• 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集
  • 収益物件 売却査定

6,027アクセス

価格の値崩れは起こらない?不動産市況、新型コロナでどうなる?影響どこまで残るかがカギ

不動産投資全般/専門家インタビュー ニュース

2020/06/17 配信

市況に強い下押し圧力 ホテル苦しく物流施設好調
ワクチン開発、海外経済の復活などが今後を左右

日本経済に大きな打撃を与えた新型コロナウイルスも日々の新たな感染者数が減り、状況は少しずつ、改善しつつある。不動産投資家が気になるのは、今後の不動産市況に対する影響だ。

一般財団法人「日本不動産研究所」(東京都港区)の吉野薫・不動産エコノミストは、「新型コロナの影響が一時的ですむのか、長く残るかが、今後の焦点になる」と指摘する。

default

「不動産市況に強い下押し圧力がかかっているのは事実だ」。吉野氏はこう分析する。
「基本的には、需要が失われていることが要因だ。ただ、不動産の種類によって濃淡がある。たとえば、(インバウンドの激減などで)ホテルや商業施設は苦しんでいるが、物流施設は、通販需要を追い風に受け好調だ」

そして、新型コロナの影響が一時的ですむか、長期化するかについて、2つのポイントに注目すべきだという。一つは「新型コロナそのものが早く収束するのか、いつ、有効なワクチンができるのかなどだ」。

そしてもう一つは、「経済や社会が、コロナがなかったときの状態に、どのくらいのペースで戻れるか。そのペースを左右するのは、海外経済がどれくらい早く立ち直るかにかかっている」という。

投資家にとって関心があるのは、今後、物件の価格がどうなるかだ。物件の購入価格や売却価格が高いか低いかは、投資戦略のありかたに大きくかかわってくる。

吉野氏は不動産価格の現状ついて、「新築マンションや中古マンションは明確には下がっていない」とする。一方で、「不動産投資信託(REIT)は、3月に一気に下落し、今も2019年の水準より下にある。金融市場が評価する不動産価格は、低めであるといえる」という。

では、今後の価格はどうなるのか。吉野氏は、「2つの力学があって悩ましい」とする。

マンションなどの価格の動向も注目される
マンションなどの価格の動向も注目される

一つ目の力学は、「新築マンションに代表されるが、デベロッパーの寡占が進み、景気が悪くなっても、大幅に減額してまで売り急がなくてもいい」という状況であることだ。この点を考えると、「物件の売れ行きが悪くなっても、ただちに価格の下落にはつながらないのではないか」という。

一方、二つ目の力学は、ここ数年の景気回復を背景とした、雇用や所得の環境改善が、止まる可能性があることだ。雇用や所得の環境改善は、家計が使える住宅取得の予算を増やし、新築マンションや中古マンションの価格を上昇させてきた。

「妻の就業機会が増え、共働きできる環境などが広がってきたが、コロナによる景気悪化で、妻のパート先が見つからなかったり、派遣で登録されても行き先がなくなったりする恐れがある。そうなれば、住宅の取得予算は伸びなくなる。『実需が高い価格で買い支える』というストーリーは違う展開にならざるをえないだろう」

実際、景気ウオッチャー調査など政府の統計でも雇用に対する見方は厳しくなっており、吉野氏は「価格の下押し要因になってくるだろう」とする。

分析を踏まえると、物件価格の上昇は鈍化する可能性があるが、明確に値下がりするという可能性は高くないといえそうだ。今後も価格の動向を注視したい。

コロナを機に住宅の商品設計変わる?
東京五輪の延期は不動産市況に影響与えず

また、吉野氏は、今回をきっかけに、「物件の商品設計の在り方が変わるかもしれない」とみる。

新型コロナでテレワーク(在宅勤務)が広がるなどし、「『近くて狭い』一辺倒ではない住み方もあることを、多くの人が気づいた。とくに、これから住宅市場に入ってくる層は、いろいろなバラエティーの中から住宅を探し求めるようになるのではないか」とする。住宅業界側も「人それぞれのライフスタイルに刺さる商品を提供する方向へ、商品設計の在り方を見直すようになるのでは」としている。

一方、新型コロナの影響で2020年に予定されていた東京五輪が1年延期されたり、26年度末までと予定されている大阪の統合型リゾート施設(IR)開業の延期が取りざたされたりするようになった。不動産市況へは影響があるのだろうか。

東京五輪については、吉野氏は「延期そのものが、不動産市況に意味ある影響を与えるとは思わない」とする。

「東京五輪で不動産市況に好影響が出たのは、東京五輪が来ることで国内のマインドが変わったからでない。『五輪を契機にインフラ整備や再開発が進み、都市機能が維持・更新されていく』というシナリオが、地価や不動産価格の押し上げに寄与したからだ」という。五輪が延期されても開発プロジェクトそのものはなくなるわけでなく、「不動産市況に影響が出るとは考えにくい」とする。

これに対し大阪に関しては、「IRが経済の起爆剤になることが期待できるが、影響ははかりかねる」とする。とくに、IRや2025年の大阪・関西万博が行われる夢洲(ゆめしま)が、梅田など大阪の中心部から遠い。「旧来の大阪の都市集積と相乗効果の見込める都市開発になるのか、今の段階ではわからない」からだという。

景気がもっとも苦しいのは4〜6月期
国内旅行回復に1年、インバウンドはさらに1年?

日本経済は、中長期的に、どうなっていくのだろうか。
吉野氏は、「景気の面では今年4〜6月期が一番、苦しい。ただ、7〜9月期以降は回復に転じるだろう」とする。

実質国内総生産(GDP)は、1〜3月期が年率換算で前期比2.2%減と2四半期連続のマイナスとなり、4〜6月期も20%以上のマイナスが予想されている。

スクリーンショット 2020-06-15 5.56.05

「1〜6月の経済や景気のへこみを、どのくらいの時間をかけて取り戻せるかだ。V字回復は望めないが、1、2年の時間はかかるだろう」

具体的には、「国内の旅行は1年くらいで戻るかもしれないが、インバウンドが戻るには、さらに1年かかるだろう。日本の輸出産業が回復するには、2年はかかるのではないか」とする。

不動産市況については、「2008年のリーマン・ショックのように金融システムが傷んでいないので、投資家が売り急がなければならない事態には、大枠ではなっていない。新型コロナに絡む問題が除かれ、需要が戻れば、不動産市況も戻るシナリオは期待できる」とする。

不動産経営の道筋を見失わないためにも、経済や市況の動向を、しっかり見ていきたい。

取材・文 小田切隆

【プロフィール】 経済ジャーナリスト。長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。ニュースサイト「マネー現代」(講談社)、経済誌「月刊経理ウーマン」(研修出版)「近代セールス」(近代セールス社)などで記事を執筆・連載。

不動産投資ニュースのライターさんを募集します。詳しくはこちら


ニュースリリースについて

編集部宛てのニュースリリースは、以下のメールアドレスで受け付けています。
press@kenbiya.com
※ 送付いただいたニュースリリースに関しては、取材や掲載を保証するものではございません。あらかじめご了承ください。

最新の不動産投資ニュース

ページの
トップへ