株式投資で配当金生活を楽しむように、J-REIT(ジェイリート)で分配金を毎月もらおうというシリーズ。
J-REITの分配金は、株式投資の「配当金」と同じ意味だ。しかし、J-REITの分配金利回りは3〜6%と、株式投資よりも高配当なものが多い(一部のホテル特化型リートは除く)。
11月決算のJ-REITをいま買うと、3ヶ月後の来年2月に分配金がもらえる。FIRE(経済的独立&早期リタイア)への第1歩に、11月決算の注目銘柄3つをご紹介する。

11月決算のJ-REITは8銘柄!
注目はSOSiLA物流、ユナイテッド・アーバン、平和不動産
11月決算期の銘柄は次の8銘柄だ。
ユナイテッド・アーバン投資法人
平和不動産リート投資法人
大和証券オフィス投資法人
阪急阪神リート投資法人
アクティビア・プロパティーズ投資法人
日本プロロジスリート投資法人
大江戸温泉リート投資法人
SOSiLA物流リート投資法人
※証券コード、銘柄名、投資口価格、予想分配金利回り、NAV倍率。
「投資口価格」は、J-REITの場合の「株価」に相当する。
投資口価格と予想分配金利回りは2021年11月2日終値現在。
注目の3銘柄は以下だ。
ユナイテッド・アーバン投資法人
平和不動産リート投資法人
SOSiLA物流リート投資法人
住友商事がスポンサーのSOSiLA物流リート
後発だからこそ、今後の成長に期待!
SOSiLA(ソシラ)物流リート投資法人は物流施設特化型リート。資産規模は1,061億円と中堅だ。
上場したのが2019年12月と、物流施設特化型リートとしては後発。
スポンサーは住友商事。住友商事の祖業は、約100年前から始めた大阪港湾の土地開発事業だ。
今は総合商社としての顔の方が有名だが、不動産事業は今も中核事業だ。
SOSiLA物流リート投資法人は、スポンサーの住友商事が開発する物流施設SOSiLAシリーズに重点投資している。
SOSiLA(ソシラ)とは、社会とのつながり(Sociability)、環境への配慮や持続的成長(Sustainability)、人と労働環境への配慮(Individuality)の3つのテーマ。
物流施設のあり方(Logistic Aspect)を目指す事業コンセプトのこと。
その立地戦略は、人口密度が高く、消費地に近い都市部を網羅できるエリアを選び、輸送費の削減と労働力の確保を考慮している。
消費地に近い立地なので、多頻度の配送も容易だ。

施設のハード面では、太陽光パネルや断熱性パネルの設置、庫内作業の効率化、自動化・省力化、従業員が働きやすい環境を整えている。
ソフト面としては、入居テナントへ手厚い運用サポートを行っている。
なおポートフォリオの構築にあたり、同リートは「物流施設」以外に、「インダストリアル不動産」に20%程度まで投資する考えだ。
「インダストリアル不動産」とは、データセンター、通信施設、研究施設、工場、資材・車両ヤード及び空港・港湾関連等施設などのこと。
地域は、関東エリアと関西エリアを合わせたトータルで70%以上、その他のエリアに30%を投資する方針だ。

