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区分所有マンションのオーナーは、持ち家が買いにくくなる? 住宅金融支援機構の2020年度改正点と賃貸住宅への融資について

融資/その他 ニュース

2020/04/22 配信

読者の皆様は、新たに、または、さらに、不動産を購入して賃貸事業を展開したいとお考えのことだと思う。そんなオーナー&オーナー予備軍の皆様は、賃貸住まいだろうか。それとも持ち家だろうか。

少し前のことだが、住宅展示場でFP相談のブースを構えていると、妙に不動産市場に詳しい男性が家族連れでいらっしゃった。「頭金への投入額は緊急予備資金を確保した上で試算しましょう」などの話には生返事だったが、住宅ローンの団体信用生命保険の話題になったとき、ここぞとばかりに「我が家は不要」と強く断言された。

専業主婦の奥様と小さいお子様2人の4人家族のその男性は、いくつも賃貸住宅を保有していて、「僕が亡くなっても、賃貸収入があるから妻も子も心配はない。売却すればまとまったお金にもなるから問題ない」と。普通のサラリーマンではこのように豪語することは不可能だ。

保有不動産の所在地が分散していて自然災害で全住戸が被害を受けたりせず、景気が一気に冷え込んで滞納や空室が発生したりしなければ、備えは十分だと言えよう。

その彼が、妻に乞われて新築住宅の取得を検討しているというのだ。不動産のことも、売買契約のことも熟知している彼は、当然のことながら新築や持ち家にこだわってはいない。だが、家庭の事情があるようだ。

持ち家取得のメインシナリオは二つ。一つは、賃貸住宅の売却代金か手持ちの現金での新築または購入。もう一つは、住宅ローンを利用しての取得である。後者の借入れの場合は金融機関の住宅ローン審査に通る必要がある。

住宅ローンは、アパートローンのように保証人を立てろ、などとは滅多なことでは言わないが、本人が返済継続可能かどうかの審査は厳密だ。返済負担率が鍵となる。

当コラムでは、賃貸住宅オーナーが持ち家を購入する際に、賃貸住宅のローンが持ち家の住宅ローンの返済負担率に影響する【フラット35】の2020年度改正点について紹介する。

後半では、賃貸併用住宅への【フラット35】の利用条件と住宅金融支援機構の賃貸住宅融資(建設・購入・リフォーム)について、確認しておこう。

写真はイメージ
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■賃貸住宅のローン返済額が、
新規購入時の返済負担率に含まれる

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する住宅ローン【フラット35】は、ご存じの通り居住用向けだ。この【フラット35】が、2020年4月1日以降の申込受付分から、利用条件における「総返済負担率(=年収に占める年間合計返済額の割合)」の算定について、「賃貸予定又は賃貸中の住宅に係る借入金の返済額」を年間合計返済額の対象に含める取扱いへと制度改正された。

借入中の賃貸住宅を保有しつつ、新たに借入をして賃貸住宅を買い増す場面を想定すれば、現在の返済額が、新規借入の返済負担率に含まれることは特に驚くことではないだろう。

だが、これまで通り「持ち家は借りやすい」「賃貸住宅のローンは影響しない」などと思い込んでいると持ち家の購入計画が立ち行かなくなる可能性もある。持ち家取得の予定があるオーナーは気を付けよう。

なお、当改正には例外がある。それは、借入金が賃貸用のアパート向けのローン(ローンの対象が1棟の共同住宅)であることが確認できる場合は、年間合計返済額の対象からは除かれる、というものだ。

よって、一棟の共同住宅に対する借入れは影響を受けない。注意したいのは区分所有や一戸建て、連棟式等の賃貸住宅の場合。なお、ローンの対象が1棟の共同住宅であるか否かは、対象建物の登記事項証明書等により、金融機関が確認することとなっている。

いずれにせよ、不動産の賃貸事業としてあきらかに切り離せるならば、借入金があっても関知しない、ということだ。

■賃貸併用住宅への融資
【フラット35】の場合

オーナーの中には、「自宅を建てるなら賃貸併用住宅に」との希望をお持ちの方もいるだろう。【フラット35】の場合、店舗や賃貸住宅などとの併用住宅は、住宅部分の床面積が全体の2分の1以上(非住宅部分の床面積以上)あれば、住宅部分の割合に応じて融資が受けられる。

一戸建てであれば、住宅部分は床面積70u以上、住宅の規格は、原則として2以上の居住室(家具等で仕切れる場合も可)、炊事室、便所、浴室(浴槽を設置したもの)があり、独立した生活を営むことができれば良い。

