会社員の夫と、幼い3人の子と暮らす、鹿児島県在住の神村楽々(らら)さん。副収入を求めて、夫婦で2020年から不動産投資を開始した。
【前編】では鹿児島で、収益物件を探すなかでアナログでの情報収集が有益だった話から、利回り売約12%のアパート1棟を購入するまでをご紹介した。
今回は、戸建てを売値の半額以下で購入した話をご紹介する。また、さらなるアパート購入に向けて種銭を貯めるために始めたキャンピングカー投資についても話を進める。

1年以上サイト上に掲載されている物件に目星をつけ、
目標の利回りに近づけるために、値下げ交渉
2020年にアパートを購入した後も引き続き、まとまった家賃が得られるようなアパートを探していた。しかし2年連続で、まとまった現金を捻出して頭金を出すことはなかなか厳しく、戸建ても視野に入れることに。
「不動産投資について学ぶなかで、2年程前の当時は戸建て投資が流行っているように感じていました。古い戸建を安く購入してDIYをしてコストダウンすることで、大家としてのノウハウを身に付けられると考えました」
いざ鹿児島市内で戸建てを探してみると、金額の差が激しいことを知る。1000万円以下で探し、利回りを重視。築古でも利回り12〜13%はキープしたいと考えた。
しかしそうなると、エリアと、エリア内での家賃設定と、売られている物件の価格帯とのバランスが難しく、なかなか理想の数字に合う、売り物件が見つからない。
そこで目に留まったのが、1年以上ポータルサイトに載っていた、戸建てである。
売り主さんはご高齢で、早く売りたいようだった。長く売りに出ているものの、一度も買い付けが入っていなかった。
敬遠されていたポイントは、再建築不可で建て替えができないこと。ただし入居者は20年以上住んでいて、引き続き長く住む可能性が高いと考えた。周囲の家も再建築不可の家が多く、神村さんが地元の人にヒアリングしたところ、都市計画が進む可能性が高いと感じたこともプラスに感じた。
「450万円ぐらいで売りに出ていたのですが、こちらを引き取りたいと仲介業者さんを介して伝え、時間をかけて、こちらの要望や根拠がある数字を示して、交渉しました。結果的に、大幅に下げてもらい、165万円で築38年ほどの戸建を現金購入しました」
指値のポイントは神村さんが得意とする、アナログでのコミュニケーションである。大幅に指値ができたのは、仲介業者の担当者とのコミュニケーションを密にとることができたためだと振り返る。
「売主の窓口は仲介業者で、この物件の元付けだったこともあり、お話の中で売主の心理面と担当者の心理面を分析しながら、価格を下げていった背景があります。
仲介業者に背をそむけられたらそれ以上の指値はできないですし、場合によっては取引が頓挫してしまうので、探りながら下げていきました」
購入後の管理は自主管理だが、入居者が長く住まわれていることもあり、ほとんど手間がかかっていない。
今の入居者は20年以上前からの契約で、家賃保証会社に入っていない。もし次の入居者が入るようなことがあれば、家賃保証会社に入ってもらおうと考えている。
購入までの労力はアパートも戸建も同じ。
まとまった家賃が入るアパートを買い進めたい
アパートと戸建てを購入してみて、振り返って感じることは?
「アパートのほうが、家賃が戸数分と多く入ってくる分、魅力的ですね。購入したアパートと戸建ては、どちらも築40年弱なので、外壁の小さなクラックなど、いろんなところが目につくのですが、DIYのスキルを身に付けるため、ちょっとしたペンキ塗りも夫婦でやっています」
その後も、アパート購入に向け、物件探しに励み、最近も融資を引こうと、頑張っていたが、建物の状態から難しく、断念。
さらに1年程前から、キャンピングカー投資を始め、これによって、お金を貯めるスピードを上げて、頭金を貯めて、アパート購入につなげたいと考えている。
「中古のキャンピングカーを505万円で、信用金庫の事業用ローンで購入ました。レンタル業としての登録をして、レンタル料金は平日1万9800円で、休日2万5600円(ハイシーズン10%増)。月に3日貸し出しできればローンや税金など、諸費用を支払いでき、それ以上の予約分が、収益になります」
観光需要が盛り上がってきた3月は25万円ほどの収益に。

「私達家族もキャンピングカーを使ってたくさん旅をして『旅育』をしたいと考えています。サラリーマンとして働く夫の姿に加え、観光ブログの運営や大家業、キャンピングカーレンタル業、講師業などいろんな仕事をしていることを子供たちに見せたいです。いろんな仕事の選択肢があり、未来は選べるのだと、親の背中を見せることで伝えたい」

不動産投資をするうえで、実際に人に会って話をしたり、行動をすることで、買い進めることができたと神村さんは振り返る。
「駆け出し大家のうちは自ら、業者さんのところに出向いて、情報をもらうことが大事だと感じています。特に地方では、信頼できる仲介業者さんを見つけることで、話が進むので、自分はこんな人間だと情報開示をして、一緒にビジネスをしよう、という姿勢でお話をするように心がけてきました」
また夫婦二人三脚で取り組むことの利点も感じている。
「夫には数字などの分析を、私は主婦目線で物件を検討することや情報を収集することが得意なので、二人で協力して取り組んでいます。それにより、夫婦や家族の絆が深まっていると感じます。1人で始めることに不安があるなら、夫婦で取り組むことをお勧めしたいですね」
