新宿区中井。妙正寺川が流れ、かつては日本でも有数の染物の産地だったまちである。
江戸時代には千代田区に紺屋町などの地名が残されていることからも分かるように、神田、浅草が染物のまちだったが、明治以降はそれが水量の豊富な神田川、妙正寺川沿いに移転。戦後間もない頃までの東京、わけても新宿エリアは京都、金沢と並び、三大産地を称されたほど。昭和30年代までは川のあちこちで染物の水洗いをする姿が日常的だったという。

そうした歴史を梃に町興しをと中井では2008年から妙正寺川を舞台に「染の小道」なるイベントが行われ、年々多くの人を集めるようになっている。その妙正寺川沿いにひときわ目立つ、新宿区とは思えないような一画がある。染の町家と名付けられた2階建て、連棟の賃貸住宅である。
オーナーは同じ中井の、少し離れたところに住んでおり、自宅敷地内に国の登録有形文化財となっているアトリエや武蔵野を思わせる庭があるという趣味人。それもあってか、染の町家はある意味、採算とは少し離れたこだわりのある物件だ。

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