株式投資で配当金生活を楽しむように、J-REIT(ジェイリート)で分配金を毎月もらおう!というシリーズ。
J-REITの分配金は、株式投資の「配当金」と同じ意味だ。しかし、J-REITの分配金利回りは2~6%と、株式投資よりも高配当なものが多い。
6月決算のJ-REITをいま買うと、3ヶ月後の9月に分配金がもらえる。FIRE(経済的独立&早期リタイア)への第1歩に、6月決算の注目銘柄をご紹介する。

6月決算のJ-REITは8銘柄!
注目はインヴィンシブル投資法人と日本リート投資法人
6月決算期銘柄は8銘柄だ。
日本ビルファンド投資法人
日本プライムリアルティ投資法人
フロンティア不動産投資法人
ジャパンエクセレント投資法人
インヴィンシブル投資法人
日本リート投資法人
マリモ地方創生リート投資法人
CREロジスティクスファンド投資法人
※証券コード、銘柄名、投資口価格、予想分配金利回り、NAV倍率。
「投資口価格」は、J-REITの場合の「株価」に相当する。
投資口価格と予想分配金利回りは2023年6月9日終値現在。
注目の2銘柄はこちら。
インヴィンシブル投資法人
日本リート投資法人
インバウンド復活で、ホテル系リートに投資マネーが流入!
インヴィンシブル投資法人も増配へ
インヴィンシブル投資法人は、ホテル特化型のJ-REITだ。
「東京グロースリート投資法人」として2004年に上場し、2010年に「エルピーシー投資法人」を吸収合併して、商号を「インヴィンシブル投資法人」に変更した。
スポンサーは、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループだ。そして、ソフトバンクグループもサブスポンサーとして関わっていた。
しかし、ソフトバンクグループが、子会社であるフォートレス・インベストメント・グループを「アブダビ政府系ファンドに売却する」と今年5月22日に公表。
そのため、インヴィンシブル投資法人は5月23日付のリリースで、同リートとソフトバンクグループのスポンサー関係がなくなる旨を公表している。
ところで、フォートレス・インベストメント・グループの子会社は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構から「雇用促進住宅」を買収している。
リノベーションした後、低価格な賃貸住宅「ビレッジハウス」として運営している。「敷金・礼金・手数料0円」や「家賃は2万円台から」等と謳う「ビレッジハウス」の名前を聞いたことがある人もいるだろう。
さて、インヴィンシブル投資法人に話を戻すと、同リートの保有物件128件のうち、ホテルが91.7%、住居7.8%、その他0.5%の割合だ。
住居も少し組み入れているが、ほぼホテル特化型リートと言ってよいだろう。
主要テナントは株式会社マイステイズ・ホテル・マネジメントだ。

ポートフォリオの地域別では、東京23区31.9%、東京23区を除いた首都圏13.7%、北海道13.5%、中部10.3%、関西7.9%、九州7.2%、その他8.1%、海外7.3%だ。
コロナ前のインバウンド隆盛期には、同リートの分配金利回りは5~7%と非常に高かった。しかし、コロナ禍による行動制限でホテル業界は大打撃を被った。
そして、同リートは3年前の2020年5月11日に、2020年6月期の分配金予想金額を修正し、当初予定していた1口当たり1,647円から30円へと大幅に減額すると発表した。
理由は、保有ホテルの主要オペレーターであるマイステイズ・ホテル・マネジメントに対して、賃料のドラスティックな減額措置を行うからだ。
このため2022年11月頃までの約1年半の間、同リートの分配金利回りが0.2~0.7%とほぼゼロに近い状態が続いた。
最近やっと行動制限が緩和され、インバウンド需要も戻ってきたことから、徐々に同リートの分配金も増配されてきた。
そして今年4月25日、2023年6月期の業績予想を修正した。マイステイズ・ホテル・マネジメントに対し、2023 年1月以降は賃料減額措置などを行わず、本来の賃貸条件に基づいた固定賃料と変動賃料が同リートに支払われる予定だ。
また、同リート保有の国内ホテルのRevPAR(ホテルの売上高を販売可能な部屋数で割った額Revenues Per Available Room)の今回予想は8,614円。前回(今年2月)の予想7,368円から、+1,246円とアップしている。

