札幌駅から徒歩8分、駅前の百貨店、ホテルの並びに住友不動産が手がける賃料16万円台からの高級賃貸物件ラ・トゥール札幌伊藤ガーデンが誕生した。地上30階建て、全332戸のタワーマンションである。

同シリーズも含め、高級賃貸はこれまで首都圏、それも主に東京に集中していたが、2018年の京都に続き、2019年に札幌に誕生、広がる気配を見せている。これまでは市場がないと思われていた地域に同社が市場を切り開いたとも言えるかもしれない。
具体的にどんな物件か。札幌の市場動向も含め、見て行こう。
■立地と他にないサービスがポイント
「これまでも札幌には16万円を超える賃貸物件自体はありました」というのは住友不動産賃貸住宅事業部の若月建氏。少し郊外に行けば2万円のワンルームがある一方で、駅に近い分譲マンションの最上階近くには賃料40万円超の物件もあったというから、地方都市としてはかなり多様性のある市場といえる。


「しかしながら、ほぼ全戸が賃貸という物件は初。しかも、ターミナル駅に近いだけではなく、北大植物園と道を挟んで向かい合う、敷地内にも開拓時代からの面影を残す豊富な緑のある、自然と眺めに恵まれた立地です。眺望では眼下に札幌駅、線路も望め、鉄道好きな人なら、それも嬉しいポイント。さらに、隣接する京王プラザホテルと提携。他にないようなサービスを用意しました」。

まず、眺望だが、これは実に素晴らしい。たとえば28階西側住戸は、西向きのため、植物園は見えないのだが、その代わりに敷地内の緑を経てビル群、さらにその向こうに大倉山ジャンプ競技場や手稲の山々が広がっており、都市と自然を一目で楽しめる眺めになっているのである。

あるいは最上階の南東の角部屋からは札幌中心部をほぼ一望できる。同物件では北側を除き、コの字型に住戸が配されており、向きによって見えるものは少しずつ変わるものの、いずれもダイナミックで季節によって変わる眺め。魅力的である。

タワーマンションでは階数によって賃料が違うのは一般的だが、同物件の場合、面白いのは上層階が高いのは当然として、下層階も人気が高く、中層階が比較的お手頃に設定されているという点。
「向きによって何階からかは分かれますが、緑が楽しめて森の中にいるようだと下層階の人気が高いのです。もちろん、上層階も人気があり、比較的まんべんなく、埋まってきているというのが実際のところ。コーナーガラスを利用、180度近い眺望の角住戸も人気です」。
竣工前、紅葉の時期に内覧を行ったところ、木々の美しさから下層階を選ぶ人が多数いたそうで、立地によってはこうしたフレキシブルな価格設定もありというわけである。
■隣接するホテルその他との提携で他にないサービス
次に京王プラザホテルと提携してのサービスだが、これも非常に充実している。たとえばホテル内にあるトヨタレンタリース新札幌は入居者限定で簡易カーシェアサービスを提供、会員登録、月会費不要で気軽に車が利用できる。レンタカー利用の場合にはマンションの車寄せまで車を届けてくれるサービスがあり、エントランスで契約と返却ができる。

ホテルからのオードブルのデリバリーはもちろん、朝食ブッフェを宿泊者並みの料金で利用でき、フィットネスクラブの利用も割引が利くなどのサービスもある。さらに近隣のワインショップ・エノテカや札幌丸井三越でも各種優待が受けられるという(*それぞれの利用には詳細な条件がある)。
「現在、ご契約を頂いている方のうちの約7割は道内の方ですが、それ以外に、よくビジネスや旅行で北海道に来るのでホテル代わりにと借りる方がいらっしゃり、そうした、ある意味セカンドハウス利用の方には車を持たなくて済む、朝食の準備不要とレンタカー、朝食ブッフェのサービスが特に好評です」。
ホテルとの提携となるとある程度の規模がなければ難しいが、近隣の店舗との提携は考えてみても良いサービス、差別化ではなかろうか。
■防災対策、24時間コンシェルジュと選ばれるポイント多数
もちろん、それ以外にも選ばれる理由は多々ある。たとえば防災対策。
「第一に建物が制振構造になっています。第二に非常用発電機が備えられており、不測の事態が起きても非常用エレベーター、給水ポンプ等は約48時間は稼働させられるようになっています。加えて防災備品、給水対策などが様々な策を講じられており、それが評価されています。企業のBCPの観点から、札幌に転勤で来ている役員クラスの方々が借りていらっしゃるのです。中心部にあり、会社まで歩いても行ける立地である点も大事な点です」。

24時間365日常駐しているコンシェルジュサービスも好評だ。レセプションサービスはもちろんだが、冷凍・冷蔵も含んだ宅配便の一時預かり、タクシー手配、クリーニング取次等のラ・トゥールシリーズならではのサービスが受けられる。
細かいところでは各階にゴミ置き場があり、普通なら有料のゴミ袋を利用しなければ廃棄できない燃えるゴミ、燃えないゴミが共に、無料で捨てられる点など、生活の利便性への配慮もある。
「そうした利便性の高さが全体としての評価に繋がっています。入居者像としては子どもが独立した後のご夫婦2人暮らしで、住まいに広さは不要、除雪などの面倒がなく、便利で歩いてなんでも揃う場所に住み替えたいという人が中心でしょうか。年齢的には比較的上の人が多くなっており、そうした方々にはすぐ目の前に総合病院がある点も安心と伺いました」。
2019年4月の時点で契約は全体の4割強。入居開始から約1カ月でこの数字は高級賃貸マンションの立ち上がりとしてはかなり好調と言える。本格稼働はまだ先になるだろうが、これが札幌の賃貸市場にどう影響を与えるか。動向が楽しみである。
健美家編集部(協力:中川寛子)