株式投資で配当金生活を楽しむように、J-REIT(ジェイリート)でも分配金(株式投資の「配当金」と同義)を毎月もらおうというシリーズ。
分配金を毎月もらって、経済的自立と早期リタイア、FIRE生活への1歩にしよう!
J-REITは9月決算銘柄が少ないため、物流施設特化型リートよりも利回りの高い倉庫会社にも注目してみた。
9月決算のJ-REITや株式会社の株をいま買うと、3ヶ月後の12月に配当金や分配金がもらえる。
9月決算のJ-REITは5銘柄!
注目はグローバル・ワンと、物流系REITより高利回りの三井倉庫ホールディングス(株)!
J-REIT では9月決算期の銘柄は少なく、5銘柄だけ。
※証券コード、銘柄名、投資口価格、予想分配金利回り。「投資口価格」とは、J-REITの場合の「株価」に相当する。投資口価格と予想分配金利回りは2022年9月6日終値現在。
なお、J-REIT(ジェイリート)とは証券市場に上場している金融商品「不動産投資信託」のこと。J-REITを購入すると、株を買うぐらいの小口資金で大規模大家さんの仲間になれる。
J-REITの分配金利回りは3~6%と、株式投資よりも高配当なものが多い(一部のホテル特化型リートは除く)。
そして、9月決算のJ-REIT注目銘柄はグローバル・ワン不動産投資法人だ。
もう一つは、9月中間決算で中間配当を予定している三井倉庫ホールディングス(株)。同社は物流系リートより高利回りだ。
駅近、築浅、大型のオフィスに特化したグローバル・ワン
スポンサーは金融系など複数
グローバル・ワン不動産投資法人(GOR)のスポンサーは、明治安田生命、三菱UFJファイナンシャル・グループ、近鉄グループホールディングスなど複数に渡る。
特定のスポンサーに属さないことで、利益相反を排除する体制を構築しているからだ。なお、スポンサーに保険会社が入っているJリートは珍しい。
同リートは、東京を中心にした大型オフィス物件に投資するオフィス特化型リートだ。駅近、築浅、大型の「近・新・大」のオフィスビルに厳選投資するが特徴だ。
上記のようなオフィスビルは、高品質の「勝ち組」で、市場競争力が高く、中長期的に収益が続くと予想しているからだ。
同リートの資産規模は1,911億円と大きい。しかし、物件数は11物件と少なめだ。
なぜなら1物件の平均取得価格がなんと173億円!他のオフィス系リートの平均取得価格89億円と比べると、約2倍なのだ。
そして、1物件当たりの平均総賃貸可能面積も11,986㎡ある。他オフィス系リートの平均は8,354㎡なので、約1.4倍である。
このように、同リートのポリシー「近・新・大」の「大型」物件に投資しているのが明白だろう。
そして「近」では、最寄り駅直結か徒歩5分圏内のビルが保有物件の100%を占めている。
「新」は平均築年数が18年と、他オフィス系リートの平均よりも築浅だ。
現在のオフィスビルは二極化が進んでおり、優秀な人材を確保するために、テナントはより優良なオフィスビルを選ぶと同リートは考えている。
コロナ禍などの不況でも、スペックなどが格下のビルから新規テナントを誘致できると、強気の方針なのだ。
同リートは2003年、J-REITとして8番目に上場している老舗だ。
2019年には、世界的なインデックス「FTSE EPRA/NAREIT グローバル不動産インデックス」に組入れられた。
当面の資産規模の目標は、2,000億円に達すること。それもクオリティを重視して、優良物件だけを選び、中長期での保有を前提としている。
また、同リートは2018年に投資口1口を4口に分割した。これにより、1口が10万円代前半となったので、買いやすい金額になっている。
グローバル・ワン不動産投資法人
予想分配金:第38期(2022年9月期)2,426 円、第39期(2023年3月期)2,400 円
保有物件数:11
取得価格合計:1,911億円(2022年3月31日現在)
物流系J-REITより高利回りの三井倉庫ホールディングス(株)
M&Aとグループ内構造改革が一段落し、さらなる飛躍へ!
