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地震保険はどの程度で認定されるの?木造アパートの軽微な基礎のヒビなど、申請していない人多数。ダメ元で言ってみるのも手。

不動産投資全般/商品・サービス ニュース

日本列島では地震が頻繁に起こる。

まだ記憶に新しい2011年3月11日の東日本大震災では各地に甚大な被害を与えた。

2018年9月6日の「北海道胆振東部地震」では札幌市でも大規模な液状化現象がおきたが、このような大地震で甚大な被害を受けた建物がある一方で、その周辺エリアでは、揺れたが大きな被害はないというエリアもあるであろう。

■地震保険は、自ら申請し認定されないと保険金が下りない

北海道胆振東部地震では各保険会社が設置した地震対策室などから、加入者に「被害があったか」の確認電話があったのだが、オーナーが被害の状況をよくわからずに「被害はありません」と電話で答えてしまい鑑定人が来ていないケースが多くあった。

そこで筆者が実際に北海道胆振東部地震で損害認定された木造アパートの基礎の被害状況を説明する。
もしこの程度の損害があれば、今すぐに保険会社に連絡するべきだ。

■まずは地震保険制度の基本知識

地震保険とは、地震が原因とされる火災や損壊による損害を補償してくれる保険で「地震保険に関する法律」によって、政府と民間損害保険会社が共同で運営する公共性の高いものである。

巨大地震等が発生した場合、地震の被害は広範囲にわたり、その被害総額は高額で多額の保険金の支払いが予想される。しかしながら損害保険会社の支払い能力には限度があるので、再保険によって政府が保険責任を分担するという官民一体の制度となっている。

地震保険の制度上の目的は、地震災害による被災者の生活の安定に寄与することで、地震により倒壊した建物の完全復旧ではない。

そのため被害をすべて補填できる契約内容にはなっていない。
一度の地震による総支払い限度額は11兆3000億円(2017年1月現在)と定められていて、この金額を越える場合は、支払保険金総額と総支払い限度額の割合に応じて減額される場合もある。

ただ1966年に制度ができてから、最大の支払保険金総額は、2011年の東日本大震災で約1.2兆円なので総支払い限度額内に収まっている。

■地震保険は単独では加入できない

主契約となる火災保険に合わせ特約として入る保険であるので、火災保険と同じ保険会社と契約することになる。
なお、地震保険は契約期間の途中でも加入できる。

地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内となり、建物は一戸あたり5000万円、家財は1000万円の上限がある。

今でもよく勘違いされる点が、保険代理店の担当でも地震保険は「1棟あたり5000万円まで」しか入れないという間違った認識により、大型の賃貸マンションを経営しているオーナーが地震保険の加入は無駄と考えている人が多いようだが、これは一棟ではなく「一戸あたり5000万円」なので一億でも二億でも火災保険金額の半額まで加入できる。

また、修理見積金額は補償されない。地震保険の目的は被災者の生活の安定に寄与することで、地震保険は、建物の復旧を想定していない。お見舞金の様相を呈している事も理解しておくべきだろう。

■地震保険は4区分

地震保険の保険金は損害を4区分(全損・大半損・小半損・一部損)に分類して計算され、実際の損害額で支払われる訳ではない。
(※保険始期が2017年1月1日以降が4区分に変更された。それ以前の契約は、三区分(全損・半損・一部損)の分類での計算になる。)

全損、大半損、小半損、一部損、無責(支払いなし)の基準は、以下のようになる。

・全損・・保険金額の100%
地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延べ床面積の70%以上となった場合

・大半損・・保険金額の60%
地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の40%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延べ床面積の50%以上70%未満となった場合

・小半損・・保険金額の30%
地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の20%以上40%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延べ床面積の20%以上50%未満となった場合

・一部損・・保険金額の5%
地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水を受け、建物の損害が全損・大半損・小半損に至らない場合

