不動産投資を成功させ、見事、憧れのタイへの移住を実現したポコさん。筆者の大の仲良しの友人、そして人生の先輩で、いつも、ポコさんの行動力に刺激をうけている。今回、あらためてFIREまでの軌跡を聞いたので紹介する。

■不動産投資をはじめたキッカケ
外資系企業のエンジニアとして多くの部下を指揮し、活躍していたポコさん。仕事は充実していたが、教育者になりたいという子供の頃からの夢が忘れられず、40代半ばで転職を決意した。
『外資系企業での経験を生かし、子供達に、社会で役立つロジカルな考え方や、グローバルな視点を教えたかったのです』
ただ、教育者になれた代償として、給与では大きな妥協を強いられた。
『給与は前職の4掛けになり、2人の子供の大学進学期も重なり、金銭面でかなり苦しくなりました』
また、同じタイミングで義理のお義母さんが入院することになり、さらに追い打ちをかけられたという。
支出が収入をこえ、蓄えていた貯金も底をつきてしまう。
この状況を脱して何とか収支を改善したい、そう思い悩んでいた時、昔、読んだ「金持ち父さん、貧乏父さん」の内容を思い出した。
またポコさんの親友が、すでに不動産投資をはじめて拡大する姿を横目で見ていたため、不動産投資を選択することに心理的な抵抗はなかったという。
かくして、2012年に本格的に不動産投資をスタートした。
■順調に拡大
運よく、メガバンクもサラリーマンに積極的に融資、フルローンがでる時期にスタートすることができた。都内、築25年、利回り11%のRCの購入を皮切りに、どんどん、物件を増やしていった。
サラリーマン属性の時に、借りれるだけ、借りようという方針で、築古RC、新築重鉄、新築木造、築古木造など、様々なタイプの物件にレバレッジを効かせ、投資を実行していった。
積算を重視する物件、キャッシュフローを重視する物件、手離れを重視する物件など、一見、一貫していない戦略に感じるかもしれないが、総合的にバランスを考えて、物件を選定しているそうだ。
そんな中、まわりの投資家から非難をあびた物件もあったという。
有名なメーカーで、利回り7%で新築木造アパートを購入した時だ。ポコさんは、あえてサブリースを組んで購入した。
『修繕がほぼかからないこと、空室に悩む必要がないこと、ゆえに、キャッシュフローが読みやすくストレスがかからないこと、それが購入理由です』
上述のカテゴリーでいうと、手離れを重視する物件ということになる。ポコさんには、もう一つの、重要な着目点があった。
■隠れた見えない貯蓄に着目
利回り7%だと、手残りのキャッシュフローは多くない。
しかしながら、入居者からいただく賃料で、融資の元金返済を行っているから、残債が毎月着実に減っていく。
売却時は、残債が減れば減るほど、手残りは大きくなる。
本来ならば物件の所有者である大家が返済すべき元金を、入居者が払ってくれている。それが蓄積されて、物件の売却時に一気に手元に入ってくる。
『毎月手にするキャッシュフローの裏で、知らないうちに貯まっているお金に着目しています』

