前回の掲載で、ボロの築古テラスをオシャレに変身させて利回り30%超を叩き出し、「ボロの女王」と大家仲間から呼ばれるようになったことを紹介した女性大家「ぐりーん」さん。
今回は、他の大家さんが真似できるように、センス良くリフォームするコツを聞いてみた。
キッチンリフォームの材料費は全部で16万円!
プロのコーディネーターのような仕上がりに
まずは、ぐりーんさんが手掛けたリフォームの実例を紹介する。
大手メーカーのシステムキッチンに見えるが、ぐりーんさんが格安ショップで天板の色を選び、シンクやコンロ、引き出し部分を組み合わせて購入し、職人さんが設置してくれたモノ。
グレードは一番下だったそうだが、そうは見えない。壁の上部につける天袋もセットではなく、ぐりーんさんが選んでいる。合計で約16万円だった。





おしゃれなインテリアを見るのが大好き!
色彩の理論を学んで、色彩検定2級も取得
ぐりーんさんは、昔から「モダンリビング」などインテリア関係の本が大好きで、家が傾くぐらい買っていたそうだ。雑貨店巡りをして、カフェやお店のインテリアを眺めるのも楽しみだったという。お母さんが着物関係の仕事をしていたため、自宅にはたくさんの着物があり、様々な色の世界があった。
「着物だと、緑色の帯に赤の帯揚げを合わせるなど、補色の組み合わせがすばらしい効果を上げるのを体験として見ていました」
色の魅力を知っていたぐりーんさんは、大家業を始めてから色彩検定2級を取得した。
「検定に合格するために、学校にも通いました。色について学ぶと、センスが良くなり、リフォームにも大いに利用できると思ったからです。色には特徴があり、理論や法則が明確に存在しています。色のルールに従ってクロス等を選べば、自信を持って内装に取り組めると考えました」
各メーカーのショールームへ行き、実物を見る!
トレンドもチェックするために、住宅展示場へも
ぐりーんさんは、リフォームプランを考える時にメーカーのショールームに足を運ぶ。壁紙などであれば、サンゲツ、東リ、トキワ、シンコール、リリカラなど。各ショールームでもらってきたクロスや床材の見本は、実際に自宅の壁や床に置いて、色や雰囲気を再確認する。
キッチンやお風呂など水まわりのメーカーやドアなど建材のメーカー、例えばパナソニックやタカラスタンダード、ウッドワン、サンワカンパニーなど様々なショールームにも訪れるそうだ。
IKEAも大好きでよく見に行き、ある時は在庫処分のステキな洗面台を格安で手に入れたこともある。ニトリはカーテンが安いので買いに行くそうだ。
その上、新築住宅の営業・販売をしている住宅展示場にも行くこともある。住宅展示場というと、しつこく営業をされて困りそうな気がするが・・・。
「たしかに、営業を受けることもあります・・・(苦笑)。でも、メーカーのショールームと違い、住宅展示場では数社の設備品を組み合わせて使っています。流行の『旬』を知ることができるので、とても勉強になります。使ってみたい!と思うようなステキな壁紙に出会うこともあって、その時はメーカー名と品番を聞いてます(笑)」
ちなみに、たった1枚の壁紙選ぶにも、ぐりーんさん流のこだわりがある。
読者もご存知だと思うが、例えば「紺色」の壁紙と言っても少しずつ色味が違う。ぐりーんさんは各メーカーから集めたサンプルを何度も眺め、1枚のクロスを決めるのに3日かける時もあるそうだ。そこまでしても納得できない時は、有給休暇を取って再度ショールーム巡りをしたこともあるという!
「半分、趣味の世界かもしれませんね・・・(苦笑)」とぐりーんさん。

アプリPinterestでイメージに合う写真を集める!
気に入った商品を検索・購入も
他にも、ぐりーんさんが実践しているのはアプリの活用だ。
「Pinterestピンタレストを使っています。クロスを選ぶ時は、初めにリフォーム全体のイメージを作ります。今回は北欧風にしたいと考えたら、Pinterestで『北欧』と検索すると、様々な部屋の写真がでてきます。気になる写真を選ぶと、他にも似たパターンの写真をAIが自動的に集めてくれるので便利なんです」

