは、物件探し。「別の物件の問い合わせで知り合った不動産会社の方に、格安であったりレアな家に興味があると伝えていたのです。すると、千葉北東の山武市にある50万円の物件を紹介してくれることに。
築29年の2階建てで、なかなかのボロ家(苦笑)でした。紹介しておきながら担当者さんに『やめておいた方がいい。ボクは止めましたからねっ』と4回ほど(笑)言われましたが、成田市中心部から車で40分ほどの距離。近隣の環境も悪くないので何とかなると思い、昨年6月にキャッシュで買いました」
この日、モトミさんはDIYを学ぶべく、いまではDIY大家として有名なふかぽんさんのプチセミナーに参加していたとのこと。「迷っていたので相談したら、『買った方がいい。辞退するなら自分に回して』と言われたのも、背中を押しました」
内装はかなり古く、玄関やキッチンの床はクッションフロアに交換し、壁紙も張り替えた。和室の畳はなくし、洋室にリノベーション。はじめてのDIYだったが、セミナーやYouTubeで学んだテクニックが役立ったという。費用はおよそ20万円、2カ月かけて完成した。




客付けは、地域情報の掲示版で、不動産の賃貸募集にも使える、「ジモティー」を活用。「自主管理なので、自身で募集します。見ている人も多く、普通に問い合わせがあり、私はこれしか使っていません。何よりも、入居希望者と直接会い、家賃などの交渉ができます」
内見時に修理を依頼されると、「それだと家賃が月1000円アップする」、「直すつもりだけど、そのままでもいいなら家賃を下げられる」などがハッキリすれば、余計なDIYコストをかけないでもいいし、余計な手間をかからない。
相手とコミュニケーションを図れば、人となりもわかる。「とはいっても、最初の入居者には夜逃げされましたが(苦笑)。いまは、リノベーションでキレイになった家を気に入った、若い夫婦が住んでいます。家賃は月5万円なので、表面利回りは120%です」

次は2019年9月、千葉県北部の八街市で築30年の戸建を、前と同じく50万円で購入した。
「ここは壁紙を張り替えたくらいです。あとは室内の掃除をしながらジモティーで客付けを始め、前と同じく内見者に設備と価格の交渉。買ってから2カ月もしないうちに、50代のご夫婦に決まりました。ここも家賃は月5万円ですから、山武市の家と同じく表面利回りは120%です」

3軒目は昨年12月に購入。茨城県土浦市で築40年の解体寸前の戸建ての話が回ってきた。「値段は決まってなく、物件を見に行った時に値段を提示しました。残置物があったので、売主さんが撤去するなら60万円、買主の私が撤去するなら50万円でどうでしょうかと交渉し、50万円で決着することに。ここはほぼ何もしないで、DIY可能な物件として入居者を募集しました。すると、すぐに20代の男性から応募があり、すんなりと貸し出しに至っています。家賃は4万8000円なので、表面利回りは115%ですね」


物件の目利き力は求められるが、
成功すると跳ねるのがボロ戸建て!
理想としていた、物件の買い付けからリノベーション、入居者募集、管理までを実現している、モトミさん。しかも超高収益というから驚きだ。
「築古なので、家賃は周辺より安めです。それなら入居者さんも納得します。ですが、物件価格が安い分収益性は高く、驚異的な利回りが実現できます。キャッシュアウトの心配もありません」
入居者とは事前に顔を合わせ、交渉などを通じて人柄をチェック。これも安心材料になる。「むしろ、オーナーチェンジの方が、どんな人が住んでいるか・家の傷み具合はどうなっているのかがわからないので、私は怖いです」と、モトミさんは言う。
現在は所有物件が少ないこともあり、入居者とコミュニケーションは取りやすく、新型コロナの際は「厳しい場合は家賃補助などの公的制度を活用してください」と、案内も送ったほど。
「内見の時に家の状態はお互い見ているので、入居後にトラブルになることはありません。ちょっとした修繕などは、入居者さんにしてもらいます。自主管理は人付き合いが苦にならない、関係性を築くのがうまい人に向いていると思います」
物件の選定だが、いまの所有物件はエリア的に車社会なので、駅との距離は気にせず、それよりは月極も含めた駐車場の有無が大事。スーパーやドラッグストアといった、基本的な生活インフラがあるかも気にかけた。
建物自体に関しては、雨漏りやシロアリなどをチェック。「雨もりにしてもすべてがダメではなく、2階部分だと私の技術じゃ対応できないなど、DIYの技量と照らし合わせて判断します。ただし、地盤が悪い物件の改修は巨額の費用がかかり、DIYでは何ともならないので、私は絶対に買いません」。
スキルアップを実感しながら賃貸経営を楽しめるのは、この投資の醍醐味かもしれない。「強いて言うなら、DIY中に虫が出るのがとてもイヤなくらい(笑)。基本的に私に向いた手法だと思っているので、今後も当分は同じスタンスで物件を増やします」
格安だからこそ紹介・口コミで情報が巡る
不動産会社との密な関係が決め手!
DIYに興味があるなら、ボロ戸建の不動産投資は、やりがいがあるというモトミさん。ただし、兼業だと作業できる時間に限りがあるので、購入からマネタイズまでの時間は気にすることだ。
「成功か失敗の別れ道は、仕入れにあると思います。そのためには、不動産会社の方と仲良くなり、紹介してもらえる人になること。そもそも、リーズナブルな物件はネットに上げると問い合わせの電話が鳴りやまず仕事ならないので、まずは親しいお客さんに紹介したり、そこから口コミで情報が回るケースが多いと言います。私の場合は、すべてそうでした。ならば、自分が買いたい物件をあらかじめ伝えておく、実績も併せて関係性を深めておくと、声が掛かりやすいです」
いまも目ぼしい物件があれば買い進め、DIYにも積極的にトライ。高収益ボロ戸建の規模を拡大していくという。モトミさんのように、ノウハウやコミュニケーションスキルに自信があり、時間的に余裕もあるなら、試す価値は大いにありそうだ。
◆◆モトミさん&火の玉ガール対談動画配信のお知らせ◆◆
健美家コラムニスト火の玉ガールさんと話題の大家さんとの対談企画がリリースされてます。
「千葉・茨城で50万円一戸建てを購入、利回り120%のオンナ モトミさん」の動画はコチラ。併せてご覧ください
健美家編集部(協力:大正谷成晴)