高校卒業後に不動産業界に飛び込み、15年になる高橋わこさん。20代で結婚し、妊娠中に急遽、夫が脱サラして、起業したいと言い出し、世帯収入が半分になるピンチに陥った。
当時、派遣社員だったが、副収入を求めて、不動産投資を行うことに。その後、宅建士やファイナンシャルプランナーの資格を取得し、上場企業に転職。年収を2倍に増やすなどして家計を支える。うまくいった「ヤドカリ投資」と「戸建て投資」の体験談を紹介する。

「不動産」に興味を持ったのは父の会社の倒産が始まり。
賃貸併用住宅など稼げるマイホームを模索する
高橋さんが「不動産」に興味を持つきっかけとなったのは、学生時代にさかのぼる。父親が焼肉店やパチンコ店などの経営を行っていったが、バブル崩壊のあおりを受け倒産。
父は体を壊し、両親が不仲になり、離婚することに。子供ながらに、なんとかできなかったのかと、思考を巡らせていた。
「当時、同じように会社経営をしていた父の知人のなかで、会社を存続させている社長さんもいたのです。うまく景気の波を乗り越えた人たちは収益物件を持っていて家賃収入があったことが後々分かりました」
そんなことが頭の片隅にありつつ、高校卒業後は、不動産業界に飛び込み、分譲マンションの管理の仕事に従事する。転機は結婚後、第1子を妊娠したときに訪れる。
「会社員だった夫が、鍼灸師になるため、学校に通って、自分の鍼灸院を持ちたいと言い出したのです。学校に通う費用や開業資金として、600万の融資を受けることになりました。夫の夢も、子供達の夢も叶えてあげたいと考え、稼げる妻になろうと決意しました」
副収入を得る手段として、不動産投資に興味を持ち、大家さんの会で勉強を始める。
まずは大家の会で学んだ、不動産のマーケティングの手法を活かして、高く貸したり、売ったりできるマイホームを買うことに。なかでも賃貸併用住宅を買おうと模索した。しかし東京都内では、金額が高く、利回りが低いのが難点で、購入をやめた。
そんなある日、不動産業者のメールマガジンで、土地勘のあるエリアで、割安感のある新築一戸建てを見つけ、その日のうちに契約を決める。
「これから人口が増えていきそうな、住宅ニーズのあるエリアで、相場よりも800万円ほど安く売りに出ていたのです。借地権付きだったのですが、購入希望者のローン審査が通らず『ローンブレイク』した1棟が残っており、売り主の決算のタイミングで、売り急いでいたようです」
それが冒頭の写真の一戸建てである。3年程住んだタイミングで、売却したが、購入額より1000万ほど高く売ることができた。借地権付きの物件の場合、売る際に承諾料を払わなければならないため、数百万の承諾料を支払ったが、それでも数百万の売却益を得ることができた。
マイホームを貸したり、売ったりすることで、財を築く「ヤドカリ投資」を実践したことになる。

自己資金を極力使わず、融資を受けて築40年超え、
380万円の戸建てを購入。利回り13.8%
さらなる副収入を求めて、物件探しを続けることに。
「当時の私は、妊娠中で、不動産業界で働くも派遣社員で、自己資金が少なく、大きな融資を組むのが難しい状態でした。そんな状況で買えたのが、千葉県千葉市にある380万円の築古戸建てです。駅からバスで20分程と遠く、410万円で売りに出ていましたが土地値を調べて計算し、ほぼ土地値の380万円に指値をして購入しました」
日本政策金融公庫から低金利で融資を受けられたことで、手数料以外、自己資金を使わずにすんだ。

どんな入居者が住んだら満足してもらえるのかをよく考え、入居者の人物モデルである『ペルソナ』を絞り、猫が好きで車で移動するカップルやファミリーをイメージしてリフォームをすることに。


客付けは自分で、「ジモティ」を活用。
理想通りの入居者が5組目で決定
入居者は、なんとジモティを使って自ら募集。宅建士であることも活かして、自ら案内し5組目で入居者を決めた。
「『猫歓迎』で、カップルやご夫婦をターゲットにした文言でアピールしました。動物園で働いている、愛猫家のご夫婦で入居者が決まり、3〜4年ほどお住まいです」
家賃は5万弱で、利回りは13.8%になる。

その後、上場企業に転職し、年収を2倍に押し上げるも、第2子を出産後、家族の時間を確保したいと思い、数か月前に退職した。
今後の投資戦略としては分譲マンションの建物の状態や管理の良さに魅力を感じ、投資先として検討している。
最後にこれから不動産投資をする人へメッセージを!
「不動産投資以外の「借金なしでできる」投資は、勢いで始めてもいいと思うのですが、不動産投資だけは、勢いで始めて成功するのは難しいと思います。
不動産業界にいる人でも失敗している人がいますし、実勢価格よりも高い価格で大きな収益物件を購入してしまい、自己破産した知人もいます。
不動産を売る側の売り文句ではなく、すでに豊かになっている先輩大家さんの話を参考にするなど、誰から教わるか、その見極めが重要だと感じています」