気に入った写真を1枚選び、『ズームイン検索』を使うと、その写真の中にある家具と似た形や似た色の商品を検索・比較することができる。


ぐりーんさんは多くのイメージ写真を収集して(ピンを立てて)、イメージ毎に保存し、リフォーム・アイデアとして参考にしているそうだ。
センスを良くする秘訣は、ショールームに行って実際の雰囲気や流行を見ると同時に、ピンタレストなどアプリを使ってイメージ写真を収集しておくなど、自分の中に多くの引き出しを作ることのようだ。
入居前のステージングにはフェイクグリーンを多用
癒される雰囲気でおしゃれ度アップ!

「入居者さんが家を決める時、決定権を持っているのは女性だと思います。ですから、女性目線を大切にしています。
内覧時では、男性は家全体の広さや間取りを重要視しますが、女性は目の前の小物が気になります。メーカーのショールームが家具や照明、小物で『素敵な生活感を演出』しているように、私はフェイクグリーンをたくさん取り入れて、緑で立体感を出し癒される雰囲気を作り出しています」
このフェイクグリーン達は、普段はぐりーんさんの自宅に飾られ、ぐりーんさん自身を癒してくれているもの。リフォームが終わり、賃貸物件の内覧が始まる時期になると、自宅から借り出されるそうだ(笑)。
100均のフェイクグリーンも使うそうだが、雑貨店ブランドのお洒落なフェイクグリーンの間に混ぜて飾る事で全体がグレードアップして見えるそうだ。

DIYはほとんどしない。代わりに
ステキな設備品を施主支給するのが、ぐりーんさん流
「私は一部の塗装などをするぐらいで、本格的なDIYは出来ません。職人さん達にお任せしている代わりに、自分で材料や設備を選んで取り付けてもらっています」
前述したように、メーカーのショールームに行った時には、完成した時のイメージ作りだけではなく、部材等の価格もチェックしている。職人さんが同行してくれる場合は、実物を見ながら相談し、どのルートで仕入れる方が安いか、よく似た代替え品の方が良いかなどを検討するという。
安く仕入れるために、ネットオークションを利用したり、卸材料店まで行って購入することもある。
大手メーカー品のドアを格安で手に入れた時は、
「建具がいいと、見た目が一気にグレードアップするんです!」とぐりーんさん。
「でもショールームはあくまで参考であって、実際はいつも築古物件と戦うことになります(笑)。
リフォーム予算の中で、出会った物件の何を重要視するか考えます。予算があれば古い建具は一新しますが、ないときは塗装しました」
「DIYをしないでプロにお任せしている私の場合、料理に例えると、実際に調理してくれるのが職人さん達で、盛り付けや飾り付けをするのが私の役目です。壁紙や床材選定時に色のマジックを駆使して、古い家を美しく蘇らせるよう努力しています。
家賃相場が高いところだと、キレイにリフォームしたら高い利回りも期待できますね」とぐりーんさん。
そのセンスの良さから、知り合いの工務店から声がかかり、他の大家さんの物件の壁紙選定を手伝ってあげたこともあるそうだ。それ以外にも、大家仲間から壁紙や塗装の色の相談を受けると、気軽にアドバイスしてあげているという。
「不動産賃貸業だけでなく、デザインの仕事もできるようになりたい!と思って法人を立ち上げた時に、定款に入れました(笑)。これからも、楽しみながらやっていきたいと思っています」
物件を見る目を養うには数多くの物件を見ることが大切なのと一緒で、センスを良くするにも、多くのステキなリフォーム物件やショールームなどを見て回ることが近道だ。
もし自分のセンスに自信がなく、そこまで努力したくない人の場合は、ピンタレストで集めた写真をリフォーム業者さんに見せて、イメージを伝えるという方法もある。良かったら試してほしい。
なお、ぐりーんさんのお洒落なリフォームやアイデアは、前回記事の写真も参考にどうぞ。
健美家編集部(協力:野原ともみ)