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外国人所有が解禁されて5年が経過したベトナム不動産。コロナ禍での現状と外国人所有制度

不動産投資全般/海外投資・事情 ニュース

2021/04/24 配信

コロナフリーで注目が集まる
ベトナム不動産について

ベトナムは2015年7月に住宅法が改正され外国人に住宅用不動産の所有が緩和された。

社会主義国であるベトナムにおいては、土地は国が所有することから土地所有権を取得することは認められておらず、外国人が購入できる不動産は主としてコンドミニアムの建物部分の所有権とその土地に関する使用権となる。

本改正から5年が経過するという2020年まさにベトナムにおける外国人の中古売買も含めた取引が加速すると思われていた中で、コロナウィルスによるパンデミックがベトナムにも襲った。

筆者が最後にベトナムを訪れたのは2020年2月下旬。既に武漢から始まったウィルスの蔓延はベトナムでも強い警戒感があり、渡航はできたももののモール等公共の場所に入る際の検温が義務付けられていた。

2020年2月下旬 ホーチミン市にて筆者撮影
2020年2月下旬 ホーチミン市にて筆者撮影

東南アジア成長国の中でとりわけ高い経済成長が今後期待されている同国。新型コロナウィルスの感染者はWHOによれば2021年4月12日時点で2,705名であり、人口が約1億人の国としては極めて低い罹患数である。

コロナフリーともいわれる同国の理由は徹底的な隔離政策にある。入国者は14日間指定施設・ホテルで隔離義務・国内で感染者発生時は、接触者全員を強制隔離(数万人)、第3波があったがいずれも政府が迅速に対応。こういったことにより抑え込みに成功した。

ベトナム
強い経済回復への期待

ベトナムは経済的に非常に強い状況が続いている。ベトナムの経済的発展要因は、「世界の工場」中国からの産業シフトがメインだ。

人件費の安さ、豊富な若年層労働力(工員月収約3万円)中国から地理的にも近い(陸続き)であることもメリットだ。携帯産業・サムソン・アップルの産業集積化もある。

ベトナムの人口は日本の1963年とほぼ同じであり、2024年には1億人を突破する見込みだ。

今後の2025年にかけてのGDPの成長予測は年間6%を超える。そのような中で日系企業のベトナム進出のプロジェクトも多く展開されている。

図01
IMF発表の予測値を基に筆者にてグラフ作成

日系による
住宅開発プロジェクトが進行中

経済の中心地のホーチミン市に限らず首都ハノイにおいても日系企業の新規事業開発が目立つ。例えばホーチミン7区で日本人や外国人にも人気のある高級住宅街フーミンフン地区にて、大和ハウス、野村不動産、住友林業による総戸数2,000戸超のレジデンシャルプロジェクトが2015年から始まり、2019年から引き渡しが始まっている。

ホーチミン市郊外にあたる9区では、271ヘクタールの広大な敷地内の都市開発「ビンホームズグランドパーク」の第2フェーズとして、三菱商事と野村不動産が現地大手デベロッパーのビングループともに開発をする「The Origami」が総戸数1万戸の大規模プロジェクトを発表した。

さらにハノイでは野村不動産がEco Park社が開発をする500ヘクタール超の都市開発「Eco Park」において3,000戸の開発への参入を発表している。

日本人投資家からみる
ベトナム不動産

早くからベトナム不動産投資を行っている「海外不動産投資アマチュア投資家の会」征矢野清志会長に話を伺った。

「購入しているセントラルパーク(ホーチミン2区ビンホームズによる都市開発)でのコロナにおける賃貸状況は、昨年3月以降は確かに、出ていったらなかなかテナントが付かない状態はあったものの、セントラルパークにおいては駐在員人気が高い物件でもあり、ほどなくして韓国人のテナントで埋まった。」

このように、コロナ感染状況が抑えられていることから駐在員も自国に帰るという選択ではなく、ベトナムにとどまり業務を行ったり、逆に予定されていたベトナム駐在のために入国をするケースも見受けられる。

征矢野氏所有のセントラルパーク外観 2020年2月下旬 筆者撮影
征矢野氏所有のセントラルパーク外観 2020年2月下旬 筆者撮影

また征矢野氏にベトナムにおける不動産取引にあたっての注意点を聞いた。

「ベトナム自体は法治国家であり、表面上法に則る事をかなり強いられるので他のASEAN諸国に比べ不安が少ないかもしれない。」

「しかし、根底から舵の切り直し等があり得るのでそこはリスクとして捉えるべき(許認可の取り消しや前言撤回的な方の振り回しはあり得る)。また、カンボジアやタイでも同様であるが、日本人には理解しにくい独特の言語や文字がネックになり、契約含めて誤解が生じたまま進んでいくことも懸念される。」

言語が英語ではないことが、投資参入の障壁にもなっている。

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海外不動産投資アマチュアの会 会長 征矢野清志氏

不動産価格の急騰や供給過剰により市場に変化も

一方で住宅供給が過剰な側面もある。2020年第4四半期から未販売在庫の積み上がりとデベロッパーの損失を確認できる。

例えば、不動産開発会社のダット・サン・グループ(Dat Xanh Group (DXG))の財務諸表によると、同社の2020年の売上は2.89兆ベトナムドン(約133億円)となり、2019年のたった半分ほどとなった。

2020年12月31日の時点での在庫は51%増の10.2兆ドンとなり、同社の総資産の55%を占めている。竣工済みのプロジェクトの在庫は、主にアンヴィエン(An Vien)とラックスガーデン(Luxgarden)プロジェクト。竣工前プロジェクトについては、2020年建設工事にまったく進捗がなかった。

これは価格の高騰に伴い販売速度が鈍化したことによる、在庫の積み上がりと新規プロジェクトの開発計画に狂いが生じていると捉えることができる。

前出の征矢野氏によれば、外国人物件市場に大きな影響はまだ出ていないが、ローカル向けの住宅市場では早期売却を急ぐ案件も見受けられる。理由としては、竣工前の転売を目論んで購入したものの、売却ができずにローンも引けないという状態での案件とのことだ。

コロナにおける
不動産オーナー・テナントへの救済・緩和策

各国が異なる政策を示している不動産事業に対する救済措置もベトナムでは限定的だ。

措置としては、政府所有の土地についての地代に関する支払い延期を一部許可したものの、現在ではその措置は行われていなく、住宅等の賃料に関してはオーナーの判断に委ねられている。

各国のコロナの不動産救済策は様々だが、コロナの影響が少ないため、措置は限定的な印象を受ける。

ベトナムは外国人にとっても魅力的な投資市場であることが間違いなく、今後の開発環境や価格動向のみならず政策についても確認をしていきたい。

執筆:風戸裕樹(かざとひろき)

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Property Access株式会社 代表取締役。日本国内で15年超の不動産業務投資経験。2014年にソニー不動産の設立に携わり執行役員として売却・購入コンサルティング事業部を牽引。2016年よりシンガポール移住後当社創業し東南アジアの不動産ネットワークを構築。東南アジア不動産取引に明るい。早稲田大学商学部卒

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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