株式投資で「配当金をもらう生活」があるように、J-REIT(ジェイリート)投資でも「分配金(株式投資の「配当金」と同義)をもらう生活」ができる!
いま話題のFIRE(Financial Independence, Retire Early)のように、J-REIT投資でも「経済的自立をして早期リタイア」も可能だ。今回は、毎月分配金がもらえるポートフォリオの例を紹介しよう。
なお、J-REIT(ジェイリート)とは、証券市場に上場している金融商品「不動産投資信託」のこと。J-REITを購入すると、株を買うぐらいの小口資金で、大規模大家さんの仲間になれる感じだ。
そのうえ、J-REITの分配金利回りは3~6%と株式投資よりも高配当なものが多い。分配金が高い理由については、過去記事を参考にしてほしい。
J-REITは決算が年2回!
分配金も年2回もらえる!
株式会社の場合、決算が年1回なので配当は年1回か、中間配当を出す会社の場合は年2回もらえる。しかし、J-REITの場合は殆どの銘柄の決算は年2回ある。だから、分配金も年2回もらえるのが普通なのだ(1銘柄のみ年1回の決算)。
その上、株式会社は3月決算という会社が多いが、J-REITは決算時期も1年を通じてバラけている。
例えば、1月と7月に決算があるJ-REIT銘柄を買うと、それぞれ3ヶ月後の4月と10月に分配金がもらえる。
今回は、いままでの半年間で紹介したJ-REIT銘柄22から組み合わせて、毎月分配金をもらえるポートフォリオを考えてみた。
銘柄を選んだ前提条件として、
●分配金の安定を重視した。
●手軽に投資できるように、投資口価格の安い銘柄を選択した。
●半年間で紹介したJ-REITは22銘柄。そこからの組み合わせ。
選択した結果、
●分配金の安定性を考えたので、運用スタイルが「住宅特化型」か、「住宅」を含む複合型や総合型REITが多くなった。
●投資口価格の安い銘柄としたので、10万円代が大半になった。
●予想分配金利回りは、4%前後の銘柄が多い。
●1銘柄10万円代?6ヶ月分で、トータル約80万円の投資。
●6銘柄の単純平均した予想分配金利回りは4.06%。
なお、コロナ禍の急落からの回復が、日経平均株価に比べて東証リート指数が遅れていたが、最近はかなり回復してきた。
そのため、相対的にJ-REITの利回りが低くなっている。とはいえ、株式投資よりは利回りは高いと言える。
■1/7月決算のケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人(略称:ケネディレジ)のスポンサーは、不動産会社 ケネディクス株式会社。同社は東証1部に上場していたが、三井住友ファイナンス&リース株式会社の子会社による株式公開買付け(TOB)が終わり、今年3月17日に上場廃止となった。
これで同社も、系列J-REITのケネディレジも、三井住友ファイナンシャルグループの傘下に入った事になる。財務戦略が盤石となるだろう。
ケネディレジは分類上、住宅特化型リートだ。しかし、保有物件は有料老人ホームなどのヘルスケア施設が約2割、住居が約8割なので、複合型リートに近い。
ヘルスケア施設の多くは定期借家契約で、長期固定賃料であるため、保有物件が住居だけよりも分配金の安定化に寄与していると言えるだろう。
ケネディクス系列のリートについてはこちら。
■2/8月決算の日本都市ファンド投資法人
日本都市ファンド投資法人は「お年玉企画」として、今年1年を通じて注目すべき銘柄の一つとして紹介した。
今年3月に日本リテールファンド投資法人とMCUBS MidCity投資法人が合併して、現在の名称に変更。
合併後は物件の取得価格が約1兆1,900億円となり、J-REIT個別銘柄の中では最大資産規模クラスの総合型REITになった。
ポートフォリオの約半分が都市型商業施設だ。スポンサーは三菱商事と、ヨーロッパを代表する世界最大級の金融グループUBS。
■3/9月決算の大和証券リビング投資法人
株式会社大和証券グループ本社がスポンサーをしていた2つのJ-REIT、日本賃貸住宅投資法人と日本ヘルスケア投資法人。
規模を拡大するために昨年4月に合併し、スポンサー名を冠した商号に変更したのが大和証券リビング投資法人だ。
分類上は住宅特化型リートだが、保有物件割合を住居7割、高齢者住宅3割となるよう目指しており、ケネディレジと同じく複合型に近い。
2つのリートが合併した際に、「負ののれん」が11億円ほど発生した。これも含めた内部留保が約82億円あるため、今後の分配金も安定的に払われるだろう。
■4/10月決算の積水ハウス・リート投資法人
4月決算銘柄として紹介したばかりの積水ハウス・リート投資法人。
スポンサーは積水ハウス株式会社で、資産規模5,358億円の大規模な総合型リートだ。
物件の比率はレジデンスが4割強、オフィスビルも4割強と、景気変動に中立的で相性の良い物件ポートフォリオと言える。
スポンサーがデベロッパーなので物件供給も豊富で、スポンサーが建設した物件は安心できる事もメリットだ。
投資口価格が10万円前後と、今回紹介した銘柄では一番安くてお手頃だ。
■5/11月決算の平和不動産リート投資法人
スポンサーは平和不動産株式会社で、東京や大阪、名古屋、福岡の各証券取引所のビルを所有している会社だ。
平和不動産リート投資法人はレジデンスとオフィスの物件を持つ複合型リートで、東京を中心に、スポンサー会社の営業拠点がある地域で物件を取得・運営している。
リーマンショック後に合併して発生した「負ののれん」も活用し、積極的な物件の入れ替えを行った。
その結果、バランスの取れたポートフォリオとなり、市場からの評価は高い。それ故に人気が高く、予想分配金利回りは6銘柄のうち、前述の積水ハウス・リートと同様に低い。
■6/12月決算のマリモ地方創生リート投資法人
スポンサーは分譲マンションの設計・開発から出発した不動産会社の株式会社マリモ。
イメージで北海道の会社と思いがちだが、広島市が本社だ。オフィスビル、賃貸マンション、商業施設、ホテルなどを手掛けている。
マリモ地方創生リート投資法人は、名前の通り、「地方」の物件保有に力を入れている。保有物件の8割以上が東京圏以外だ。
他のJ-REITは東京圏に物件を集中させている事が多いため、投資エリアを分散させるという意味と、投資口価格が10万台なので選んだ銘柄だ。
最近は東証リート指数も上がり、各リートの予想分配金利回りも下がっている。そんな中、同リートは予想分配金利回りが5%台と高い。
反面、分配金水準を維持するため、利益の大小にかかわらず、「利益超過分配」を行っている。本来の収益力は、利益超過分配を除いた額が実力相当だと考えられる。
上記のように、いままで紹介してきたJ-REITの22銘柄の中から、毎月分配金をもらうポートフォリオを組んでみた。
約80万円の投資で、平均利回りが約4%。投資額を大きくすれば、当然ながら毎月の分配金も多くなる。
実物の不動産投資に比べると、利回りは低く見えるかもしれない。しかし、J-REIT投資の場合は、個人オーナーでは保有が難しい好立地の物件オーナーの一人になることができる。また、入退去などの管理もすべて込みだ。
なお、J-REITは現在62銘柄ある。自分なりのポートフォリオを作る上での参考にしてみてほしい。そして、投資は自己責任で。
※NAV倍率とは、株式のPBR(株価純資産倍率)に当たる。計算式は、投資口価格÷1口当たりのNAV(不動産の時価に基づく純資産価値Net Asset Value)。
PBRのように、NAV倍率が1倍より大きい場合は割高といえる。
健美家編集部(協力:野原ともみ)