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バブル期のデザイナーズ物件失敗の要因に学ぶ

不動産投資全般/商品・サービス ニュース

2016/10/07 配信

バブル期には多数のデザイナーズ物件が登場している。だが、その多くは現在、あまりぱっとしない状況。その理由に学ぼう。

■80年代に登場、テレビとコラボで大人気に

80年代に登場、現在も人気の高いデザイナーズマンションの先駆が建築家早川邦彦氏による物件だ。そのうちのいくつかはテレビドラマの舞台として使われ、それが物件人気にも繋がった。

代表的なのは1988年にW浅野の主演で大ヒットした「抱きしめたい」の舞台となった、中野区にあったアトリウム。残念ながら同物件はすでに取り壊されているが、現存する物件のひとつに、非常に似た雰囲気のあるものがある。杉並区にある1988年築のラビリンスである。

パステルカラー
当時はこうしたパステル系の色が流行った

新青梅街道沿いに建つ同物件は中央に広い中庭を持ち、各住戸へは複雑に配された階段を利用する。各戸それぞれに異なる階段を持つ独立性が特徴で、ある意味贅沢。だまし絵のようにも見える階段の配置が物件名ラビリンス(迷宮)の由来だ。

外壁はピンクとグリーンに塗り分けられており、全体は明るく、開放的。ゆったりした広さはバブル期の特徴で、今どきならこんなに広い庭を作ることは少ない。

だが、残念なのはこれだけの空間が何にも使われていないこと。今であればこうしたスペースを共有部として使い、コミュニティを作るっことで物件の売りにするだろうが、当時にはそうした発想はなかった。

逆に階段の手すりに洗濯物や布団などを干さないようにという注意書きが多数設置されており、現在のコモンスペースを設けた物件との違いは明らかである。

駐輪場がない例
これはデザイナーズではないが、駐輪場を作っていなかったため、エントランスがひどい状況になっている例。これでは借り手が見つけにくい

この当時の物件は見た目には非常にこだわったが、実用性に乏しいところがあるのが特徴で、非常にしばしば見受けられたのが駐輪場のない例。駅から数分以上の距離があるなら、作っておきたい設備だが、全くない物件が多く、場合によってはエントランス付近が違法駐輪で見苦しいことに。

また、バルコニーに洗濯用のバーが設置されていない物件も多く、突っ張り棒利用、バルコニーの手すり利用などが見られる。せっかく見た目にこだわったのに、随所に洗濯物では残念な結果になる。見た目を重視したいのであれば、それを可能にする実用性も必要というわけだ。

もうひとつ、この時代に軽視されていたのが収納。中には全く収納のない部屋なども多く、それに加え、賃料の高さからデザイナーズ入居者の8割、9割は男性という時代が長く続いた。現在は女性の経済力も上がり、また、使い勝手の良い物件が増えたことで女性入居者も増えている。男性だけにしか評価されないような物件ではこれからはダメである。

■PRし続けなかったことも敗因

バブル期のデザイナーズ物件の現況を追いかけてみてひとつ、共通していたことがある。ダメになっている物件はその良さをPRし続けなくなっているのである。竣工当初からしばらくの間は売りになっている部分をせっせと広告などで打ち出しているが、それが数年以上経つと忘れられてしまい、単なる中古物件として扱われるようになっていくのである。

これに関しては管理に携わる会社が変わっている、そもそも所有者・社が変わっているなどの理由もあるが、せっかく売りになる特徴のある物件であれば、それをPRし続けることが大事。物件の価値を下げないためには継続が力になるのである。

その点で参考になるのが築11年と比較的新しいが、未だに賃料が竣工時と変わらず、かつ稼働率もほぼ9割超をキープしている中野区の物件、ラグズである。

カッコいい部屋
スタイリッシュでかつ素材にもこだわった部屋が揃う

この物件はずっとカワナ・ネットワークという会社が管理を続けており、竣工時に作ったパンフレットを使い続けている。ぶれることなく、同じポイントが売りになっており、それが人気の要因のひとつになっているのだ。

だが、それだけではない。この物件は全67室あり、広さは30㎡台のワンルームから100㎡超の2LDKまでと間取りのバリエーションが豊富。全室異なる間取りを作るのは面倒に思えるが、そのため、この物件では建物内での住替えが多いのである。

敷地内
敷地内もきちんと手が入っており、経年を感じさせない

最多は10年で4部屋移動だそうで、それ以外でも3部屋以上移動した人が3組、2部屋以上となると10数組だそうで、内部でステップアップしていける物件だという。当然、こうした場合には新たな広告その他の費用が不要で長く住んでもらえる。

最初から長期的に収益を上げることを目指していたというが、そうした方針がきちんと貫かれていると経年も怖くはない。オーナーとしてはそうした長い目で物件を運営していものだ。

健美家編集部(協力:中川寛子)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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