ネット不動産マーケットプレイス「RENOSY(リノシー)」を運営する株式会社GA technologiesが発表した、2023年注目を集めるであろう不動産業界のトレンド予測と注目エリアが興味深い。不動産投資家が知っておきたい、今年注目のトピックスや注目エリアについて紹介する。
《注目その1》2023年4月開始の制度や24年4月施行の
相続土地の申請義務化で実家活用への関心が高まるか?
まずは不動産トレンドを予測するうえで、見逃せない制度変更について理解しておきたい。1つは4月に開始される「相続土地国庫帰属制度」である。
所有者が今後不明になり得る土地を、条件を満たせば国の帰属とすることが可能になる制度である。
これまで「相続」か「相続放棄」するかのどちらかが主流であったなかに新たな選択肢が生まれる一方で制約が多く、「建物が建っている」などの理由で該当しないなどの課題が想定されている。
さらにもう1点、おさえておきたいのが、2024年4月に相続土地の申請義務化が施行されることだ。背景には、これまで議論が重ねられてきた「所有者不明土地」の課題を解決する狙いがある。
「所有者不明土地」とは、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地、または所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地のことを指す。
上記2点の影響によって、実家を相続する可能性のある現役世代などから、これまで以上に実家の土地活用への関心が高まることが考えられる。
同社では、2022年から開始しているサービス『RENOSY 土地活用の相談窓口』があるが、昨年時点ですでに「遊休地をどうすべきか悩むお客さまからの声が増加傾向にある」という。
《注目その2》NISAの恒久化・非課税期間の無期限化で
投資意欲が増すなか、投資における不動産の注目度も上がる
昨年12月に、今年度の税制改正大綱が発表され、NISAの恒久化・非課税期間の無期限化が決定し、注目が集まった。
投資先進国とも呼べるアメリカでは、株式だけでなく不動産投資を始めとする様々な手段を用い、バランスよく資産形成を行っている。2023年以降の日本においても同様の傾向が起こるのではないかと、同社では予測している。
《注目その3》賃貸では下町の人気がアップ!
2023年、賃貸で注目すべき都心エリア
賃貸住宅においては、どんなエリアに人気が高まるだろうか。スマートフォン上でお部屋探し、内見予約、入居申込から契約までが完結する、ネット不動産型賃貸サービス「OHEYAGO(オヘヤゴー)」では、2022年に問い合わせがあった物件のエリア(物件の最寄駅にて算出)をランキング化し、次のような結果となった。
トップ3は「目黒」「白金高輪」「恵比寿」と人気エリアとして名前の上がる駅名が並んでいるが、「入谷」や「三ノ輪」などいわゆる「下町」エリアもランクインしている点が興味深い。
《注目その4》令和を代表するマンションが続々。
注目が集まる高級住宅エリアも見逃せない
昨年は記録的な円安で、日本の経済力低下を伝えるニュースが多かったが、世界の都市総合力ランキングでは、東京は7年連続3位となっており、都市としての魅力はいまだ健在といえる。
そんな東京の不動産の魅力を押し上げているのが、「タワマン」や「億ション」が建ち並ぶ高級住宅エリアである。特に下記に挙げる3つのエリアでは、2023年でも大きな変化が予定されている。
まず注目は、虎ノ門・麻布台エリアである。都市開発プロジェクトが進んでおり、世界最大手の投資会社などもオフィス移転することが決まっている。
2023年3月に竣工予定の虎ノ門・麻布台プロジェクトは事務所・住宅フロア以外にもインターナショナルスクールや保育園などがあり、A街区にはあべのハルカスを越える日本一高いいビルが建設中で、最上部が「アマンレジデンス東京」であると発表されている。
勝どきエリアでは、2023年8月に約3000戸を有する「パークタワー勝どきミッド/サウス」が竣工予定となっている。
新宿エリアでは、住友不動産の高級マンションの代名詞である「ラ・トゥール」シリーズの「ラ・トゥール新宿ファースト」が2023年春に竣工予定である。
また、新宿西口の再開発計画が本格化し、小田急百貨店はオフィスや商業施設が入るビルに変わる予定であり、ますます活気づきそうである。
《注目その5》中古区分マンション投資が20~30代で人気。
リスク分散のため、首都圏以外、「福岡」の注目度アップ!
昨今では20代後半~30代前半の不動産オーナーが増加し、彼らの投資先として注目を集めるのが、中古の区分マンションである。
中古区分マンションの多くが首都圏に集中しているが、リスク分散の観点から首都圏以外のニーズが高まりつつあり、そのなかで2023年に注目が集まりそうなのが福岡だと同社では分析している。
「100年に一度の再開発と題される天神・博多エリアの再開発プロジェクトは、福岡の交通利便性を活かした街づくりとアジアの拠点都市としてのグローバル化が特徴です。
特に天神エリアの再開発は、天神ビックバンと称されるビルの建て替えが推進されており、2022年5月末時点で59棟ものビルから建築確認が申請されています。
また福岡は1世帯あたりの人員が1.97人と2人を下回り、世帯規模の縮小傾向が続いることから、今後ますますコンパクトマンションや中古の区分マンションのニーズは高まると考えられます」(株式会社GA technologies 担当者)
さらに詳しく今後の不動産業界の動向について知りたい人は、昨年12月に発売された、株式会社GA technologies 代表取締役社長執行役員 CEO樋口 龍氏の著書「不動産DX 未来の仕事図鑑」もぜひ参考にしていただきたい。
激動の不動産業界において、AI化が進み、どんな仕事が生き残り、どんな仕事が淘汰されていくのかなど、特に不動産業界に関わる人にとっては知っておきたい内容である。