さて、これから不動産投資を始めようと考えている次代のサラリーマン大家さん。ワンルームで区分所有する、アパート、戸建て住宅を所有するなど様々な物件を物色していることと思う。ただ、みんなが感じているのは物件価格が高いと感じていることだろう。
健美家が11月24日に公表した「不動産投資に関する意識調査(第18回)」によると、現在の投資用不動産の価格について、1年前に比べて「価格が上昇した」という回答が81.4%にまで達している。
同調査でも戸建て賃貸、一棟アパート、区分所有マンションの3つのタイプが人気の収益物件だ。それぞれの比率は4割、3割、2割となっている。
ただ、サラリーマン大家になるハードルは上がっている。物件価格は上がっているが、自分の給料など所得が上がっていない。そんな状況を調べている調査がある。
不動産調査の東京カンテイは、新築と中古のマンションで、それぞれ販売価格に対して年収の何倍になっているかを調べているものだ。
東京の物件は新築・中古も年収10倍を優に上回る
このほど2021年の状況をまとめているが、それによると、新築は全国平均で8.93倍となり、前年から0.52拡大した。首都圏は11.29倍、東京都は14.69倍である。中古も前年から0.62拡大して6.54倍となっており、首都圏は8.94倍、東京都が13.35倍である。
新築では、愛知県、青森県、鹿児島県で年収倍率が10倍の大台に乗っている。デベロッパーが開発・販売した高額な準タワーマンションが影響して倍率が引き上がったとみられる。東京都に次いで倍率が高かったのは沖縄県の12.15倍だった。
中古マンションの全国平均6.54倍は、東京カンテイが2008年にこの集計を始めて以来、初の6倍台に達している。年収倍率の拡大地域は、物件の価格上昇を背景に37?39に増加した。
東京都が最高倍率だが、京都府や沖縄県に加えてコロナ禍で高まった地方ニーズを受けて長野県では9.82倍と10倍に迫る水準になっている。
九州・沖縄エリアで年収増加を示している
東京都の平均年収は570万円と全国で最も高い。東京以外で都道県別に見れば、年収500万円に到達しているのは、北海道の534万円、茨城県の500万円、千葉県の503万円、神奈川県の553万円、福井県の514万円、愛知県の521万円、兵庫県の560万円、広島県の506万円である。あとは年収400万円台、300万円台。
その中で全国津々浦々、年収が前年から上がっているのは19府県ある。福島県、茨城県、神奈川県、新潟県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、兵庫県、島根県、徳島県、香川県、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県、宮崎県、沖縄県である。
特に九州・沖縄エリアは、長崎県と鹿児島県を除き、年収が上がり基調にあるのが特徴的だ。福岡での官主導の大規模再開発や台湾の半導体メーカーが熊本に進出、大分県では従来の温泉観光に頼る街づくりからの脱却、沖縄県は富裕層などのリゾート需要が活発だ。さまざまな投資資金の流入が窺える。
不動産投資、今は我慢との時か
このように年収倍率からは各都道府県の現状を垣間見ることができる。不動産会社も単に地方に新規供給しているのではなく地元経済の活発性などを踏まえている。
年収倍率を見ると、ほとんどの一般サラリーマンは、自分が住む住まいを手に入れることがままならない状態で、大家業を諦めてしまうような水準が現状である。
おそらく都心では、中古のワンルーム価格は2000万円台〜2500万円台といったところだ。公務員や東証プライム市場に上昇している大手の企業に勤めている人でないと難しい。
地方、郊外、ボロ物件などで格安に収益不動産を購入することもできるが、長期運用を考えた際のリスクをどこまで取れるのか。アパートローンを無理に引っ張って大丈夫なのか。
サラリーマン予備軍にとって不動産投資参入のハードルが上がった中で、いの一度、自分の身の丈をしっかり把握したうえで判断し、不動産事業者のあまい将来予測に乗らないことが今最も求められている。
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健美家編集部(協力:
(わかまつのぶとし))