最近不動産投資を始めた方、もしくはこれから始めるという方には、まずは現金で築古戸建てを購入するところからチャレンジ、という方も多いだろう。
では、はじめて戸建てを購入してからリフォーム、入居付けまでひととおり無事に終え、これからも物件を増やしていきたいと考えた時にはどのような手法が良いのだろうか。
今回紹介するジョイフル大家さんは、3年前に戸建てから不動産投資をスタートし、現在は築古戸建て×新築アパートのハイブリッド投資を実践している。
すでに10戸の戸建てと、1棟8室の新築アパートを所有しており、家賃年収でいえば1,200万円ほどの規模に達している。さらに今後も新築アパートや新築賃貸併用住宅などの案件が控えており、ぐんぐん拡大スピードを上げている最中の若手投資家である。

ジョイフル大家さんは福岡在住の30代男性。教育系のサラリーマンとして、早朝から深夜まで身を粉にして働く生活をこれまで続けてきた。
仕事は好きでやりがいも感じていたため、ハードワークにも耐えることができていた。しかし、職場の親しい先輩が立て続けに2人も病気で亡くなってしまうという経験が、ジョイフル大家さんに強烈な危機感をもたらした。
「まだ50代で、この間まで普通に会って話していた人がいきなり逝ってしまって、とてつもない衝撃を受けました。それに周りを見回せば、何かしら健康を害している人ばっかりで。このままでは自分も間違いなく早死にしてしまうだろう、と恐怖を覚えました」
きっかけはサウザーラジオとの出会い
人生を変えるために不動産投資にフルスイング
そこからは何か現状を変えないと、という一心でビジネス系や自己啓発系など様々な書籍をあたりながら現状打破の方策を考える日々を過ごしていた。
そんな折、彼女からおすすめされた音声配信メディア「Voicy」で「サウザーラジオ(現:聖丁radio)」にたどり着いたことが、不動産投資との出会いとなった。
「築古戸建てをDIYで再生して収益を生む、というモデルを知り、衝撃を受けました。しかも、幼なじみの野球仲間のタケゾウ(健美家YouTubeチャンネルで登場済)が福岡で同じことをやっていることが分かったんです。すぐに連絡して、物件を全部見せてもらって。あまり物事にハマりにくい性格なのですが、自分が取り組むべきはこれだ!とハマる感覚がありました」
戸建て投資系の書籍を中心に、書店に並んでいる本は片っ端から購入し、読みふけった。ほどなくインターネットでの物件検索も開始し、500万円以下で販売されている周辺の物件は休日を使ってすべて見に行った。外観のみの調査でいえば100軒以上にのぼったという。
そんな大量行動が身を結び、2019年6月に1戸目となる戸建てを購入。220万円で販売されていた4DKの物件に指値をいれ、120万円で現金購入した。不動産投資を知ってから半年足らずの出来事だ。

購入後は外注とDIYでのリフォームを実施し、総コスト175万円に対し、家賃4.5万円で入居がついた。利回りでいえば約30%だ。
駐車場がないという大きなデメリットがあったが、近隣の放置されていたボロボロの空き家の所有者を探し当て、交渉のうえ20万円で購入することで解決した。空き家は住居としては利用できなかったが、倉庫として貸し出すことでこちらも月に1.7万円の家賃収入を生み出してくれている。
その後も10万円から100万円代で戸建てを現金、または公庫のリフォーム融資などを活用しながら購入し、3年足らずで戸建てのみで10戸を所有するに至った。
テンポよく戸建てを購入してこれたのは、やはり大量行動の賜物だろう。はじめの頃はインターネットをしらみつぶしに探して購入したり、「空き家買い取ります」の自作ポスティングチラシからの反響から購入してきた。
現在では不動産業者などから直に紹介されて購入することが多いというが、初期の泥臭いまでの行動が今になって実を結んでいるのだ。
ジョイフル大家さんは築古戸建てを購入する際、地域最低家賃、言い換えれば生活保護の家賃補助上限額から逆算して、利回り20%を確保できる金額を考える。たとえば2人世帯で支給上限額が3.5万円なら、諸経費リフォーム費込みで210万円で収まりそうなら購入の土台に乗る、といった具合だ。
「利回り星人になるわけではありませんが、高い利回りは築古物件のリスクを大きくカバーしてくれます。その他のリスク回避策として傾き、白アリ、雨漏りなど躯体に大きな損傷のある物件は避けるようにしています。駐車場のない物件も1戸目の苦労で懲りたので、できれば避けたいところです」
中古×新築のハイブリッド不動産投資
デメリットを相互にカバーし経営が安定
初期は築古戸建ての現金買いで不動産投資を進めてきたジョイフル大家さんだが、現在は大きくレバレッジを効かせた新築アパート投資にも注力している。

たとえば2021年に購入した初の新築アパートでは、戸建てを2戸共同担保(複数の土地建物に抵当権を設定すること)に入れて、融資が厳しいといわれる昨今の状況のなかでもフルローンにて取得することができたという。
「金融機関にもよりますが、私の場合は100万円以下で買った物件ながら、2戸で400万円分の担保評価を受けられました。建物としての評価は築古なのでありませんが、土地と、あとは高利回りで稼動している収益性の面から評価をいただけました」
高利回りが狙えるが修繕等リスクも高く、収益がぶれやすい築古投資と、利回りは低いが収益がぶれにくい、いわゆる「堅い利回り」の新築投資。新築が収益安定性を高め、築古物件が新築の返済比率を薄めてくれる。そんなハイブリッド投資の妙味を実感しているそうだ。
他にも、ジョイフル大家さんの大きな特徴のひとつとして、発信活動に精力的に取り組んでいることが挙げられる。Twitterをはじめ、noteでブログ記事を800本以上毎日欠かさず執筆しているほか、さらには音声配信プラットフォームのstandFMでも自身の放送を300本以上も配信しているというから驚きだ。
「情報発信でお金を稼ぎたい欲求もなく、自分のモチベーションを高めてくれるツールとして日々発信しています。日々の不動産投資の歩みを記録していく過程で思考がまとまるし、それを見て参考にしたり、励まされたりしてくれる人がいることがパワーになっています。
批判や誹謗中傷を受けることもありますが、発信をしていなければ出会えなかったであろう人たちとの出会いも多く、これからも続けていきます。自分の歩みはすべて記録してあるので、融資の資料作りをする際などにも困りません。自分で過去記事を検索しながらやっています(笑)」

そろそろFIREも射程距離に入ってきたジョイフル大家さんだが、もともと仕事好きな性分。これまでの心身を蝕むような働き方からはギアチェンジしつつ、自身の好きな教育という分野でこれからも仕事を行っていくという。
「最終的な人生の夢である『将来に希望を持てるような学校を設立すること』をゴールに、新しいチャレンジをしていくつもりです」
最後に、これから不動産を始めたい人へのアドバイスを聞いた。
「不動産投資は判断の連続で、人に相談する間もなくスピーディに決めなければならない場面も多いです。まずはたくさん書籍、YouTubeや音声コンテンツで学習して、行動も積み重ねていく。不動産脳を鍛えることが大切だと思います。もし自分が今から不動産を始めるとしても、一手目は現金で築古戸建てを買うというのは変わらないですね」
健美家編集部(協力:
(たまあらい))