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投資マンションローンに利上げ懸念が浮上するが、高年収層は支払い負担の増加は小さい

不動産投資全般/市況 ニュース

2023/01/31 配信

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日銀が昨年の12月に長期金利の上限を引き上げたことで住宅・不動産業界に衝撃が走った。日銀の金利政策では、短期金利をマイナス金利に、長期金利をイールドカープコントロール(長短金利操作)で対応している。

住宅ローンの固定金利は上昇傾向であるが、下落傾向にある変動金利も、これから利上げが本格化するのでは、日銀がポスト黒田を踏まえた地ならしを始めたのではないか、このような観測が広がった。

ただ、1月の金融政策決定会合は、現状の大規模緩和を維持することを決めた。専門家を含めて今後の緩和縮小のタイミングを計りかねているのが実情だ。

住宅ローン比較サイト「モゲチェック」を運用するMFS(東京都千代田区)によれば、モゲチェック新規借り入れサービスを利用した人を対象に希望金利を調べたところ、日銀が長期金利の利上げを決めた昨年12月20日以前に変動金利を希望する人は47.7%だが、2023年1月18日以降に変動金利を希望する人は50.9%と増加している。固定金利の希望は12月20日以前も1月18日以降も4%台にすぎない。

引き続き変動金利は低空飛行の見込み

こうした一般消費者の見方は、国や日銀は金利を正常化したいのは山々だが、国の財政状況や、個人所得が上がらない中でできないとの思いが透けて見えてくる。賃金の上昇がカギを握り、それが需要拡大につながってのインフレ経済が好循環のサイクルである。

しかし、現状のインフレはコストプッシュ型である。ロシア・ウクライナ情勢を受けて資源価格の高騰などに伴う輸入インフレによるもので、個人の所得が上がっての好循環インフレではない。むしろ可処分所得が目減りしている中でのインフレはスタグフレーション突入を意識させる。

春闘では賃上げ表明をする大手企業が増えそうだが、その賃上げに持続性があるかどうかが問われている。

光熱費や日用品、食料品が値上げラッシュで家計を圧迫していることに対する「お情け賃上げ」(MFS)では好循環な経済環境にはならない。

同社のシナリオによれば、不十分な賃上げと持続性が相まって金融緩和が当面継続され、変動金利の水準は低空飛行が続くと予想している。仮に予想が外れたとしてもマイナス金利をゼロ金利にするという異例から通常の緩和になるだけだとみている。

とはいえ、昨年末のような予期せぬ政策変更には身構えて置く必要がある。特に投資用のアパートローンは、もともと実需の住宅ローンに比べて金利が割高に設定されている。

想定外に利上げが本格化すれば、投資効率が各段と悪くなる。利回り重視の投資家にとっては低利回りでの運用を強いられることなる。

格付け会社のムーディーズ・ジャパンでは、今月24日に「日銀の長期金利上限引上げにより、一部の投資用マンションローンの金利が上昇し、リスクが高まる」と題したレポートを公表している。

日銀は現状、長期金利を 0%程度に、短期金利をマイナス0.1%に誘導する目標を続けているが、日銀の利回り上限引き上げにより長期国債の利回りが上昇し、長期プライムレートも上がっていることで投資用マンションのローン金利も一段と引き上げられると予想。実際、みずほ銀行が1月10日に長期プライムレートを引き上げたとする。

利上げに耐えられる投資家とそうでない投資家に

しかし、投資用マンションでローンを組む人の属性は年収が高い層が多い。これらのローンを束ねて投資家に販売する証券化商品について、借り手の年収は平均1020万円という。

同社の試算によれば、例えば2500万円の投資用マンションを購入する際に、全額を借り入れて35年で返済する場合について、ローンの適用金利を2.0%から2.5%に引き上げると、毎月の借り手の月収に占める損失割合はマイナス0.64%とした。

この試算の設定は次のようになっている。賃料収入等の額がローン返済等の支払い額をわずかに上回っているという想定がベースだ。

不動産の表面利回りを5%と想定。1室25㎡のマンションとし、管理費は1㎡当たり月額400円、修繕積立金は1㎡当たり月額200円とした。

管理会社への管理委託手数料は賃料の5%で設定。これにより、『ローン返済額+管理費・修繕積立金+その他(管理委託手数料など)』の毎月の支払い合計は10万9582円、毎月の賃料収入等が104,167円×12カ月となり、年収1020万円に対しての毎月の収支がマイナス5415円としている。

足元は、金利上昇リスクが高まっているものの、賃料収入でほぼ毎月の支払額をまかなえていることが分かる。投資家の年収が高いことを踏まえれば、こうした投資家層は利上げに対して必要以上に臆病になる必要がなさそうだが、投資家層の二極化は進みそうだ。

健美家編集部(協力:若松信利(わかまつのぶとし))

■ 主な経歴

学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を多数執筆。大学卒業後、不動産関係情報誌に20年以上勤務。現在は都内のIT会社に勤め、副業でいくつか投資関連の記事を担当・執筆する40代サラリーマン。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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