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世界で金利上昇傾向 不動産投資にはプラス?マイナス?

融資/金利 ニュース

2018/05/30 配信

米国長期金利、節目の3%

金融取引の手数料と言える金利。その金利が世界で上昇傾向にある。去る4月24日、米国の長期金利が節目の3%台に乗せ、約4年半ぶりの水準だとマーケットで話題となった。

長期金利とは多くの金融取引の指標となるもので、その代表指標が10年物の国債利回りである。国債は、いわば国の借金。国が債券を発行して投資家に買ってもらい、その購入代金によって資金調達をする仕組みだ。

ちなみに現在、日本政府が発行する国債の大口ユーザーは日本銀行であることはご存知の通り。しかも日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」政策の真最中であるため、諸外国のように市場圧力が金利に反映しにくい事態となっている。

だが、FRB(米連邦準備制度理事会)がゆるやかな利上げを実施するなど、世界の中央銀行では金融緩和の出口を通り抜けようとしている。金利上昇は、世界経済や日本市場にどのような影響があるのだろうか。

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金利上昇の影響

「米国や欧州の金利がどうなろうと海の向こうのことだ。知ったこっちゃない」などと静観はしていられない。

不動産の購入や建築等で何かとお世話になる金融機関にとって、現在の超低金利は死活問題。そんな中、世界の金利上昇を受けて日本の金利も上昇が見込まれ、業績にプラス材料との判断だろうか、このタイミングで銀行株が上昇した。

金利上昇は資金を貸し出す金融機関にはプラス、設備投資や建築費を借り入れる側にはマイナスであることは言うまでもない。不動産投資でレバレッジを効かすにも低金利が有効だ。では、賃貸住宅を借りる側はどうだろうか。

住宅相談を受けていると「家賃を払うのがもったいない。低金利のうちにマイホームを購入したい」というユーザーが多い。金利上昇が鮮明になれば、購入派への流れが賃貸派に逆流する日も来るだろう。早いタイミングで市場の動きを捉えておきたいところだ。

FRBが利上げをする対象は、短期金利

さて冒頭の話に戻る。約4年半ぶりに3%台となったのは、長期金利の代表指標である米国の10年物国債利回りだ。足元の米国債券市場では原油高でインフレ見通しが高まり、長期金利は5月9日に再び節目の3%台に上昇した。5月17日に終値3.115%となったのち、足元では2.9%となっている。市場ではFRBの利上げも話題だが、利上げの対象は長期金利ではない。FF金利(フェデラル・ファンドレート)と言われるものだ。金利の誘導目標などの金融政策は、FOMC(連邦公開市場委員会)で行われる。念のため、用語の確認をしておこう。

■FRB(Federal Reserve Board/米連邦準備制度理事会)

米国の中央銀行に相当する機関。日本や英国の中央銀行は、それぞれ日本銀行やイングランド銀行など単体だが、米国では12の地区連邦準備銀行(Federal Reserve Banks)の集合体となっている。FRBの理事は7名(うち議長1名、副議長1名)。

FRB議長人事は、大統領の指名と上院の承認を必要とするが、現在のジェローム・パウエルFRB議長(64歳)は前議長のイエレン氏の任期切れに伴い2017年11月2日にトランプ大統領の指名を受け、上院の承認を経て、2018年2月3日FRB議長に就任した。

FRBの主な業務は、公開市場操作を含む金融政策の決定、連邦準備銀行の統括・監督、市中銀行に対する支払準備率の設定、連邦準備銀行が設定する割引率(公定歩合)の審査・決定など。

■FOMCFederal Open Market Committee/連邦公開市場委員会)

FRBが定期的に開く会合のことで金融政策の最高意思決定機関である。メンバーは、FRBの理事全員(7名)とニューヨーク連銀総裁、およびニューヨーク以外の連銀(輪番制)から選ばれた4名の総裁の計12名で構成される(議長はFRB議長、副議長はニューヨーク連銀総裁が担当)。

年8回開かれ金利の誘導目標などが話し合われるが、ちなみに5月2日まで開催されたFOMCでFRBは、FF金利の誘導目標を1.50─1.75%に据え置いた。会合後の声明発表を受けてマーケットが動く。

■FF金利(Federal Funds rateFFフェデラル・ファンドレート)

米国の短期金利の代表的指標。米国の市中銀行は、預金残高に応じて、連邦準備銀行に預金残高の一定割合を無利息で準備預金(フェデラル・ファンド)として預け入れることが義務付けられている。その際、準備預金の過不足を調整するために、金融機関が無担保で貸し借りをする際に適用される金利(フェデラル・ファンド市場での調達金利)のことをFF金利という。