併用住宅では、非住宅部分(店舗や賃貸住宅)に融資は受けられない。だが、賃貸住宅が独立していて、区分登記されるようなものであれば、前述のような住宅部分の床面積の2分の1以下に、等といった制約を受けず、賃貸住宅部分への融資も条件次第で受けられる。

住宅金融支援機構(以下、機構)では、賃貸住宅の建設・購入・リフォーム対する融資があり、住宅部分は【フラット35】、非住宅部分は賃貸住宅建設融資などの合わせ技も可能だ。住宅の要件等、詳細は機構に確認いただきたい

機構が行っている賃貸住宅への融資メニューは、「子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資」や「サービス付き高齢者向け賃貸住宅購入融資」をはじめ、「マンション共用部分リフォーム融資」など、様々だ。一例として「子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資」の要点をみておこう。

■住宅金融支援機構の賃貸住宅融資
子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資

融資を受けられるのは、個人または法人。資金使途は名称のとおり、省エネ賃貸住宅の建設資金だ。融資対象となるのは、1戸あたりの専有面積が原則50u以上で、機構が定める住宅の規格を満たしたもの。

建物は、賃貸住宅部分(融資対象住宅の専有部分および共用部分)の延べ面積が200u以上であることも要件となる。建て方は、共同建て、重ね建てまたは連続建てとなっている。省エネ基準については、下記のとおり。

なお、当該融資の1戸当たりの専有面積基準は原則50u以上であるが、例外として、賃貸住宅(※1)の戸数の4分の1までは、専有面積が40u以上50u未満であっても融資対象となる例外がある。
(※1)機構の技術基準を満たす1戸当たりの専有面積が40u以上の住戸に限られる。

【省エネ基準】
次のいずれかに該当する住宅であること。
1)断熱等性能等級4、かつ、一次エネルギー消費量等級4以上の住宅
(2)建築物エネルギー消費性能基準に適合する住宅

【融資の対象】

建物に自宅や店舗などが含まれる場合、建物全体の延べ面積に対する賃貸住宅部分の割合によって、建物全体に融資を受けられるか否かが決まる。

〇賃貸住宅部分(※1)の延べ面積が建物全体の延べ面積の3/4以上の場合(自宅または非住宅部分(店舗等)の延べ面積の合計が建物全体の延べ面積の1/4以下の場合)
⇒ 建物全体
〇賃貸住宅部分の延べ面積が建物全体の延べ面積の3/4未満の場合
⇒ 賃貸住宅部分(※2)のみ
(※2)賃貸住宅部分とは、子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資の対象となる住宅の専有部分および共用部分をいう。いずれの場合も、融資の対象条件を満たす賃貸住宅の延べ面積が、200u以上であることが必要。

【融資金利】最長35年。35年固定または15年固定の2タイプ。

最後に融資金利についてみておこう。当融資の金利のタイプは、「35年固定」または「15年固定」の2つ。融資金利は、繰上返済制限制度(※3)の利用の有無により金利が異なる。2020年4月の参考金利(3月30日時点)は下記のとおり。なお、15年固定タイプは15年経過後にその時点の金利で見直しされる。

(※3)繰上返済制限制度を選択すると、契約締結日から10年の間に、本債務の全部又は一部の額を繰上返済する場合は、利息のほかに「繰上返済する金額×5%」の繰上返済違約金を機構に支払うことを条件に、繰上返済制限制度を利用しない場合と比べ、低利な金利が適用される。

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【フラット35】の2020年4月の改正点に関連し、機構の賃貸住宅関連の融資を見てきた。事業融資もマイホーム融資も、借入れは長期にわたる借金だ。両者の趣旨は大いに異なるが、当初の金利や融資条件などのほか、返済困難に陥った場合など将来の万が一のことも十分に考慮したい。多くの選択肢のなかから最適解をプランニングすることが大切だ。
(参考)住宅金融支援機構ホームページ/融資・金融商品のご案内
(参考)住宅金融支援機構ホームページ/子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資

執筆:大石泉(おおいしいずみ)
大石泉

【プロフィール】
ファイナンシャルプランナー(CFPR)。株式会社NIE.Eカレッジ 代表取締役。ライフプランや資産形成等をテーマに講演や執筆、個別相談を行う。他、自身もはまり、ライフワークと志す「情報を知恵に変える!新聞による経済教育」を全国で展開。
「2014年度金融知識普及功績者」として金融庁と日本銀行より表彰される。著書に、「入社前から先取り!日経新聞の読み方・活かし方/すばる舎」「投資デビュー!/平凡社新書」「女性のためのマンション選びとお金の本/平凡社」などがある。
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