物流施設の場合、他アセットと比べると、建物割合が高いために減価償却費が大きい。
同リートは、減価償却費の30%程度を「利益超過分配金」とするルールを設けて、安定的に分配金を出している。
スポンサーの住友商事にとって、グループ内のJ-REITはSOSiLA物流リート投資法人だけ。
後発リートで参入した住友商事としては、同リートを成功させるべく力が入っているはずだから、今後の外部成長に注目だ。
SOSiLA物流リート投資法人
予想分配金:第4期(2021年11月期)2,504円、第5期(2022年5月期)2,522円
保有物件数:11
取得価格合計:1,061億円(2021年10月20日現在)。
丸紅がスポンサーのユナイテッド・アーバン
大規模な総合リートゆえ、多種多様にリスク分散
ユナイテッド・アーバン投資法人は大規模な総合型リートだ。スポンサーは総合商社の丸紅。
基本的な事は前回で紹介したので、今回は第35期(2021年5月期決算)の内容を見てみよう。
●西新橋1丁目ビルの分割譲渡をし、約18億円の売却益があった。コロナ禍での当期純利益を下支えしている。
●第36期はクオーツタワーを譲渡して、2物件を取得する予定。資産を入替えて、収益力の強化する方針。
●第35期の1口当たり分配金は3,182円。前期と比べてプラス63円で、新規に取得した物件や、既存物件の収益改善による成果。
●今後の分配金の方針は、第38期までは「下限分配金 3,100円/口」と安定な分配を目指す。そのため、必要に応じて内部留保の取崩しを行う。
前回も説明したが、ユナイテッド・アーバン投資法人は日本コマーシャル投資法人を2010年に吸収合併した際、「負ののれん」などの内部留保を潤沢に持っている。
第35期末(2021年5月末)時点で内部留保は124億円。
新型コロナウイルス影響を緩和できる「宝」を持っているのは、老舗リートならではだろう。

ポートフォリオ別に見ると、全体の5割強を占める「商業施設」と「ホテル」は、第35期は長引いた緊急事態宣言等で収益が悪化し、第36期でもまだ回復には至らないだろうとの予想だ。
ワクチン接種により国内の宿泊需要は戻りつつあるが、宴会やインバウンド需要の回復は2022年後半以降だろうと考えている。
このように、第36期から第38期まで分配金が少し低くなるようだ。
しかし同リートは、「中長期にわたり安定した収益性の確保」を目指し、リスク分散のため、多種・多様な不動産を地域に関わらず保有している。

丸紅グループとのコラボレーションや、新規開発案件(札幌市内に高齢者向け住宅を開発)などもあり、今後も注目だ。
ユナイテッド・アーバン投資法人
予想分配金:第36期(2021年11月期)3,100円、第37期(2022年5月期)
3,100円
保有物件数:136
取得価格合計:6,751億円(2021年9月30日現在)
平和不動産リートは上場以来、分配金は増額
中期目標を必ず達成する堅実さと安定が魅力
平和不動産リート投資法人は、オフィスと住居の物件を持つ複合型リート。
スポンサーは平和不動産株式会社。東京証券取引所や大阪証券取引所が入っているビルを所有している会社だ。
基本的な事は去年に紹介したので、今回は第39期(2021年5月期決算)の内容を見てみよう。
●新型コロナウイルス感染症の影響は限定的
オフィス系は、過去の平均水準を上回る稼働率98.8%を維持している。
レジデンス系は、法人の需要が2020年に落ち込んだが、今は回復傾向。
●東菱ビルディングを新規に取得し、HF高輪レジデンスを譲渡して4.04億円の譲渡益を
得た。
●今までの物件譲渡益が減少(前期比 ? 485百万円)した事が減収要因となった。しかし、物件運営に関する収支は改善。
●分配金は前期と比べてプラス120円の2,800円に。上場以来、分配金は常に増額している。
注目すべき点は、平和不動産リートは「中期計画」を策定すると、3〜5年のうちに必ず達成している。
中期計画が「希望的観測」ではなく、達成度が高い現実的な目標を掲げ、確実に達成しているのだ。
2020年1月に公表した中期目標の一つ、「分配金2,750円にする」も、計画よりも1.5年も前倒して今期に達成した。

新しい中期計画「NEXT VISION」は、
●分配金を3,300円にアップ
●資産規模を3,000億円に
●格付をAAへ
●ESG 100%へ(再エネ電力導入割合)

安定的な分配金も含めて、中期計画がいつ達成されるかが注目だ。
平和不動産リート投資法人
予想分配金:第40期(2021年11月期)2,850 円、第41期(2022年5月期)2,850 円
保有物件数:115
取得価格合計:195,217 百万円(2021年10月1日現在)。
11月決算銘柄を買って分配金をもらうには、権利付き最終売買日である11月26日15時までに購入しておく必要がある。
最後に、投資判断は自己責任でお願いしたい。
健美家編集部(協力:野原ともみ)