賃貸経営している物件に入居者を見つけることを「客付け」といいます。基本的には不動産会社を通じて入居者を募集することになります。
日本は人口が減っており、不動産の賃貸経営にはある意味逆風です。実際、地方に行くほど賃貸物件の空室率は高い傾向にあります。
ただ、そんな中でも満室に近い入居率を実現し、賃貸経営に成功している不動産投資家がいます。賃貸物件運営に成功するための「客付け」のコツを見ていきたいと思います。
①家賃を相場より安くする
家賃を、その物件があるエリアの相場より安く設定すると、入居者が決まりやすくなります。物件の設備などに自信があって高めに家賃を設定してもなかなか入居者が決まらず、最終的に相場並みの家賃にしかならないケースは少なくありません。
当然、家賃を低めに設定して利益を出すには、月々のローン返済額や初期費用、運営費用を抑えることが重要になってきます。
地域の家賃相場を知る方法として、地元の不動産屋さんに聞く手があります。長年、地域に密着している不動産屋さんは、どれくらいの家賃なら入居者が決まるのか、熟知しています。
また、インターネットのサイトで調べる方法があります。
たとえば、「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」の「家賃相場」が便利です。
たとえば東京都国分寺市でワンルームの物件を購入し、貸し出すとしましょう。上の「家賃相場」のページに行くと、日本地図が出てきます。「東京」をクリックすると、「路線・駅から調べる」「市区町村から調べる」の2つが出てきます。
ここでは「市区町村から調べる」をクリックします。すると、東京23区と23区外の「ワンルーム・1K・1DK」の家賃相場がズラリ出てきます。国分寺市は6.08万円です。
さらに「国分寺市」をクリックすると、「ワンルーム」「1K」「1DK」それぞれの家賃相場のほか、「2DK」「3DK」など、ほかの間取りの家賃相場も出てきます。
もちろん、国分寺市の中でも、細かいエリアごとに家賃相場は異なってきますので、最終的には不動産業者に直接確認する必要があります。しかし、上のようなサイトは、大まかに家賃相場を把握する上で参考になります。
②敷金・礼金を抑える
日本の不動産の商慣習に「敷金」「礼金」があります。この「敷金」「礼金」の金額を下げたり、ゼロにしたりすることも、入居者を集める上で有利になります。
③物件の魅力を高める
当然のことながら、ニーズの高い設備を備えるなどして物件の魅力を高めることが重要です。
たとえば、物件にエアコンや温水洗浄便座がついているのは、今やほぼ当たり前です。インターネットの無料設備をつけることはメリットになるでしょう。
ペットを飼う人が増えている昨今ですから、「ペットOK」にするのも良いです。ただし、マンションの1室を区分所有する場合は、マンション全体での取り決めに従わなければならないので、注意が必要です。
中古の戸建て住宅を購入して賃貸経営する場合には、庭の植栽で無駄なものをなるべく少なくしておくことも良いようです。ある不動産業者は「小さくても何本か木がある場合は、抜いたり切ったりして、なるべく減らすようオーナーに頼んでいる」としています。
日々の暮らしの中では、茂ってきた葉を切ったり、落ち葉を掃除したりといったことを入居者自身がやることもあります。
庭仕事の好きな人ならいいのですが、そうでなければ、わずらわしい雑務です。雑務が必要であることが心理的な負担になり入居者がなかなか決まらない、ということにもなりかねません。
あとは、必要に応じてリフォームすることです。築年数のたった中古物件は、内外ともに傷んだり汚れたりしています。補修して、住みたくなる美しさに生まれ変わらせたいものです。
具体的には壁のクロスの張替えや床材の張替え、重ね張り、風呂場・トイレの修繕、外壁の塗装などがあります。
リフォームの費用の目安は家賃の3カ月分くらい、という意見もありますが、3カ月分にまで抑えるのはなかなか難しいかもしれません。しかし、なるべく費用をかけずにリフォームすることが重要です。
大切なのは、一部のみ、必要な箇所だけをリフォームすることです。複数のリフォーム業者から見積もりをとり、検討するようにしましょう。
④広告料(AD)を払う
不動産会社に客付けしてもらい、賃貸借契約にいたった場合、この会社に仲介手数料を支払わなければならないことが多いでしょう。
「オーナーだけが払う場合」「オーナーと入居者の両方が払う場合」「入居者だけが払う場合」がありますが、いずれも仲介手数料の上限は、家賃1カ月分(税抜き)と決まっています。
これとは別に、オーナーに対して「広告料(通称AD)」という費用を支払うことが認められています。不動産会社に優先的に入居者を集めてもらい、空室を減らすた、広告料を不動産会社に支払うことがよく行われます。
相場は家賃の1~2カ月という意見が多いですが、ある不動産会社の関係者は「10万円以上は支払わないと、業者は本気で動かない」と話していました。ケース・バイ・ケースともいえますので、不動産会社としっかり話し合わなければなりません。
健美家編集部(協力:小田切隆)