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単身需要に異変、「ワンルーム入居者が決まらない」。所得格差のはざまに落ち込んだ可能性も

不動産投資全般/市況 ニュース

2021/10/26 配信

個人投資家イメージ

地価の値段が高いままになって東京都内での賃貸住宅の開発が難しくなっている。建設資材も値上がりしている。過去にも用地の仕入れが厳しくなり、ワンルーム供給事業者が東京23区から外に、郊外へと新築ワンルーム供給をシフトする動きがあった。

高い用地を仕入れると利回りが確保できないことから横浜市、川崎市、さいたま市、千葉県市川市、千葉県松戸市などに利回りを求めていく動きが見られた。

その傾向が顕著だったのが2018年までで、その後は東京23区に戻ってきたと言われている。その背景として高い利回りよりも高い家賃が徴収できるエリアで手元のキャッシュフローを重視するようになったことが主な理由として挙げられる。

一時期、大手の不動産会社が単身者用のマンションにブランドを付けて供給に力を入れていたが最近は再び専業者が盛り返しているようだ。利回りにこだわらなくても都内のワンルームを購入する投資家がいるということが確信できたことで戻っている。

都心人気エリアも入居者確保に苦戦

都内のワンルーム会社関係者は、「手元資金が豊富な投資家さんは、都心や東京23区で物件価格が高くても購入します。郊外よりも家賃が高く取れることを重視しているからです」。また、別のワンルーム会社は、「都内の物件は金融機関が資産性を高く評価してくれる。グレートに重きを置いて資産維持を重視する『インカム+キャピタルゲイン』を考える人もいます」などを新規供給を都市部に求める理由としている。

しかし、そのワンルーム市場に新型コロナウイルス感染拡大で異変が起きている。個人投資家の池田敬之さん(仮名)は、東京・麻布の都心人気エリアに中古のワンルームを購入したものの、「入居募集をかけても入居希望者が現れない」とこぼす。

この傾向は一部のエリアに限った話ではないようだ。東京23区と都内周辺の神奈川県、埼玉県、千葉県などで同じような現象が見られる。

いくつかの賃貸管理会社や仲介店舗に聞いてみると、「独身者用のワンルームマンションへの入居申し込みに人気がない。なかなか決まらず大家が頭を抱えている」と教えてくれた。だからと言って家賃の水準が崩れているわけでない。

別の仲介店は「家賃を少し下げてくれないか?」と入居希望者から打診されることもあったというが、大家としては家賃を一度下げてしまうとそれが固定化されかねないという懸念を持っているため、なかなか応じない。これが空室が埋まらない状況に拍車をかけている可能性があるという。

家賃を下げないで魅力を出す工夫をしないと収益力のない状況が続くことになる。以前にも紹介したが金沢市内の苗加不動産は、礼金・敷金・仲介料・退去修繕費が〝全部タダ〟というサービスを開発して入居者にアピールしている。

初期費用などを当初2年間の家賃に分散して上乗せしている仕組みであるが、更新料がなく更新後から初期費用の上乗せ分がなくなるためその分の家賃が下がるといったものだ。なんらかの魅力をワンルーム業界に求められている。

健美家用

独身者用の住戸が市場にダブつき

ワンルームのリーシング苦戦は、コロナの影響で学生がオンライン授業になって実家に戻ったり、コロナの影響を大きく受けた飲食・サービス業に従事する人の家賃負担能力が低下したことが影響として考えられる。とはいえ、コロナ禍であっても企業の存続率は高い。持続支援の給付金など政府の政策によるところが大きい。企業業績も一様に悪化しているわけではない。

東京商工リサーチの発表を見ると、2021年度4~9月の半年間の倒産件数は2937件となっており、2年連続で前年同期を下回っている。この3000件を下回るというのは55年ぶりという。1972年度以降の半世紀で最少だった1990年同期の3070件を下回って最小記録を更新している。

東京都内の不動産仲介店舗からは、「学生は少しずつ対面授業に切り替わっているので今後の動きに期待したいが、家賃の支払いに窮する40代、50代の中高年の単身者がグレードを下げて4万~5万円の安い家賃を求めて格下のアパートに移る動きもある。

しかし、企業の倒産件数が低いことなどを考えれば、ワンルーム住戸の入居が苦戦しているのは、独身者用の住戸がマーケットにだぶついていることが一番の原因ではないかと思う。需給バランスが崩れているのだ」と語る。

コロナで広い間取り志向、離れた人心をつかめ

需要に対してそれを大幅に上回る供給が入居者が決まらない主な要因だとすれば、その背景を察すると、コロナで家賃負担能力が落ちた人が家賃の安いアパートに移り住み、逆に賃貸負担能力が落ちていない、もしくは上がっている人はコロナ禍に対応できるようテレワークがしやすい広い間取りに移り住む、という所得の格差拡大のはざまにワンルームが落ち込んでいる可能性がある。

実際のところ、賃貸業界関係者からは、

「1LDK~2DK以上の賃貸住宅を探している人が多い。募集後の入居者もすぐに決まる」

といった反応が聞かれる。入居者がすぐに決まっていることを考えると、ワンルームという限られたスペースの中で1LDK以上のスペックにいかに近づけるかが入居者を呼び込むのカギとなりそうだ。狭いながらも執務室に近いスペースを確保したり、室内に空気洗浄機を設置する、玄関口を抗菌仕様にするなど在宅勤務を想定した対応策の導入の有無が入居に影響しそうだ。

健美家編集部 (協力:若松信利)

プロフィール:大学卒業後に広告制作会社に10年ほど勤務した後に退職。現在は都内のIT会社に勤める40代サラリーマン。学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を執筆。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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