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政府がテレワーク目標取り下げで「出勤7割削減」を撤廃!再び出社に便利な「鉄道沿線」「駅近」有利か?

不動産投資全般/市況 ニュース

2021/12/21 配信

テレワーク2

コロナの落ち着きで政府がテレワーク目標を取り下げ
経団連もワクチン普及で撤廃要望していた

オミクロン株の脅威が不透明ではあるものの、足元では新型コロナウイルスの感染が落ち着いていることを受け、企業のテレワークに対する姿勢が後退しそうだ。政府は11月、企業に一律で求めていた「出勤者数の7割削減目標」を撤廃。

これまでテレワークに対して「仕事の能率が下がる」といった不満が企業から出ていたため、削減目標がなくなれば、出社しての仕事が再び多くなる可能性が高い。

となれば、賃貸物件はやはり出社に便利なもののニーズが高くなるとみられ、「鉄道沿線」「駅近」などの条件がまた重要になりそうだ。

政府が企業に求めていた「7割削減目標」をなくしたのは、11月19日に新型コロナウイルス感染症対策本部が改定した、感染対策の指針「基本的対処方針」だ。

それまでの基本的対処方針では「職場への出勤について、人の流れを抑制する観点から、在宅勤務(テレワーク)の活用や休暇取得の促進等により、出勤者数の7割削減を目指すこと」としていた。

これを、「職場への出勤について、人の流れを抑制する観点から、出勤者数の削減の目標を定め、在宅勤務(テレワーク)の活用や休暇取得の促進等の取組を推進すること」へと改めた。

企業がそれぞれ削減目標を作ることは求めたものの、政府から目標を押しつけることはやめた形だ。

政府がこうした決定を行ったのは、経済界から「目標撤廃要望」もあったからだ。

経団連は、政府の決定に先立つ11月に発表していた「感染症対策と両立する社会経済活動の継続に向けてー新型コロナウイルス感染症対策に関する新内閣への提言ー」で次のように訴えていた。

これまで人流抑制や接触削減の観点から、テレワーク等による出勤者数の削減が求められてきたが、今後は、「出勤者数の削減」目標について、科学的な知見を踏まえ、見直すべきである。同様に、旅行、飲食、イベント等の各種制限についても、実証実験等を通じて得られた科学的根拠に基づいて適切に対応すべきである。

その理由については、ワクチン接種が進み、重症者が以前のように増えないことが想定されるためとしている。

テレワーク実施率は全国3割、地方2割にとどまる
「社内での相談困難」「コミュ不足のストレス」がデメリット

経団連がわざわざこのような要望をした背景には、「仕事の能率を考えると、結局のところ、テレワークを働き方の主流にすることはできない」との意識が企業の間にあるからだ。

内閣府が11月1日に発表した、約6000人の回答を得たインターネット調査「第4回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によると、9~10月のテレワーク実施率は、東京23区こそ55.2%と高めであるものの、全国では32.2%、地方圏では23.9%にとどまった。いずれも政府が求めていた「出勤削減率=テレワーク率」7割には遠く及ばない。

内閣府の調査から
内閣府の調査から


同じ調査
によると、テレワークのデメリットとして挙げられた理由で最も多かったのは「社内での気軽な相談・報告が困難」で36.1%。

2位が「画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス」で30.3%、3位が「取引先等とのやりとりが困難」で25.6%だった。

内閣府の調査から
内閣府の調査から

9月いっぱいで緊急事態宣言が解除されたが、大企業はテレワーク目標を維持している。報道によると、たとえばパナソニックは東京、大阪の拠点を基本としており、ダスキンは社員の出社率を5割としているという。

だが、日本の企業の9割以上を占める中小企業は「テレワークのためのIT投資にかけるお金がない」「ノウハウがない」といった理由から、後ろ向きであるところが多い。

テレワーク進まなければ「通勤の便」が再び重要に
物件のIT、通信環境整備は引き続き求められる

そして今回、政府が出社削減の目標を一律で求めないことを決めた。少なくともこれ以上、テレワークが大幅に進まない可能性がある。

では、テレワークが大幅に進まなければ、賃貸市場にどんな影響が出てくるのだろうか。

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ある報道関係企業の関係者によると、この企業ではコロナの感染状況が落ち着いた後、内勤の社員は週3日程度のテレワークが週1日程度に減った。あとは出社して仕事をこなしているという。

取材記者は基本的に会社に来ない状況が続いている。しかし、記者クラブに顔を出したり、対面でも開催されるようになった記者会見に出たりするため、都心部に出かける頻度が増えた。

つまり、一定のテレワークがありつつもその回数は減り、通勤の回数が増えてきたということだ。これを考えると、「通勤が不要になったから、勤め先から遠い郊外に引っ越す」という動きが加速することはなさそうだ。

やはり通勤の便のいい鉄道沿線であるとか、駅近であるとかが、入居者募集では有利な条件になるだろう。もっとも、一定のテレワーク需要はあるわけだから、ITや通信の環境を整えることは重要だ。

変化を読みづらい時代だが、しっかり先を予測しながら、うまく賃貸経営を行っていきたい。

取材・文:小田切隆(おだぎりたかし)

■ 主な経歴

経済ジャーナリスト。
長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。

■ 主な執筆・連載

  • 「経済界」(株式会社経済界)
    「月刊経理ウーマン」(研修出版)
    「近代セールス」(近代セールス社)
    ニュースサイト「マネー現代」(講談社)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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