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金融庁が530の金融機関を調査。通帳など原本確認はわずか18%

融資/融資状況 ニュース

スルガ銀行の不正融資の問題を受け、金融庁が全国の銀行や信用金庫など530の金融機関を対象に、投資用不動産向け融資の実態を調査した。この調査は昨年10〜11月にかけて行われ、今年3月、調査結果を明らかにした。早速、気になる調査結果を見てみよう。

■平成28〜29年3月期をピークに融資は減速

金融庁では、一棟建(土地・建物)の融資の一部では、顧客が金融機関に直接、借入の申込を行うケースとは異なり、紹介業者が顧客を勧誘して、金融機関に紹介するケースの中で、融資規律に緩みが生じていないかとの懸念があった。

そこで今回、一棟建(土地・建物)の投資用不動産向け融資の規模、紹介業者の業務に係る適切性の検証や融資の審査方法などについて、平成30年10〜11月にかけて、121の銀行と261の信用金庫、148の信用組合、計530の金融機関にアンケート調査を行った。

調査結果によると、投資用不動産向け融資は、富裕層の節税ニーズのほかに、サラリーマンの資産形成を目的にした融資が増加し、平成28〜29年3月期に最も拡大した。

ところが、スルガ銀行でのシェアハウス向け融資に関する問題が発生したことで、平成30年3月から9月までの半年間の銀行における新規融資実行額は、1.9兆円と、30年3月期(29年4月〜30年3月)の4.7兆円から減少している。

銀行における投資用不動産向け融資、一棟建(土地・建物)向け融資の実行額と残高。不正融資の問題が発覚したのを機に、30年3月期から9月期にかけて、融資実行額が半減している(出典:金融庁)
銀行における投資用不動産向け融資、一棟建(土地・建物)向け融資の実行額と残高。不正融資の問題が発覚したのを機に、30年9月期は融資実行額が減少している(出典:金融庁)

■預金残高の原本確認は18%にとどまる

不正融資の問題が広く知られるまで、多くの金融機関では紹介業者を検証する体制が十分ではなかった。

紹介業者が紹介した顧客に融資を実行したことがある銀行は97%で、信金・信組は79%と多数だが、このうち紹介業者との取引を開始する要件や基準を設けているのは銀行でわずか14%、信金・信組で3%に留まっていた。

今回の問題を受け、紹介業者やサブリース業者の信用情報を取得したり、不正行為を行った紹介業者や営業担当者のリストを金融機関内で、整備する事例が見られるようになった。

また、長期的な事業・収支計画の妥当性を見極めることが徹底できていない金融機関も存在していた。

92%の銀行、89%の信金・信組が、全件で審査時に収支シミュレーションを実施と回答しているが、融資期間の一部のシミュレーションにとどまっているものもあり、精緻さにばらつきあった。

一棟建(土地・建物)向け融資審査(顧客の財産・収入等の検証)。顧客の財産・収入を示す資料を紹介業者経由で入手する金融機関が多数。原本確認を徹底していない金融機関も多い(出典:金融庁)
一棟建(土地・建物)向け融資審査(顧客の財産・収入等の検証)。顧客の財産・収入を示す資料を紹介業者経由で入手する金融機関が多数。原本確認を徹底していない金融機関も多い(出典:金融庁)

スルガ銀行の問題が明るみになる平成30年3月以前は、顧客の財産や収入を示す資料を紹介業者経由で入手する金融機関が多数で、原本確認を徹底していない金融機関も多いこともわかった。

例えば、顧客の預金通帳等、財産状況を示す書類等の原本を確認していたのは調査対象の銀行のうち18%、信金・信組では22%に留まった。預金残高をインターネットバンキンクで確認する場合、表示された画面の原本を確認していたのは銀行の11%で、信金・信組では7%だった。そのほかは、コピーでの確認も許されていた。このような実態のなかで、不正融資が行われていたのだ。

平成30年4月以降は、顧客から直接エビデンスを受領するなど、原本確認を徹底するように変わってきている。

■サブリース、収支の見込みなどのリスクへの理解も不十分

今回の調査では、顧客に対するサブリースや収支の見込みなどのリスクの説明が不十分であったことも分かった

金利の変動リスクなど融資条件の説明はほとんどの金融機関で行われているが、収支の見込みや、サブリース契約の条件などの顧客理解度の確認を「必ず実施している」と答えたのは、銀行の53%、信金・信組の80%だった。

融資実行後に賃料の実績を確認している銀行は39%、信金・信組では58%で、実績を踏まえた収支見込の更新を「一切実施せず」と答えた銀行が48%、信金・信組が52%と約半数だった。返済可能かどうかの見直しが行われないケースが、約半数だと言い換えることができる。

管理体制の状況。融資実行後に空室率や賃料の確認を行っている金融機関は約半数に留まり、将来の収支見込みの更新を必ず行っている金融機関も少ない(出典:金融庁)
管理体制の状況。融資実行後に空室率や賃料の確認を行っている金融機関は約半数に留まり、将来の収支見込みの更新を必ず行っている金融機関も少ない(出典:金融庁)

不正融資の騒動があった平成30年4月以降は、賃料・修繕費の実績報告を求めたり、返済困難になると予想される顧客に、余剰資金の積立やリフォームを提案することとした事例も増えている。

これらの結果を受けて、金融庁は、一部の金融機関に対して、より詳細な実態把握を実施するという。金融機関には、紹介業者・サブリース業者などが適正な業務を行っているかどうかを検証することや、顧客の知識や経験、リスクの理解度や財産・収入の状況について把握したうえで、必要なリスク説明を行うことを求めている。

投資家においては、目先の収入が良くても、環境の変化や物件の劣化などによって、賃料下落や空室が生じたり、サブリース契約があっても保証賃料の減額や契約解除が生じる可能性があることや、収支がマイナスとなった場合は、自らが損失を被るおそれがあることを留意すべきだと、金融庁では警鐘を鳴らしている。

長年、不動産投資を行っている投資家にとっては、どれも当然のことばかりかもしれない。それが金融機関で徹底されていなかった、ここ数年が、どれだけ異常な事態であったのか。それが分かる調査結果だったといえる。

※参考資料:(金融庁アンケート結果 全文)

健美家編集部(協力:高橋洋子)

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