とんでもないボロ物件を購入して血の気の引く思いをしたが、労力と気力で、華々しく持ち直した復活ストーリー。【前編】では物件を掴んでしまった経緯とそのボロさ加減を紹介した。今回の【後編】では、どのようにして復活させたか、そして思わぬ副産物について紹介する。
■徹底的にテコ入れ
購入後、先輩大家さんに何度も相談し、具体的にどのようにして満室にするか詳細な戦略を練った。まずは、選りすぐった管理会社に管理を委託し、滞納には毅然とした態度で挑んだ。
3ヶ月以上滞納が経過して、支払いがあることは相当珍しいと聞かされたが、幸運にも、2名の滞納者は、家賃を支払いしてくれるようになった。
また、矢継ぎ早に下記の対策を実施した。
・外壁・屋根塗装
・共用部の清掃、ゴミの撤去
・シロアリの駆除
・防湿工事
・ジャッキアップ (柱が3本なく、傾きがあった)
・コインランドリーの撤去、室内洗濯機置き場の設置
・IHコンロ・エアコン・TVドアホンを設置 (ガス会社支給)
・クロス、クッションフロアの張り替え
・LED外灯を新規設置 (夜でも明るく防犯面も強化)
・簡易モデルルームの設置 (イケア照明等を活用)
・自動販売機の設置 (防犯面も考慮して設置)



文字にすると大したことなく感じるが、対策を実施するにあたり、毎週末、現地に足を運び、外装業者、内装業者、ガス会社等との打合せをすすめた。外壁を何色にするか、どのタイプのLED外灯にするかなど、大いに悩んだ。また、工事を実施することを含め、今後のお付き合いのために、町内会にもご挨拶した。
綿密な打合せの甲斐もあって、外観も部屋も蘇り、おばけやしきのようなアパートが、明るく、綺麗でモダンな建物に生まれ変わった。

■満足の仕上がり
テコ入れには、期間にして約3ヶ月、金額にして約350万円を要したが、表面利回りは17.5%と収益面でも満足のいく仕上がりとなった。
管理会社は、広範囲なネットワークで客付けを打診してくれ、その甲斐もあって、テコ入れから半年ほどで満室稼働を達成することができた。

不思議なもので、建物が綺麗になると、既存の入居者のゴミ捨てもピタリと止まった。規模はまったく異なるが、ディズニーランドで、ゴミのポイ捨てがないのと同じ原理だと感じた。

■全く予期せぬ、嬉しい連絡
一時は血の気の引いたボロ物件を復活させることができ、一安心していたところに、ご挨拶した町内会から連絡があった。
「以前のおばけやしきアパートの時、暗いし、汚いし、怖いし、実は、町内会としても、何とかしてほしいと思っていた」
「あなたが大家になってから、建物が綺麗になり、入居者が増えて活気が生まれ、そして何よりとても明るくなった。気付いていないかもしれないけど、これって、地域の美化、活性化にものすごく貢献してくれてるんだよ」
「本当にどうもありがとう。町内にある他の古いアパートも是非とも再生してよ (笑) 」
また、もともとお住まいの方からも、コメントを頂戴した。
「建物が綺麗になり、コインランドリーから室内洗濯機になって、とても便利に快適になりました、本当にありがとうございます、ずっと住み続けます」

どうすればいちはやく満室収入を獲得できるか、という視点で行動してきたが、結果として、地域の美化、活性化にも貢献できていると思うと、何とも言えない嬉しさを感じた。
■4方良しの不動産投資
空き家問題が取り沙汰されて久しいが、空き家の有効活用も全国で進んでいる。
戸建て、アパートやシェアハウスとして貸し出す、古民家カフェとしてオープンする、解体して駐車場にする、コーワーキングスペースとして運営する、などたくさんの活用方法がある。
不動産投資も、そんな空き家の有効活用の一翼を担っていると考える。
物件を譲り受けたはいいが、不動産賃貸に興味のない相続人等はいらっしゃるだろう。人が住まないと建物は傷んでくるし、放置されれば、廃墟のようになってしまう。それを我々、不動産投資家が引き継いで、蘇らせる。
売主にとっても、買主にとっても、入居者にとっても、そして地域にとっても良し、まさに4方良しである。
■新たな喜びの発見
単に儲ける、儲かるから投資するというだけでなく、地域の美化、活性化に微力ながら貢献できるという視点をもって、不動産投資に取り組んでみてはいかがだろうか。きっと、これまで味わえなかったような喜びや、地域の人々との出会いがあるのではないだろうか。
執筆:親バカ大家 (石橋 仁)
https://twitter.com/hitoshi1114
■主な経歴
経済的自由を獲得したい、子供との時間を一緒に過ごしたい(幼稚園の送り迎え等)一心で、不動産投資をスタート。2015年に1棟目のアパートを購入、キャッシュフロー重視で物件を購入し、現在9棟98室を保有(返済比率37%・残債利回り18%)。大家歴8年目。
趣味は食べ歩き、旅行、そして子供と遊び、成長を見届けること。
米国株、仮想通貨にもアクティブに投資している。
座右の銘は『出来るか出来ないか、ではなく、やるかやらないか!』