「経済が難しいのではない、用語が難しいのだ」と言ったのは私の経済の師匠だが、まったくその通り。用語がわかれば、理解は加速する。

金利上昇の市場への影響

ところで、金利が上がると株価が下がる、これは投資の定石だ。金利というコストの上昇が企業業績を圧迫し、米国企業の業績悪化が取引先の世界中の企業に影響する。米国の株安は世界の株安に連鎖する可能性がある。だからこそ、FRBの利上げペースは非常に緩やかである必要があるのだ。

米国の金利が上がると「日本円で貯金するより米ドル貯金が有利」とばかりに円を売ってドルを買う動きが加速し、円安・米ドル高のトレンドだ。

円安は日本の輸出企業には追い風だが、海外旅行や燃料等の輸入には向かい風である。建築資材もガソリンも輸入品は要注意。低価格であるうちの仕入れも考えておかねばなるまい。

情報もお金も一瞬で世界を駆け巡る世の中だ。世界の金利が上昇傾向にある中で、いつまでも日本の金利が超低金利で維持されるはずはない。金融緩和の出口戦略を検討すべきは、日銀だけではなく投資家ではないか。あなたの不動産ビジネスへの直接的間接的影響はいかほどであろうか。

マネーの流れが逆転する?

日銀もそうだが、FRBが金利を低くしていたのは、企業が資金を借りやすくするためだ。その甲斐あって、米国は株価が上昇し、雇用が拡大し、まさしくヒト・モノ・カネが揃う強い米国となった。米国から溢れ出たマネーは新興国へと向かい、新興国の株式や債券を買い、新興国の経済をも支えることとなる。そして、金利が上昇し始めると流れは一転。ドル買い・新興国通貨売り、とマネーの大逆流が始まるのである。

それは、日本のほぼ裏側、南米・アルゼンチンでの出来事。米国の長期金利が3%台へ上昇した4月24日の2日後、アルゼンチンペソが大きく売られ、米ドルに対してペソ安が大きく進行した。

アルゼンチンの中央銀行(BCRA)は、4月27日に緊急の理事会を開催し、アルゼンチンペソの下落を阻止するために同国の政策金利を3%引き上げる。ところが、アルゼンチンペソ安はその後も加速。

BCRAは5月3日に再び3%の利上げを実施するが、対米ドルで過去最安値を更新してしまう。止まらない通貨安に対し、BCRAは翌日5月4日に一気に6.75%の追加利上げを敢行。

強烈な3度の追加利上げ攻撃で、通貨安はいったん落ち着いたものの、たったの8日間で3回、計12.75%の利上げが行われたこととなる。

マイナス金利にすっかり慣れた我々には信じ難いドラマだが、この緊急利上げによって、アルゼンチンの政策金利が27.25%から40%へ跳ね上がったことも想像を絶する。地球の裏側のことだと静観していてよいのかどうか。読者の皆様の判断にお任せしよう。

国の経済を支えるのは、ヒト・モノ・カネ。米国の利上げに対し経済の足腰が弱い国はモロに影響を受けるということだろうか。

5月23日に3%の緊急利上げを決定したのがトルコ中央銀行。6月24日に大統領選挙と国会議員選挙を控えるトルコは、政治不安、物価上昇、巨額の計上赤字とヒト・モノ・カネの悪材料が揃ってトルコリラ売りが止まらない。

対ドル相場は過去最安値を更新した。今回の緊急利上げで政策金利は16.5%。市場は若干落ち着いたが、金融引き締めを嫌うエルドアン大統領と中央銀行との関係は微妙。新興国ドラマは、ワールドマネーの大きな流れを見るうえでも要注目である。

そしてこのドラマは常に、日本市場への影響、中長期視点におけるご自身の不動産投資への影響を考えながら観てみたい。

執筆者:大石泉(おおいしいずみ)

【プロフィール】
ファイナンシャルプランナー(CFPR)。株式会社NIE.Eカレッジ 代表取締役。
ライフプランや資産形成等をテーマに講演や執筆、個別相談を行う他、「新聞による経済教育」を全国で展開。「2014年度金融知識普及功績者」として金融庁と日本銀行より表彰される。著書に「投資デビュー!/平凡社新書」「女性のためのマンション選びとお金の本/平凡社」他。NPO法人全国NIE.E指導委員会 副委員長。オールアバウト「シングルのマンション購入」ガイドも務める

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