筆者は、手元のキャッシュフローにばかり意識が傾いていたが、この話を聞いてからは、表面上の利回りだけでなく、見えない貯蓄にも目を向け、総合的に判断するようにしている。
■売却も織り交ぜ、CASHを積み上げ
1棟目の都内RCは購入から10年弱で売却。
見えない貯蓄により残債が減少していたこともあり、8,000万円の大きな売却益を獲得することができた。
但し、売却にはなんと4年を費やしそうだ。
『やったことは、単純に売りたい金額でずっと放置です。指値がはいっても一切応じませんでした。売れなくてもインカムがあるからオッケー、売れたらキャピタルゲイン獲得でラッキー、そんなスタンスでしたね』
まさに、持って良し、売って良し、の優良物件だ。
ポコさんは、さらっと4年と言ったが、売りに出して、実際にこの年数が待てるかというと、なかなかできることではない。
せっかちな筆者としては、待つことの大切さを感じた。
■不動産投資の明確な目標を設定
順調に拡大できている、成功の秘訣を聞いた。
『目標を決めて、逆算してマイルストーンを設定、毎月、きちんとマイルストーンが達成できているか進捗を追うことです。未達成なら、都度、軌道修正する、これの繰り返しにつきます』
『この考え方は外資系企業の時に、イヤというほど叩き込まれました』
『それに何をするでもスピードが命、即断即決のクセがつきました。おかげで、物件購入の意思決定も、ほぼ即断即決です』
と笑いながら教えてくれた。
たしかに、いつもポコさんからのLineの返信は秒速だ。
目標と、目標までの道のりを可視化、必要なら軌道修正を行い、スピードをもって取り組む、これは成功している人に、共通している要素の一つだろう。
そんな、ポコさんの具体的な目標と結果は以下のとおり。
【目標】
55歳までに年間2,000万円のキャッシュフローと、
CASH1億円獲得して、FIREする、そしてタイへ移住する
【結果】
55歳で年間3,000万円のキャッシュフローと、
CASH8,000万円を獲得してFIREした、そしてタイへ移住した
『年齢はドンピシャ、CASHは2,000万円未達でしたが、年間キャッシュフローが目標を1,000万円上回っていたので、エイヤで、FIREを決めました!』
■FIRE後
FIRE後は、サラリーマン属性がなくなる不安はあったが、仕事に忙殺されなくなり、たくさんの考える時間ができた。考える時間ができたことにより、資産はとんとん拍子に拡大できたという。
FIRE時は、8,000万円のCASHが、1棟目の売却益も手伝い、今では、2.4億円にもなっている、実に3倍の規模だ。
『ストレスから開放され、好きな時に、美味しいものを食べに行ったり、旅行できたりする自由な環境の中で、面白いアイデアがたくさん浮かびました』
不動産投資で獲得したCASHを、米国株や、仮想通貨にも賢く投資して順調に資産を拡大している。また、バランスシートの改善も含め、現金での戸建て投資も積極的に行い、今では戸建てだけで13戸にもなるそうだ。
■人生の3rd STAGE
コロナ禍で海外に渡航できない時期が続き、タイ移住を再考させられたが、今行かなきゃ、いつ行くんだと腹をくくり、タイへの移住を決行した。

外資系ビジネスマン時代が1st STAGE、教育者となり不動産投資でFIREするまでが2ndSTAGE、そしてFIRE後の今が人生の3rdSTAGEだ。
3rdSTAGEの目標は、
外資系ビジネスマン、教育者としての経験、そして得意のエンジニアリングと英語を活かし、東南アジアで、満足な教育を受けれない子供たちのためのプラットフォームをつくって国際貢献したいという。
そのための土台として、安定したキャッシュフローを生み出してくれる不動産投資は不可欠だった。
ポコさんのことだから、目標から逆算して、きっちりマイルストーンを設定しているに違いない。具体的なスケジュールを聞いたところ、それは、タイに来たら教えてくれるとのことだった。
海外への渡航制限が解除になりつつあるので、今年、ポコさんに会いにタイに行って、具体的な計画を聞いてみたい。
最後に、タイでの典型的な1日の過ごし方を聞いた。
目の前のビーチの波の音で目が覚め、午前中は、投資や、教育プラットフォームに関する情報収集や打合せ、午後はビーチで読書か、ダウンタウンに出て食べ歩きをしているという。
ストレスフリーの生活だからこそ、教育プラットフォームの具現化に向けて、さらなる良いアイデアが浮かぶにちがいない。
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執筆:親バカ大家 (石橋 仁)
https://twitter.com/hitoshi1114
■主な経歴
経済的自由を獲得したい、子供との時間を一緒に過ごしたい(幼稚園の送り迎え等)一心で、不動産投資をスタート。2015年に1棟目のアパートを購入、キャッシュフロー重視で物件を購入し、現在9棟98室を保有(返済比率37%・残債利回り18%)。大家歴8年目。
趣味は食べ歩き、旅行、そして子供と遊び、成長を見届けること。
米国株、仮想通貨にもアクティブに投資している。
座右の銘は『出来るか出来ないか、ではなく、やるかやらないか!』