■損害は専門家による鑑定が必要

火災保険であれば実際の損失に見合った損害額を割り出すのが通常だが、地震保険は損害を点数として加算し、その総合ポイントで損害額が確定して「全損」「大半損」「小半損」「一部損」「無責」が決められる。
つまり一本のヒビに対しても「これくらいの修理費用になるだろうから一部損」ではなく「何ポイントだから一部損」という判定になる。

このことから被害状況に見合わない鑑定結果となる事も多いようだ。

■クロスのヒビ、給排水の故障等は補償外

地震保険の対象は建物の基礎や外壁、屋根などの主要構造部であるため、温水器の給排水管が割れたなどは、補償の対象外となるケースがほとんどである。

また木造在来工法の内壁やクロス(壁紙)のヒビ・亀裂などの内壁の損傷は、建物の主要構造に関わる部分ではないと判断されるため認定されなかったり、木造2×4構造であれば、壁が主要構造部になっているケースが殆どなので認定されるなど地震保険の判定は非常に複雑である。

しかし、これらの事実を知っているのと知らないのとでは鑑定結果が大きく異なる事も有りえる。

震災時は広範囲にわたり数多くの住宅が被害に遭うため、調査が足早に行われる傾向にある。
その際に取りこぼしや見落としをしている可能性もあるので、何かあったときに自分でも簡単な判断が出来るようにしっかり覚えておく方がよい。
また鑑定結果に納得がいかなければ再鑑定を依頼するという事もできる。

■損害認定された基礎クラックの事例

写真1

写真の様な微細なクラックが、計10本程現れていたので、保険会社に地震保険の審査を依頼したところ、5%の一部損が認定された。
そこで、地震保険で一部損になるかどうかは、被害が「主要構造部の損害額が、時価額の3%以上」の基準だ。

■木造軸組工法(在来工法)の損害算定

木造在来工法の主要構造部は、「軸組、基礎、屋根、外壁」の4か所である。軽微な被害状況は「軸組、屋根、外壁」は確認できない場合が多いので、基礎のヒビを確認する。

基礎の損害認定は外周布コンクリートの長さに対して何メートル損傷を受けたかである。基礎の損傷は、簡易計算で算出した外周布コンクリートの5%以上損傷があれば一部損以上となる。

そしてクラックは、1か所の損傷で1mとカウントとなる。
但し1m以内に2か所以上の損傷があっても1mとカウントとするので注意が必要だ。写真のクラックは1mの長さはないが、1mとして計算されるのだ。

写真2

地震保険では、総二階建て建物は「1階床面積×0.52=外周基礎の長さ」と計算する事になっている。写真の建物は1階床面積が210.76uで以下の計算となる。

210.76u×0.52=109.59m

基礎の長さは109.59mとなる。

この様なクラックが6本発見された。

基礎の損害率は
6m / 109.59m = 5.47%

基礎の損害率の計算結果は5.47%になった。
基礎の物理的損害割合で建物全体の何%の損害率になるのかという表が下の表だ。

写真3
基礎の物理的損害割合

■木造2階建て8世帯程度のアパートならクラックが6箇所ほどで認定される

この表では2階建てアパートで基礎の損害が5%以上あると、主要構造部全体の損害率は4%になる。

一部損認定の被害は「主要構造部の損害額が時価額の3%以上」なので、一部損に認定される。
ちなみにクラック5箇所(5m)だと4.56%なので2%にしかならない。

読者の建物の大きさに拠るのだが、クラックの程度はこの写真程度の物でも認定されるのでしっかりと見てほしい。

また写真のような微細なヒビでも損害認定がされるので、自分では見つけられないケースも多々ある。簡単に無傷だと判断しないで、必ず保険会社に見てもらうようにしよう。

写真4

執筆:J-REC教育委員 原田哲也

【プロフィール】
2010年より、一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)の北海道支部を立上げ、不動産実務検定の普及に尽くし、多くの卒業生を輩出。2018年よりJ-RECのテキスト編集、改定などを担当する教育委員に就く。
また自身が主宰する北海道大家塾は既に50回の開催を数え、参加人数も述べ3000人を超える。

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