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ランキングでは分からない、浮かぶまち、沈むまちの境界。「東京は郊外から消えていく!」の三浦展氏に聞くA

不動産投資全般/専門家インタビュー ニュース

社会デザイン研究者の三浦展氏へのインタビュー2回目はまちについて。今後、少子化、高齢化の進展に連れ、人の数が減るのは当然だが、減り方には違いが出てくる。あるいは施策その他によっては人が増える、現状を維持し続けるまちも出てきよう。そのあたりの差をどう見るか。伺っていこう。

■家族構成、ライフスタイルで選ばれるまちに差

現在、住みたい郊外のまちに関する調査を行っているという三浦氏。今後、書籍にまとめる予定とのことで詳細は教えていただけなかったのだが、驚くべき結果が出ているという。

消費、社会、家族や地域、都市と郊外など幅広いジャンルの調査、執筆で知られる三浦展氏。著書に80万部のベストセラーとなった『下流社会』のほか、不動産・住宅関連では『東京は郊外から消えていく!』『東京郊外の生存競争が始まった!』『人生を変えたいなら、住む街を変えよう あなたにいちばん似合う街』など。消費社会と価値観の変遷を論じた『第四の消費』は中国でベストセラーとなっている。
消費、社会、家族や地域、都市と郊外など幅広いジャンルの調査、執筆で知られる三浦展氏。著書に80万部のベストセラーとなった『下流社会』のほか、不動産・住宅関連では『東京は郊外から消えていく!』『東京郊外の生存競争が始まった!』『人生を変えたいなら、住む街を変えよう あなたにいちばん似合う街』など。消費社会と価値観の変遷を論じた『第四の消費』は中国でベストセラーとなっている。

「たとえば埼玉で一位となったのは浦和区や大宮区ではなく、埼京線の沿線の区です。それ以外の地域でも意外な結果が出ています。カルチャースタディーズ研究所では2016年に「住みたい街調査」、19年に「住みたい郊外調査」(未発表)を行いましたが、東洋経済などが出している『住みよさランキング』で上位に来る千葉県の印西市、神奈川県の海老名市などは、それら街の周辺住民にたしかな人気があります。詳しい分析はこれからですが地元に住む専業主婦などの女性がそれらの街を支持しているようです」。

だが、三浦氏が現在お住いの西荻窪は働いている女性に人気が高いまちである。女性誌で特集が組まれたり、まちにある飲食店がしばしば取り上げられていることもある。だが、住みたいまちランキングなどで上位に上がってくることはない。ランキングは住んでいる人などの数に左右されるためだ。

「西荻が好きな女性のタイプは、高学歴で1人暮らしの女性です。だが人口全体の中でそういう女性は数としては少ない。そのため、その人たちが評価しても全体のランキングにまでは反映されないのです。これは他のまちでも言えること。たとえば、東急田園都市線のたまプラーザは女性に人気が高いですが、働く女性、特に子どもがいる働く女性で見ると順位が下がる。全体ランキングを見ても仕方がなくて、どんな人がどんな街を好むのか、属性別の細かな分析が必要です。

複数路線が利用でき、数多くの商業施設が集積する横浜駅周辺。利便性で考えたら選ばない手はない
複数路線が利用でき、数多くの商業施設が集積する横浜駅周辺。利便性で考えたら選ばない手はない

では、逆にその彼女たちに選ばれているのはどこか。横浜でいえば横浜駅のある、中心部西区だという。「横浜市西区以外では、さいたま市、千葉市など郊外の中でも中心部が好まれます。職住近接志向です。」

■歩いて女性が動いているまちをチェック

そして、面白いことにそうして仕事、子育てに忙しいはずの彼女たちは地域に関わろうとする人達でもあるという。「小田急線に玉川学園前という坂、階段の多いまちがありますが、そこで知り合った女性たちは仕事、子育ての上に地域にも関わっており、非常にパワフル。こういう人達がまちを面白くするのだろうと思っています」。

坂の多いまち、玉川学園。通りから見ているだけでは分からないが、頑張っている女性たちが増えているという
坂の多いまち、玉川学園。通りから見ているだけでは分からないが、頑張っている女性たちが増えているという

