『いつでも、行きたい時に、スペイン旅行に行ける環境を手にいれたい!』、その夢を実現するために不動産投資をスタートした樋口さん。スタートして3年、将来のFIREも射程圏内に入ってきた。今回、これまでの足取りをインタビューしたので、紹介する。
■不動産投資をはじめたキッカケ
小さい頃から、組織に馴染まず理屈っぽく反抗的、親や教師に従わない性格だった。父親は銀行の支店長で多忙を極め、家族との時間がほとんど持てない、そんな家庭環境に育った。
いつしか、
『脱サラして、人の指図を受けないで、経済的、時間的な自由を手に入れる』、を人生の目標と捉えるようになった。
そのためサラリーマンの傍ら、土日のアルバイト、ネット通販、株式投資、債券投資など、経済基盤構築のため、色々なことにトライする。
ただ、時間的な自由はおろか、忙しさは増すばかり。安定感もなく、脱サラのイメージが持てない悶々とした日々が続く。
そんな時、新婚旅行でスペインに行った。
『風景、料理など、全ての体験に衝撃を受けました。これまで、自分がいかに狭い社会で生きてきたか、思い知りました』

そして、『もう一度この地に降り立ちたい』、と強く思った。同時に、サラリーマンを続ける限り、定年するまでヨーロッパ旅行は夢のまた夢、絶望感も感じた。
『スペインに、行きたい時に行けるようになるには、一体、何をすれば良いのだろう?』 自問自答の日々を重ねる。
そんな中、大学時代からの親友が、東京に新築アパートを建てた話を聞いた。また、職場の上長が、築古アパートでかなり儲けている話も耳にする。
そんな身近な2人の話に感化され、不動産投資の勉強をはじめた。
株式投資と違って、『毎月家賃がはいって安定する、銀行借入をして物件を買っていくことも可能、また、自分で全てやらずとも、管理を含め、色々なことが委託できる』、ことがわかった。
『ということは、仕組みさえ作ってしまえば、いつでもスペイン旅行に行ける!そう思いました』
■不動産投資スタート、1戸目の購入
かくして、脱サラの手段を不動産投資に絞り、本腰を入れて勉強を始めた。そして、ターゲットを築古戸建てに定める。
理由は、下記の2点だ。
・属性が良くなくても、現金さえ用意出来れば、買える
・土地値以下で買えば、出口も取りやすい
当時は、借金を背負うことに恐怖感もあったため、融資は想定していなかった。
そのためにも、軍資金の捻出がMUSTだ。
『私の年収は350万円程度、妻も同じくらいだったので、決して楽ではありませんでした。毎月、家賃含め生活費に約20万円使い、16万円くらいを貯金に回した感じです』
『新婚でしたが、外食はせず、休日もお金を掛けない遊びばかりで、妻には、随分苦労を掛けました』
夫婦2人3脚、努力の甲斐もあって、2年間で、400万円のCASHを貯めることができた。
その頃、偶然、任意売却の戸建てを見つける。
『職場の近くで土地勘もありました。内見して、建物の状態も思ったより良かったので、即、買い付けを入れました。すごく興奮したことを覚えています』

晴れて、戸建てのオーナーになることができた。
■2戸目へ
浴室のモルタル壁と天井を、ペンキまみれになって塗装したり、部屋のクリーニングをしたり、自身で手を加え、1戸目の戸建てを客付け出来たことは、大きな自信になった。

