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米金利1%上昇で日本のREITは2%以上下落!日銀試算が促す不動産投資家の注意

不動産投資全般/市況 ニュース

2022/04/29 配信

日本銀行は、米国の金利が上がれば日本のリートなどの価格が落ちるとの試算を発表した
日本銀行は、米国の金利が上がれば日本のリートなどの価格が落ちるとの試算を発表した

米金利上昇で日本の不動産ファンドから外国資金が流出
日本の下落率は米国の1%台、欧州の0%台より大きい

米国の金利が1%上昇すれば、不動産投資信託(REIT=リート)など日本の不動産ファンドの価格が2%以上下落するー。日本銀行がこのたび、こんな試算を発表した。

金利が上昇すれば、リートなどに投資している多くの海外投資家が資金を引き上げてしまうからだという。インフレ退治を目的に米国では金利が上がり続けている。実際の不動産でなくリートなどに投資している不動産投資家も多いと思うが、金利と価格の動向に目を光らせ、売り時と買い時に注意していこう。

試算を打ち出したのは、日本銀行が半期に一度まとめている報告書「金融システムレポート」だ。4月21日に公表された。

レポートでは、米10年物国債金利が1%上がれば、日本の不動産ファンドの価格が2%台半ば、下落するとの試算を出した。より金利が高く、より有利な米国での資産運用へと資金が流出するからだと思われる。

これは、1%台の下落が見込まれる米国や英国、0%台の下落が見込まれる欧州(英国を除く)を上回る水準だ。

日本銀行の金融システムレポートから
日本銀行の金融システムレポートから

レポートは次のように分析している。

「わが国の商用不動産市場では、海外投資家の取得シェアが趨勢的に増加しており、ここ数年は、ほぼ安定して2割程度を占めている」

「商業用不動産市場で高いプレゼンスを占めるJーREITなどの国内の不動産についても、そのエクイティ部分に米欧を中心とする海外投資ファンドの資金が流入しており、JーREITの時価総額の2割弱の保有シェアをしめるようになっている」

外国勢は海外の情勢みながらポートフォリオ構築
日本への投資資金の流出入はグローバルな動きと連動

こうした投資ファンドを含む海外投資家は、「わが国の金融経済環境だけでなく、米国など、わが国以外の投資先の金融経済環境も考慮しながらポートフォリオを構築して投資を行うと考えられる」。

その上で、「グローバルな金融 経済環境の変化が、海外からの投資フローの変化を通じて、わが国の不動産市場に影響を与える可能性がある」とした。

実際、これまでの世界的な経済事象をみてみると、2008年のリーマン・ショック前の日本の不動産ファンドへの資金流入、ショック後の資金流出といった動きは、世界的な資金の動きの間には、共通点があるという。

日銀の試算は、こうした分析を踏まえて行われた。

もちろん、実際に米国の金利が上がったからといって、確実にこの数字だけ下落するというわけではない。価格が下がるリートもあれば、下がらないリートもあるだろう。

ただ、米国の金利の上昇の影響が、少なからず日本のリートなどにも及ぶと知っておくことは損ではないはずだ。

米国でインフレ進む 2月は7.9%上昇、40年ぶり水準
FRBは利上げを開始 年末までに複数回おこなう予定

ここで、改めてなぜ米国の金利が上がっているのかおさらいしておこう。

理由は、米国で物価が継続的に上昇するインフレが止まらず、米連邦準備制度理事会(FRB)が、景気を冷やすため金融引き締め=利上げを始めたからだ。

米国では2月、消費者物価指数(CPI)が前年同月比7.9%増と、1982年1月以来約40年ぶりの上昇率を記録した。

インフレの背景にあるのは、新型コロナウイルス禍からの経済活動の回復が進み、資源価格や原材料価格が上がっていること、ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格が上昇していることなどだ。

ロシアによるウクライナ侵攻も、米国のインフレ、さらには金利上昇の原因となっている
ロシアによるウクライナ侵攻も、米国のインフレ、さらには金利上昇の原因となっている。写真はモスクワ

物価の上昇に賃金の上昇が追い付かなければ、個人消費には打撃となる。また、原材料価格の上昇を企業がモノの値段に転嫁できなければ、経営に悪影響を及ぼす。

そこで需要を冷やし物価を安定させようと、FRBは3月16日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の引き上げを開始した。年末まで複数回、連続して行う予定だ。

これを受けて、足元では米国の長期金利は3%近くの高い水準まで上昇。日銀が大規模な金融緩和を続けているため金利が低いままの日本との金利差は広がり、1ドル=130円近い円安ドル高水準の原因ともなっている。

今後もFRBは利上げを続くので、それを見越して米国に長期金利の上昇が続くことは間違いない。

果たして日銀の試算通り、それにつられてリートなどの価格に下落圧力がかかるのか。不動産投資家は最大限、注意を払っていきたい。

取材・文:小田切隆(おだぎりたかし)

■ 主な経歴

経済ジャーナリスト。
長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。

■ 主な執筆・連載

ニュースサイト「マネー現代」(講談社)
経済誌「月刊経理ウーマン」(研修出版)
「近代セールス」(近代セールス社)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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