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日銀「植田新総裁」が招く金利上昇に備えよ!変動型・固定型とも上がる可能性あり

不動産融資/金利 ニュース

2023/03/01 配信

日銀総裁の交代で、金利上昇の可能性が高まっている
日銀総裁の交代で、金利上昇の可能性が高まっている


総裁候補の植田氏は理論・実務の両方に強み

金融政策「長短金利操作」を修正する可能性あり

政府が、4月で任期の切れる日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁の後任総裁として、経済学者の植田和男氏をあてる案を国会に示した。

学者出身の日銀総裁は戦後初めてだが、中央銀行総裁を学者がつとめるのは欧米ではめずらしくない。くわえて植田氏は、金融政策を決める日銀の審議委員をつとめた経験もあり、総裁として、理論と実務のバランスがとれた政策運営をおこなっていくことだろう。

ただし、過去10年間の大規模な金融緩和で蓄積された弊害を少なくするため、「長短期金利操作」という金融政策を修正するのはまず間違いない。

遅かれ早かれローン金利の上昇につながるので、不動産投資家はアンテナをしっかり立て、損をしないよううまく戦略を立てていきたい。

植田氏が率いる日銀が手をつける可能性があるのは、冒頭述べたとおり、「長短金利操作」の修正だ。

日銀の長短金利操作は弊害も指摘されている
日銀の長短金利操作は弊害も指摘されている

長短金利操作は、日銀が2016年に導入した金融政策で、「長期の金利をゼロ近辺」「短期の金利をマイナス」に誘導するというものだ。長期も短期も金利を低くして民間金融機関から企業への貸し出し増を促し、景気が良くしてデフレ脱却を実現しようというものだ。

もう少し詳しくみると、長期金利に関しては、10年物の国債の金利が0%前後で推移するよう、日銀が国債を大量に買い続けてきた。現在は、その変動幅がプラスマイナス0.5%まで許容されている。

一方、短期金利に関しては、民間金融機関が日銀にあずけるお金の一部の金利をマイナスにするというものだ。現在はマイナス0.1%となっている。

民間金融機関はお金を預けると、いわば手数料をとられて損をすることになるので、自然とお金を企業への融資などに回すようになり、景気拡大をバックアップすることになるだろうというわけだ。

ただ、長短金利操作は思うような成果を上げておらず、逆に弊害が増えていると指摘されている。

具体的には、金利が無理やり不自然な抑え込まれ方をされているため、市場で金融機関が正常に取引できなくなっているということだ。

また、高くなる一方の米国の金利と、低いままの日本の金利の差がどんどん広がり、運用に不利な円が売られて有利なドルが買われたことから、円安ドル高が進み、今の国内の異常な物価高につながっているということだ。

そして、植田氏は2月24日に衆院で開かれた所信聴取で、長短金利操作による弊害を「否定できない」と述べた。修正に乗り出すことは間違いないだろう。

長期金利の制限をなくせば固定ローン金利が上昇へ
マイナス金利なくせば変動ローン金利が上がる

では、どういった形で見直され、それがどういう形で不動産投資家に影響してくるのか。

まず、修正の方法として考えられるのは、ゼロ近辺に抑えるとしている長期金利の制限を取っ払うことだ。今は0.5%程度が上限になっているが、制限が取っ払われれば、長期金利はさらに0.7%、1%などへと上昇していくことだろう。

金融政策の修正は、金融機関のローン金利上昇につながる
金融政策の修正は、金融機関のローン金利上昇につながる

影響されるのは、固定型のローン金利だ。固定型金利は長期金利に連動する。

いったん借りてしまっているものは、契約時の金利のまま、返済期間が終わるまで変わることがない。しかし、新規に借りるときは上昇した金利が適用されるので、金利が低いうちになるべく早くローンを契約しないと、返済負担がかさんで損をすることになる。

低い固定金利ならローンを借りる余裕があったのに、高い固定金利なら借りられず、物件購入を断念しなければならない不動産投資家が出てくるかもしれない。

そして、考えられるもう一つの修正の方法は、マイナス金利のとりやめだ。そうなれば、変動型のローン金利が上昇する。不動産投資家の中には、変動型の金利でローンを組んでいる人も多いだろう。

金融機関による金利水準の見直しのタイミングは、1年間のうち複数回あるはずだが、そのたびごとに不動産投資家の月々の返済負担は増えていく。余裕のある返済計画を組んでいなければ、後々、苦しむことになるかもしれない。

5000万円を30年返済 金利3%アップで月返済8万円増も
頭金増やして返済比率を抑えるなどの工夫を

ここで改めて、金利が上がった時の負担増のシミュレーションを示しておこう。単純計算なので、負担増を実感するための、あくまで参考としていただきたい。

かりに5000万円のローンを30年で組んだとする。返済金利が年2%であれば、月々の返済額は18万4809円となる。

この返済金利が5%へと3%跳ね上がれば、月々の返済額は26万8410円と8万円以上も多くなる。

今後、金利が上昇局面に入る可能性は高い。ローンを組むさいは、現金で支払う頭金を増やして返済比率を可能な限り抑えたり、確実に入居者が見込める物件を探したりするなど、賢明な投資戦略を練っていきたい。

取材・文:小田切隆(おだぎりたかし)

■ 主な経歴

経済ジャーナリスト。
長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。

■ 主な執筆・連載

  • 「経済界」(株式会社経済界)
    「月刊経理ウーマン」(研修出版)
    「近代セールス」(近代セールス社)
    ニュースサイト「マネー現代」(講談社)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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