しかし、現金での戸建て投資は、借金をしない分安全面は高いが、現金が貯まるまで時間がかかる。その間、投資ができなく、時間的な機会損失が大きい。
この頃になると、むしろ融資を使ってレバレッジをかけることが必須、と考えるようになっていた。
1戸目の成功と、レバレッジに対するマインドブロックがはずれ、2戸目は、オーバーローンで購入することになる。
『2戸目は、相続税路線価の半額で指値し、日本政策金融公庫の無担保枠を利用できました。無担保購入できたことで、のちに、アパート購入のための、「共同担保」という切り札になりました』
その後は、現金と融資を組み合わせて購入と運営を繰り返し、気が付けば、6戸建て、3アパート、合計31部屋まで拡大することができている。
■思い出に残っていること
拡大する中で、色々なトラブルもあったという。
・浄化槽が割れて、100万円以上の出費が発生
・給水管からの水漏れ及びバルブの故障が発生
・ベランダ防水の亀裂から、雨漏りが発生
・真夜中に入居者からクレームを受け、即時対応 など
築古は利回りが高い分、トラブルも起きやすく、精神的なタフさも求められる。
『ぼくはタフではないので、その都度げっそりしながら、脱サラを達成する目標にしがみつきました。諦めたら、そこで試合終了ですから』
うまくいったこともある。
1階のテナントが長期空室のアパートを、思い切って、高級バイク駐車場に改造した。『リフォームに100万円以上かかり大きな賭けでしたが、常時満車の優良物件になりました』


■買っていけた秘訣はプランニング
これまで進んできてつくづく思うことは、プランニングが何よりも重要ということだ。
『まず最初に、目標を決めました。手に入れたいキャッシュフローの金額と、達成する期限です』
『2番目に、具体的に、どこの融資(もしくは現金)で、どんな物件を、どういう順番で、どのタイミングで買っていくか、を決めました』
この2番目が、プランニングだ。
『プランニングというと難しく聞こえるかもしれませんが、はやい話、計画です。旅行に行くとき、みなさん、計画を立てるのではないでしょうか?ぼくも、スペイン旅行に行った時、綿密な計画を立てましたが、それの不動産版です』
たとえば、1つ買って満室にしてから、次を買う、月のキャッシュフローが30万円になるまで、それを徹底する、なども計画に盛り込んだ。
築古物件は予想しない出費に襲われる事があるし、そもそも資金力がなかったからだ。
実は、最初はプランニングを作成していなかった。1戸目を買って運営して、現金だけでは目標到達が難しいと実感し、融資も含めたプランニングを作成した。
『計画を立てることで、変な物件を掴む可能性も減りますし、買い進めができ、モチベーションも保ちやすくなります』
「いきあたり、ばったり」、を楽しむ
旅行の場合はだいご味だが、不動産投資では命取りになる可能性もある。
今では、もうすぐ月70万円のキャッシュフローになりそうで、精神的に安心感もでてきたという。
『多くのビジネスや投資の中でも、不動産ほど計画が立てやすいものはないのではないでしょうか?』
■今後の抱負
不動産の世界に足を踏み入れて3年、35歳になったばかり。42歳までに、年間キャッシュフロー3,000万円が目標で、本業は完全にリタイアしたいそうだ。
今後、減価償却が切れた物件から徐々に売却、資産価値があり手の掛からない新築物件に入れ替えたいという。子供の頃から設計や図面作成が好きだったので、土地から新築を計画している。
『はやく、時間的余裕が欲しいです。手に入れた時間を使って、一眼レフを片手に世界中を旅したい、そして、子供といっぱい遊んでやりたいです』
最後に、これから不動産投資を始めようと考えている人に、メッセージをもらった。
『よく、不動産投資は不労所得と言いますが、そんな事はありません。しかし、再現性が高く、しっかり勉強、計画して、諦めずに打ち込めば、サラリーマンを辞める程度なら、達成出来ると思います。本気で脱サラしたい人は、勇気を持って挑戦してみて下さい!』
晴れやかな笑顔で、こたえてくれた。
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執筆:石橋 仁 (いしばし ひとし)
https://twitter.com/hitoshi1114
■主な経歴
経済的自由を獲得したい、子供との時間を一緒に過ごしたい(幼稚園の送り迎え等)一心で、不動産投資をスタート。2015年に1棟目のアパートを購入、キャッシュフロー重視で物件を購入し、現在9棟98室を保有(返済比率37%・残債利回り18%)。大家歴8年目。通称「親バカ大家」
趣味は食べ歩き、旅行、そして子供と遊び、成長を見届けること。
米国株、仮想通貨にもアクティブに投資している。
座右の銘は『出来るか出来ないか、ではなく、やるかやらないか!』