また、ケイマン諸島の海外ホテル2つについては、旅行需要自体は回復している。しかし、航空会社のスタッフ不足等により、旅客数がコロナ禍前の水準まで戻っていないため、客室稼働率も戻っていない。
とはいえ、やっと旅行を楽しめる状況になってきた事で、宿泊料金が高くても利用する客層のおかげで、海外ホテルのRevPARは前回予想より75米ドル高い402米ドルとなった。
そのため、同リートの2023年6月期の分配金予想は、前回予想に比べて599円高い1,362円になると発表。ただし、2023年 12月期の分配金は6月期より下がる予想だ。

現在の投資口価格(株価)は6万円前後、利回りは4%前後だ。インバウンド最盛期だった2019年後半の水準に近づいて来ている。
インヴィンシブル投資法人
予想分配金:2023年 6月期1,362 円、2023年 12月期 1,037 円
保有物件数:128
取得価格合計:4,914億円(2022年9月9日現在)
スポンサーが双日からSBIグループへ交代した日本リート
「盤石さ」から変化はあるか?金融業等との相乗効果は?
日本リート投資法人のメインスポンサーはSBIグループだ。同グループは、ネット証券や銀行、保険などの金融サービス事業を中心に行っている。
2022年11月に、SBIグループが総合商社の双日から、日本リート投資法人の資産運用会社の株式67.0%を取得した事により、メインスポンサーが交代となった。
なお、サブスポンサーのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド・アセットマネジメント株式会社とアジリティー・アセット・アドバイザーズ株式会社はそのまま留まっている。

メインスポンサーは交代したものの、当分の間は同リートの運用方針は変えない模様だ。
さて、日本リート投資法人は総合型リートだ。とはいえ、商業施設は3.2%だけで、オフィス71.0%と住宅25.8%が主力だ。

そして、都心の中規模オフィスと三大都市圏の住宅がメインだ。

同リートは「盤石」なポートフォリオを追求するため、「分散」投資を心がけている。
都心の中規模オフィスビルを中心に保有しているため、ポートフォリオに占める各ビル1棟の割合が低く、リスクが分散されている。
また、テナントも上位5テナントの比率が賃貸面積ベースで8%、取得価格ベースで21.9%と少数の大型テナントに依存しないよう、リスク分散している。

大規模オフィスビルの場合は、1棟丸ごとや数フロアーを一括で借りてくれていた大企業が退去してしまうと、次の大型テナントを探すのが難しい。
しかし、中規模ビルの場合は、テナントの退去も多いが入居も多く、流動性が高い。下記の図を見ると、オフィス物件の退去が多い期は、入居も多くしてプラスマイナスゼロにするべく頑張っている様子が見て取れる。

分配金は、2020年12月期から3期連続で分配金が1万円台に増加しているが、資産入替時の一時的な売却益が続いたためだ。2022年6月期からは、巡航ベースの8,000円台に戻っている。

同リートは、昨秋まで大手商社の双日がメインスポンサーだったため、堅実に安定運営をしているJ-REITだった。
SBIグループ傘下に入ったことで、どんな物件がスポンサー経由で入って来るのか、また金融業等との相乗効果がどうなっていくのか、を期待して注視したい。
日本リート投資法人
予想分配金:2023年6月期(第22期)8,269円、2023年12月期(第23期)
8,005円
保有物件数:106
取得価格合計:2,538億円(2023年3月30日現在)。
6月決算銘柄を買って分配金をもらうには、権利付き最終売買日である6月28日15時までに購入しておく必要がある。
最後に、投資判断は自己責任でお願いしたい。