9月決算のJ-REITは数が少ない。そこで、物流施設特化型リートより高利回りの倉庫関連会社を紹介する。
なお、現在の物流施設特化型リートの利回りは3%台が多い。コロナ禍ではネット通販が流行り、物流倉庫の需要が高まった。
そのため、物流系リートは人気が上がって投資口価格(J-REITの株価)は高騰し、分配金利回りは低かった。
最近は、物流施設の建設ラッシュで空室率も上がっていること等から、投資口価格が低くなっている。
それでも物流系J-REITは、投資口価格(J-REITの株価)に対するNAV倍率(株式のPBRと同義)が1倍以上とまだ割高感もある。
そこで、J-REITではないが、分配金利回りの高い三井倉庫ホールディングス(株)に着目してみた。
同社は三井グループの物流関係の持ち株会社だ。
三井倉庫グループの創業は1909年(明治42年)。日本初の私立銀行だった三井銀行の倉庫部が分離独立したのが始まり。
現在は倉庫業だけではなく、世界的な総合物流会社だ。不動産事業も行っており、東証プライムに上場している。
近年の流れを追うと、2014年に三井倉庫ホールディングスを持株会社とする持株会社制に移行した。そして、三井倉庫、三井倉庫ビジネストラストを新設分割で設立する。
2015年には、ソニーサプライチェーンソリューション(株)のロジスティクス事業を、三井倉庫ホールディングス(株)とソニー(株)の合弁会社に移管した。
商号は「三井倉庫サプライチェーンソリューション(株)に変更し、タイやマレーシアの会社を含めた3社を子会社化する。
また同年には、丸協運輸(株)と丸協運輸(株)など関連会社4社も連結子会社化した。
このように合併や買収を繰り返していたため、近年までは構造改革に力点を置き、事業収益力の強化や財務基盤の再建、グループ経営の強化に取り組んでいた。
その結果、『中期経営計画 2017』で掲げていた目標を達成することができた。
上記の図にあるように2022年3月期では、営業収益が2017年3月期に比べて33%増だ。また、営業利益や営業利益率ともに過去最高益、有利子負債残高は940億円と目標だった1,300億円を軽くクリアしている。
配当金に関しても、2018年3月期は無配だったが、その後は配当を復活させ、毎期増配を続けている。
そして2022 年 5 月 には『中期経営計画 2022』を発表し、飛躍への道筋を辿ろうとしているところだ。
「グループ総合力を結集してトップラインでの成長」「オペレーションの競争力強化」「DX推進など、更なる経営基盤の構築」を掲げている。
投資としては、総額1,300億円を実施する。DX関連や新規設備投資、今後も市場拡大が見込まれるヘルスケア関連や、ECと実店舗の両方に対応できる次世代型物流センターなどだ。
そして配当性向は30%を基準とし、株主への還元を強化していく。
なお、同社は8月2日に、2023 年3月期の連結業績予想と配当予想を上方修正した。
元々、2022年3月期はサプライチェーンの混乱に伴う特需的ビジネスを取り込むことができたため、非常に好調だった。しかし、2023年3月期は特需が終わり、前期と比べると減益になるだろうと予想されていた。
しかし、輸出入の回復による貨物需要が想定を上回り、フォワーディング業務の取扱量が増加している事や、為替レートが想定より円安方向に推移している事などから、上方修正となった。
そのため、配当予想も上方修正された。上記の「中期経営計画2022」で発表したように、連結配当性向30%を基準とする業績に連動させるためだ。
5月10日時点での予想年間配当金額は、1株当たり144.00円。8月2日の修正では、164.00円と20円アップしている。
ちなみに、これは2022年10月1日から2023年3月31日までの下期の業績を渋く予想しているためで、もしかしたら前期同様の利益を上げられるかもしれない。そうなれば、配当金額も上方修正されるだろう。
三井倉庫ホールディングス株式会社
2023 年3月期(2022 年4月1日~2023 年3月 31 日)の予想配当金:1株につき144.00円⇒ 164.00 円へ。(内訳:中間配当72.00円、期末配当72.00円⇒92.00円へアップ)
株価:3,315円(2022年9月6日終値現在、同社の売買単位は100株)
予想配当利回り:4.95%(同日終値現在)
9月決算銘柄のグローバル・ワン不動産投資法人を買って分配金もらうには、権利付き最終売買日である9月28日15時までに購入しておく必要がある。
三井倉庫ホールディングス株式会社は3月決算だが、9月に中間決算があり、中間配当を実施する予定。中間配当をもらうには、グローバル・ワンと同じく9月28日までに購入する必要がある。
最後に、投資は自己責任でお願いしたい。
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健美家編集部(協力:
(のはらともみ))