最近はアメリカ国債の利回りが例を見ないスピードで上昇しており、為替など様々な分野に影響を与えている。アメリカの住宅ローン金利は6%を突破し、金融危機以来の高水準に到達したとのニュースも出ており、住宅の購入者希望者も大きく減少しているという。
そんな中、日本の不動産投資家においても「日本の金利も上がるのか」について意識することが増えてきている。
今日は予測が難しい金利変動とどう向き合うかについて解説していきたい。

1.大前提として、金利変動を正確に予測することは難しい
金利、為替は様々な要因で変動するため、正確に将来を予測することは難しい。市場の調整による変動であれば一定の方向性は見出せる可能性もあるが、国の施策など人為的な要因も絡むため、金利を予測して対策を打つというのは困難と言えるだろう。
しかし、借入金利の変化は我々不動産投資家の損益に大きな影響を及ぼす要素である。
金利が上昇すると、変動金利の借入については返済額が増加し、残債の減りも遅くなる。
また全く借入を利用していなかったとしても、融資金利が上がればそれに伴って物件に期待される利回りは高くなるため、売却金額は下がるだろう。
つまり、経済成長とともに家賃が上がるなどの前提がない限り、金利上昇は不動産マーケットに悪い影響を及ぼすのである。
2.変動金利と固定金利の条件の違い
銀行によって基準は分かれるが、変動金利と固定金利では調達金利が異なる。多くの場合は変動金利の調達金利が最も安く、固定金利の期間が延びるほど調達金利は上がる。(銀行によっては変動金利よりも3年固定金利の方が安いこともあるが)
つまり、同じ金利水準であれば変動金利の方が銀行にとっての利鞘は大きく、銀行のもうけも大きくなると言える。
逆に、我々投資家は同じ金利水準であれば固定金利の方が有利と捉える事が一般的である。
ただし、固定金利の選択にもデメリットはある。
よくある事例としては固定金利期間中の繰り上げ返済手数料である。多くの民間銀行の場合は変動金利期間中の繰り上げ返済の手数料はわずかであることが多い。
しかし、固定金利期間中の繰り上げ返済手数料は「返済額の2%」や「違約金相当額」などに設定されていることが多く、売却などによって一括返済を行うと多額の手数料が必要となるケースが多い。
3.金利選択の戦略について
今後日本の金利が上がるか、据え置きとなるか、これは誰にも分からない。しかし、前述したように金利上昇によるダメージが大きい我々不動産投資家は、一定のリスクヘッジを行う必要があるだろう。
つまり、自身の借入の総額に対して一定の割合で固定金利の借入を組み込んでおく必要がある。
予測できない変動に対しては、どのシナリオになっても対応できるポートフォリオが必須、という事である。
ただし、銀行によっては固定金利の取り扱いをしなかったり、金利水準が大幅に高くなってしまう可能性がある。
つまり、金利のリスクヘッジのためには
「固定金利を取り組みやすい銀行で、低金利で固定金利を調達する」
事を意識して対策を行う必要がある。
上記の観点から無視できないのは「日本政策金融公庫」そして「住宅ローン」の存在である。
今更説明は不要であろうが、公庫は低水準で全期間固定金利の融資を行う金融機関である。融資期間が短いなどの弱点もあるが、低水準の固定金利を組むことができる金融機関として、必ず選択肢に入れておきたい。
また、意外と盲点になるのが自身の住宅ローンである。
収益不動産への融資ではないので別勘定で考えがちだが、あくまで家計全体で捉えた場合、住宅ローンを固定金利にしておくことも、リスクヘッジの一案として有効である。
つまり、多額の借入を利用する不動産投資家だからこそ「フラット35」を利用すべき、というのが私の考えである。
先述したように、固定金利では低金利の調達が難しくなるため、住宅ローンという切り札を積極的に使っていきたいところだ。
4.まとめ
不動産の運営においては支払金利の占める割合は大きい。
「支払金利が抱えるリスクをいかに抑えていくか」
多くの借入を利用する人ほど、金利上昇という悪いシナリオを想定し、対策をしておく必要があるだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
執筆:
(はんざわおおや)