26歳で不動産投資を始め、31歳にして年間3,000万円以上のキャッシュフローを達成した元公務員不動産投資家・ヴィーダさん。
昨日の前編に引き続き、後編では「30歳で必ずFIREする」と覚悟を決めて真剣に不動産投資に取り組み目標を達成するまでの歩みと、そこから導かれた現在の投資スタイルなどについて紹介する。

2棟目購入の時点で「30歳で公務員を卒業しFIREする」と目標を打ち立てたヴィーダさん。期限を30歳としたのは、明確な理由があったという。
「1棟目は職場から兼業許可を取って堂々と不動産投資に取り組みましたが、2棟目の25室という規模となると、さすがに職場からNGを出されるのではという懸念から、黙っていることにしました。そこで問題となるのが、子どもの児童手当の所得要件です。
当初は減価償却が効いて所得を抑えられますが、1棟目の償却期間が終われば所得が上がってしまい、そこから職場に規模拡大がばれてしまうと思いました。その期限が30歳だったんです。
若いうちに辞めると退職金も微々たるものですが、給料や退職金惜しさに『あと1年働いたら、いくら貯まったら…』と先延ばしにしているとあっという間に35歳、40歳になる気がして。たとえ職場ばれしないとしても、キッパリ30歳のうちに辞める!と決断しました」
不動産投資に没頭し、休みナシで行動を継続
次々と物件を購入しながら3年半でFIRE達成
退職の期限を明確に設定し、ますます不動産投資にコミットするようになったヴィーダさん。
法人を設立し、2棟目購入の4ヶ月後には実需向けの売却も期待できる好立地にファミリー向け区分マンションを立て続けに2室購入。
これを皮切りに、中古アパート、新築アパートおよび戸建、中古テナントビル、中古戸建…といった具合に、数ヶ月おきにコンスタントに物件取得を続けていく。
最後は新築アパート企画と利回り40%のRC物件でスパートをかけ、みごと目標どおり、30歳になった直後にFIREを達成した。当時の所有戸数は約80室、税引前キャッシュフローが約180万円ほどだったそうだ。

「30歳になる最後の1年はやりきるつもりで、とことん追い込みをかけました。平日は昼休みに不動産会社や金融機関に電話をかけ、仕事が終わって家に帰ったらすぐ作業着に着替えて物件に行きセルフリフォーム。
土日もひたすらリフォームで、泊まりがけでやることも珍しくありませんでした。とにかく休みナシで、ずっと不動産のことだけに集中した1年でした。
妻からきちんと了承を得て活動していたので家庭の方は大丈夫でしたが、ただ家にずっと居ない間に子どもからパパの存在感が薄くなってしまったのは悲しかったですね(泣)。FIREして時間に余裕ができたので、その分を取り返しているところです(笑)」
とはいえ、生来だらだらしたり暇な時間が苦手だというヴィーダさん。FIRE後も拡大のスピードを緩めることはなく現在の規模に至る。常に物件を買い続けられる秘訣は、物件探しと融資開拓、そして「不動産投資活動そのものが楽しい」という気持ちにあるという。
物件探しはポータルサイトはもちろん、大小さまざまな不動産会社の実店舗を回って足で稼ぐことを大事にしている。エリアも地元だけに絞らず、県外で不動産会社回りをすることも。実際にいくつかの物件はローラー作戦が奏功して購入に至っている。
融資については現在8行の金融機関との取引があり、特にメインバンクらしいメインバンクを持たず、まんべんなく付き合いがあるそうだ。
各金融機関の融資姿勢をよく理解した上で、案件に応じて適切な金融機関に融資打診することを心がけている。
手当たり次第でなく、取り組み可能性の高い、金融機関の基準に合致する物件を持ち込むようにしており、公務員時代の中盤から現在に至るまで、否決されることなくコンスタントに融資を獲得し続けている。公務員の属性が無くなったことは全く影響していないようである。

築古DIY再生×土地から新築のハイブリッドで
リスクに強い賃貸経営を目指す
ヴィーダさんはこれまで物件種別を問わず幅広く取り組んできた結果、高利回りの”築古再生”×安定性の”土地から新築”のハイブリットな不動産投資スタイルに収斂している。
15年ほどの融資期間で取得した築古物件はDIYによるリフォームでバリューアップを施し、高利回り物件に。融資期間を長く取れる新築は人口7万人〜10万人程度のほどよく人口が集まっているエリアで、なるだけ需要が底堅く、次に買う人も融資が問題なく出るような立地を選んで建てている。
デザイン、間取りや設備といった企画にもこだわっており、工務店とがっちりタッグを組んで利回り9%から10%の物件を作り上げているようだ。
「築古はトラブルもあるけどガンガン稼いで、ガンガン返済していくイメージで、返済比率は35%くらいです。新築はフルローン・オーバーローンで長く引いて返済比率50%くらいで、合わせると大体45%ぐらいの返済比率に収まっています。色んな物件がうまくミックスされた状態であれば、金利上昇やその他のリスクにも耐えうる経営ができると感じます」
FIRE後も何かと忙しく活動を続けるヴィーダさんだが、「何事も自分で主体的に決められることの心地よさは何にも代えがたい」と話す。公務員時代はストレスから体に蕁麻疹が出て常に薬を服用しなければならず大変だったそうだが、退職してからはぱったり出なくなったとのこと。
先日久々に医師と顔を合わせたところ「ひょっとして仕事を変えた?」と尋ねられ、ニヤリとしたそうだ。
今後については、不動産投資は変わらず続けていくものの、いったんスピードを緩めて財務の改善を図り、決算書の見栄えを良くしていく考えだ。
そして現在新たな事業を準備中で、そちらにも力を注いでいくとのこと。どんな事業かはまだ公表していないそうだが、若手不動産投資家の雄・ヴィーダさんの今後の活躍に眼が離せない。
明日は番外編として、築古物件に潜むリスク、ヴィーダさんを襲った恐ろしい「水のトラブル」の話について紹介する。
健美家編集部(協力:
(たまあらい))