だとすると、女性たちに好まれる、彼女たちが地元で活動しているまちに将来があるとも言えるわけで、投資先としては有望だが、どう見抜けば良いか。そもそも、ランキングに上がって来ないまちである。探しようがないではないかと思うが、そんなことはないと三浦氏。

「車で移動する、通勤で往復するだけでは、まちの新しい動き、姿は見えてきません。地主も地元の商工会議所の人たちも、地域を活性化したいと言いつつ、ほとんどまちを歩いて見ていない。もっとまちを歩き、何が起きているのかを自分の目で見るべきですね」。

多くのまちを歩き、比較することで動いているまち、動いていないまちが見えてくるというのである。労を惜しんで車で移動を主としているようでは見えてこないのである。

■首長力もまちの将来を左右する

まちの将来の成長を占う指標のひとつが首長だ。国政と違い、地方自治体では首長が変わることで施策はもちろん、まちの雰囲気もがらりと変わる。子育て世帯、働く女性フレンドリーな施策、新たな取組みをしている自治体であれば短期間で人口構成が変わることなどもあるのだ。

2018年秋に見かけた流山市の広告。自治体が広告を出す自体、まだ一般的ではないことから非常に目立つ存在
2018年秋に見かけた流山市の広告。自治体が広告を出す自体、まだ一般的ではないことから非常に目立つ存在

分かりやすい例は千葉県の流山市だろう。つくばエクスプレス沿線はどこも人口が増えているが、そのうちでも子どものいる世帯の増加率はトップ。これは早い時期に対外的に流山市の良さを伝える広報担当を外部から招聘、「母になるなら流山」など印象的なPRを行ってきたためだ。もちろん、そのための施策も打ってきたし、子育てだけでは難しいとみるや、女性の創業、起業支援なども行って住む人の満足度を上げる取組みを続けてきた。

「市長力、首長力とでもいうような力があると思います。流山もそうですし、23区なら砧公園の中に保育園を作るなど世田谷区も新しい取り組みをしていますね。足立区も女性区長が街をきれいに、安全に変えていって、北千住などはこの5年でものすごく変わった。

LGBTなど多様性、寛容性をいう観点から新しい取組みをしているという意味では渋谷区も面白いでしょう」。

ただ、残念なのは本来、こうした変化が欲しいのは郊外。まちの個性が差別化に繋がるからだが、今のところ、流山市以外でそうした独自性のあるまちはあまり見いだせていないという。

「郊外再生はまだ議論が始まったばかり。私の本で言えば2012年の『東京は郊外から消えていく!』からで、この本は首長さんたちがけっこう読んでいる。私も、さいたま市、川崎市、所沢市、狭山市、春日部市、東村山市、大宮区などなど、多くの自治体に講演で呼ばれました。

しかし今のところ、郊外で人口が増えているのは大規模マンションができたところです。中古戸建てをリノベーションするのでは大きく人口は増えませんから、どうしてもタワマンなど頼らざるを得ない。新築タワマンに引っ越してきても子どもが大きくなったら、やっぱり戸建てが良い、せっかく郊外なんだし、という人は増えるはずで、そういう人たちに中古戸建てリノベで住んでもらい、地域のなかで住宅を循環する仕組みをつくっていくことも今後は求められるでしょう」。

■首都圏でも県を跨いだ移動が減っている

ひとつ、面白いのは首都圏でも県を跨いだ移動が減っているという点。ご存じのように関西では京都の人間は京都以外に移動しようとしないなど、府県を跨いだ移動をしたがらない傾向がある。地域によって文化が異なることが要因だが、首都圏では都県の違いがそれほど大きな違いと認識されていないこともあり、移動にさほどこだわりがないと見られてきた。ところが、それが変化しているというのだ。

「神奈川県出身の人は埼玉県に引っ越しませんし、その逆もない。元々住んでいた地元を離れたがらない人が増えており、ブロック化が進んでいると言えます」。

最近、若者が海外に行きたがらない、地方から東京に行きたがらないという声を聞くが、首都圏という限られた地域の中でも移動が少なくなっているということか。かつては成功した証、ステイタスとしての住宅地があったが、それが薄れてきているともいえる。

だとすると、その人たちを移動させるためにはそれなりの努力、情報発信が必要ということになってくる。次回は不動産所有者、投資家にとっても重要な情報発信と都市の関係などについて聞いていく。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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